【配布資料】今日から始める自然観察「鳥たちの落とし物を観察しよう!」
2026年9・10月号 自然観察ツール 会報電子版 今日から始める自然観察
2026年9月1日
このページは、筆者の方に教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可・抜粋利用不可)。ダウンロードして、自然観察などでご活用ください。
【今日から始める自然観察】鳥たちの落とし物を観察しよう!(1MB)PDF
野鳥を見るには双眼鏡や望遠鏡を使うのが一般的ですが、足もとに目を向ければ、鳥たちのさまざまな落とし物があることに気付きます。身近なフィールドサイン、排泄物に注目してみましょう。
箕輪 義隆 (みのわ よしたか)
科学イラストレーター
鳥たちの落とし物
鳥のフンを見たことがありますか? よく見ると黒っぽい部分と白っぽい部分があって、黒い部分がフン、白いのは尿、つまりおしっこです。鳥が飲み込んだ食物は、消化管を通って総排泄口と呼ばれるお尻の穴から出るのですが、私たち哺乳類と違って鳥の場合はフンと尿が一緒に排出されます(ここではまとめて「フン」と表記します)。さらに、鳥によっては胃の部分で消化できない骨や毛、うろこなどを、塊として口から吐き戻すものがあり、これをペリットと呼びます。フンもペリットも、野外でよく見られるフィールドサインの一つです。
フンとペリットはどこから?
口から飲み込まれた食物は食道を通り、そ嚢という袋に必要に応じて一時溜め置かれます。続く前胃で消化液と食べ物が混ざり、筋胃(砂嚢)では強い力で擦り潰されます。砂や小さな石を飲み込んで、筋胃で食べ物を擦り潰すのに使う鳥もいます。また、骨など消化できないものは筋胃から口を経由して“ペリット”として吐き出します。筋胃を通った食物は腸を経て、不要なものが総排泄口から排出されます。

フンやペリットの観察のコツ
鳥がフンをする様子は比較的簡単に見られ、立ち止まって尾羽を上げる仕草で「これからフンをするのかな」と気付くこともあります。一方、ペリットを吐き出す動作は一瞬で終わるため、なかなか見られません。野外でフンやペリットを探すのはちょっと大変ですが、街中の路上やコンクリート面のように見晴らしの良い場所なら簡単に見つかります。とまり場になりそうな石や枝のまわり、水際などにも注目です。鳥がたくさんいる場所はそれだけ観察のチャンスが増えるので、注意して探してみましょう。ペリットには食物の形が残っている場合が多く、ある程度の内容物を知ることができます。食性や生息環境、季節から絞り込めば、落とし主を特定できるかもしれません。
フィールドサインはそこに鳥がいたことを示す何よりの証拠です。たくさんのフンがある場所はたくさんの鳥が集まる場所、あるいは鳥が長く滞在する重要な場所ということです。フンの落ちている範囲や量、周囲の環境をよく見て、休息場所やねぐらなど、何に使われていたのか、その意味を推理するのも楽しいですよ。
フンから分かること
たくさんのフンが落ちていたら、その意味を考え推理してみましょう。鳥たちの暮らしぶりが見えてくるかもしれません。

護岸の広い範囲にフンが見られたので、かなり大きな群れが降りていたことが分かる。どれも新鮮で古いフンは見当たらないので、ここは日常的にカワウがいる場所ではなく、最近一時的に飛来したものと推測できる

街路樹下の歩道、1m程の範囲にフンが集中して落ちていた。樹上に巣はなかったので、街路樹をねぐらにしていたと考えられる。ねぐらを見つけるにはフンを手掛かりにすると探しやすい
フンのいろいろ
軟らかなフンは特徴に乏しく、色もまちまちでとらえどころがないように思えますが、種によって大きさや形状にある程度の傾向が見られます。

水っぽさがなくどろっとしたフンで、写真はすでに乾燥した状態。フンと尿が分かりやすい

さらさらと水っぽいフン。排泄時には勢いよくフンを後方に飛ばす

ハクチョウやカモ類のフンは細長い棒状。左側の白っぽく見える部分が尿

ハトの仲間のフンは棒状だが、とぐろを巻くようにねじれた形が特徴的
ペリットって何だろう?
胃で消化できないものを塊として吐き出したものがペリットです。タカやフクロウの仲間が動物の骨や毛を吐き出すことはよく知られています。他にもカワセミ、サギ類、カモメやアジサシ類、身近な鳥ではモズやカラスなど、さまざまな鳥で見られ、内容物も昆虫の外骨格や種子、魚の骨、貝殻など多様です。
ペリットは、フンと違って白い尿が付くことはなく、内容物の破片が比較的大きい傾向があります。ただ、例えば、羽毛が詰まった哺乳類のフンや、尿が目立たず果実が主体の鳥のフンは、ペリットと間違いやすいのでご注意を。
ペリットいろいろ

大きな粒はサクラの種子で、サクランボを食べたことが分かる

ザリガニのハサミや殻が詰まっている

海岸で拾ったもので、動物の毛や骨が入っていた

ペリットを吐き出すモズ
観察の注意
フンを観察する際は、手で直接触れたり、踏んだり、吸い込んだりしないように注意してください。観察後は手を洗う、踏んでしまった時は靴の裏を水で流すなど、衛生面に注意しましょう
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