改正アセス法が成立・建て替えはアセス簡略化に
2025年8月25日
プロジェクト
6月13日に「環境影響評価法の一部を改正する法律案」が参議院本会議で、与野党の賛成多数により可決、成立しました。今回の改正では、建て替え事業の手続きの合理化とアセス図書の継続公開制度の創設が大きな変更になります。
既存施設の建て替えに対し、従来の環境配慮書の手続が必要なくなり、既存施設の影響調査結果を活用する方式に変更されました。現在、手続中の対象事業の約8割を風力発電事業が占めています。風力発電は稼働から約20年で建て替えられますが、風力発電事業がアセス法の対象事業に加わったのは2012年。つまりほとんどの建て替え対象の風力発電事業は、建設当時にアセス法の手続きが行われていません。稼働後に十分なモニタリング調査が定期的に行われていない事業は、合理化対象としない法律の運用を求めていきます。
アセス図書は、これまで約1カ月の縦覧期間後には閲覧できなくなるケースが約85%でしたが、今後は環境大臣が事業者の同意を得た上で、継続公開が可能となります。ただし、事業者の同意が必要という点は懸念があり注視が必要です。

建て替え予定の鹿児島の輝北風力発電事業(建て替えのアセス手続きは実施済み)
担当者から一言

若松 伸彦日本自然保護協会 / 自然のちから推進部
アセス法成立当初から必要性が指摘されている戦略的環境影響評価(SEA)の導入は今回の改正でも附帯決議に付されるに留まっています。