日本版
ネイチャーポジティブ
アプローチ
地域からネイチャーポジティブの実現を目指すため、日本自然保護協会(NACS-J)は、「日本版ネイチャーポジティブアプローチ」を始動。自治体や企業とのパートナーシップ構築を進めながら、生物多様性の科学的評価や、NbS(自然に根ざした解決策)に基づいた社会課題解決に取り組んでいます。
世界的リスクとなる生物多様性の損失と、求められる変革
生物多様性の損失は、今後10年で最も懸念されるリスクの一つと言われ、気候変動とも並ぶ世界的な重要課題です。2022年に開かれた生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、生物多様性の損失を止め、自然を回復させる「ネイチャーポジティブ」の実現が世界目標となりました。
“損失を止め、さらに回復させる”というのは生半可な目標ではありません。NACS-Jでは、これまでの活動のあり方を発展させ、2023年、日本の各地域からネイチャーポジティブを起動する「日本版ネイチャーポジティブアプローチ」を始動しました。
鍵は新たなパートナーシップの構築と科学的な評価
NACS-Jは、日本全体でネイチャーポジティブを実現するために、市町村を基盤にした取り組みを進めています。市町村に注目するのは、地域の自然的・社会的条件によって異なる生物多様性をしっかり捉え、その保全や再生、地域の社会課題の解決に向けた具体的な施策につなげるためです。
この取り組みを具体的に進めるため、NACS-Jは、市町村や企業の皆さまを伴走支援する「ネイチャーポジティブ支援プログラム」を開始しました。
鍵となるのは、自治体と企業の新たなパートナーシップの構築と科学的な評価です。
NACS-Jは、自然に関わる具体的な行政施策を担う市町村と、自然環境や生物多様性に対して先駆的な取り組みを推進する企業をつなぎます。それぞれの持つ資源やノウハウを活かし、地域全体を見据えたランドスケープアプローチ*でネイチャーポジティブを推進していきます。そして、地域ごとの生物多様性の重要地域を科学的に評価し、優先度の高い活動を効果的に進めていきます。
* ランドスケープアプローチ
一定の広がりのある地域において、土地・空間計画をベースに多様な人間活動と自然環境を総合的に取り扱い、課題解決を導き出す手法。
市町村の皆さまへ
市町村の皆さまを対象に、ネイチャーポジティブに向けた施策の実施や、企業とのパートナーシップ構築を支援するプログラムを展開しています。また、独自の評価基準に基づいた「ネイチャーポジティブ自治体認証」も設け、その取得に向けた伴走支援も実施しています。
企業の皆さまへ
ネイチャーポジティブに関する国際目標に沿って、企業の皆さまの取り組みを支援するプログラムを展開しています。活動の意義や成果を科学的に可視化した「ネイチャーポジティブ貢献証書」の発行も行っており、サステナビリティレポートやTNFDレポートにおける開示資料として幅広く活用いただけます。
本プログラムが展開されている各市町村では、自治体と企業の連携によって保全活動が活性化し、地域間交流や自然再生を軸としたビジネス創出など、多角的な成果と広がりが生まれています。

日本版ネイチャーポジティブアプローチに取り組む地域(2026年5月時点)
もうひとつの鍵は、NbSによる社会課題の解決
NbS(Nature-based Solutions:自然に根ざした解決策)は、社会課題を解決する効果的なアプローチとして、この10年で世界的に浸透した概念です。簡潔に言えば、自然が持つ力を活用することで、人口減少や産業の衰退、気候変動、災害リスクの増大といった多様な課題の同時解決を図り、結果的に生物多様性の保全も達成することを目指す考え方です。
NACS-Jは、自然環境や生物多様性の保全を進めるにあたり、保全そのものを目的化するアプローチだけでは、問題の根本的な解決が困難であると考えています。現在、多くの地域は、生物多様性の保全以前に深刻な社会課題を抱えており、それらと一体となった取り組みが不可欠です。
日本版ネイチャーポジティブアプローチでは、自然を守ることが地域の社会課題を解決し、私たちの豊かな暮らしを守ることにもつながる、そうした取り組みを目指し、これからも活動を進めます。








