第5回「国際サシバサミット」を奄美大島・宇検村で開催しました
2026年1月1日
フィールド
プロジェクト
(会場の様子。2日間で延べ1500名程の参加者があった)
2025年10月25~26日の2日間、第5回目となる「国際サシバサミット2025 in宇検村奄美大島」を開催しました。渡りをする猛禽類、サシバの繁殖地・中継地・越冬地の地域の人々が集い、サシバと地域の未来を2日間語り合いました。
国際サシバサミットは、2019年の栃木県市貝町での第1回を皮切りに、2021年に宮古島市、2023年に台湾・満州郷、2024年にフィリピン・サンチェスミラ市と、サシバの繁殖地・中継地・越冬地において開催してきました。そして今回、奄美大島・宇検村でサミットを開催することができました。
1日目の各国の保全活動の発表では、台湾、フィリピンでの風力発電と太陽光発電による、サシバの渡りルートと生息環境への悪影響の懸念が示され、環境への影響が考慮されない再生エネルギー発電所建設が東アジア共通の課題であることが確認されました。また、奄美大島、市貝町、宮古島市の子どもたちの発表は、サシバを通じて互いの地域の自然を学び合う充実した時間になりました。
次回はフィリピンで開催
2日目の首長サミットでは、サシバが国境を越えて人と人を結び、人と自然の共生を象徴する存在であることを確認し、地域の自然資源を持続的に利用する取り組みと、顔の見える国際的な交流を促進していく方向性が示さました。次回(2027年3月)のサミット開催地となるフィリピン・ヌエバビスカヤ州知事が、かつては自身もサシバを食べていたことへの後悔を率直に語りつつ、サシバの捕獲を禁止する条例の準備を進めていることも印象的でした。
会場には島内外から飲食店などを含む29件の出店と、国内外から27件のポスター発表が並びました。ステージ上では宇検村の方々によるさまざまなパフォーマンスが演じられ、サミットを盛り上げていただきました。サミット後に開催された「サシバの鳴きまねコンテスト」も大盛況でした。サシバが大好きな人も、サシバをあまり知らない人も、楽しみながらサシバの保全を考える、すばらしいサミットになりました。準備と開催にご尽力をいただいた宇検村と奄美大島の皆さまに感謝します。
NACS-Jは自治体と連携したネイチャーポジティブな取り組みを推進しています。サシバなどの生物多様性保全と自然資源の活用を推進したい、サシバサミットを開催したいと考えている自治体、企業、会員の皆さまは、ぜひご相談ください。

❶トベラの樹林縁を飛翔するサシバ(写真:与名正三)/❷大島高校書道部のパフォーマンス、ぜひオンライン動画でご覧ください/❸サミット宣言は、奄美大島5市町村と、市貝町、宮古島市、フィリピン・ヌエバビスカヤ州、台湾・屏東県が揃って行った/❹ポスター発表や販売ブースが会場を盛り上げてくれた/❺宇検村と名瀬を結ぶ連絡バスで愛称「サシバス」が運行
ウェブサイトで当日の資料公開中!
サミットの2日間のプログラムと、配布資料、サミット宣言をウェブサイトで公開しています。
担当者からひと言
出島 誠一 (でじま せいいち)日本自然保護協会(NACS-J)ネイチャーポジティブ担当
国内NGOの連携も「国際サシバサミット」の特徴の一つです。「サシバ渡りルート全容解明」第3弾のクラウドファンディングへご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。2026年、さらなる解明が楽しみです。


