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活動レポート

環境に配慮する農業へ大きな一歩

2025年4月28日

フィールド

里山

農地の生物多様性保全の未来を決める「食料・農業・農村基本計画」(以下、基本計画)の改定が2024年9月より開始され、NACS-Jはこの基本計画の中に生物多様性の保全のための施策や目標が具体的に記載されるよう、シンポジウムを開催したり、提言を提出したりするなど、関係者とともに働きかけてきました。

その結果、2025年3月に公表された基本計画(案)や関連施策の中に、生物多様性保全を推進するために大切な事項が、新たに3つ追加されました。

生物多様性の保全が基本計画の目標に追加

環境負荷低減のための3つの施策の柱の1つとして「生物多様性の保全等に関する取組の推進」が明記

一方で、については具体的な数値目標の記述がないこと、は施策の記述が不十分であるなどの課題も残されており、今後は個々の法制度の中で具体化していく必要があります。

多面的機能支払交付金を受給する際の条件として「環境配慮の努力義務」が新たに追加

この交付金は、自然環境保全、洪水防止など、農地がもつ多面的な機能の発揮を目的として、日本の農地面積の半数以上を対象とし、年間約1000億円の予算が活用されるため、全国の農地の生物多様性保全への貢献が期待されています。

しかし現場では水路の補修・コンクリート化が、毎年約4万km(地球1周分の距離)も環境配慮がなされないまま実施され、生物多様性の損失が起きるという課題があり、NACS-Jはこれら工事の際の環境保全の義務化を提言してきました。

今回「環境配慮」の努力義務が追加され、この課題解決に向けた大きな一歩となることが期待されます。今後も実際に環境配慮が実施されたか注視していきます。

コンクリートの水路の画像

環境保全型の水路の画像

従来型の水路のコンクリート整備(上写真)と環境保全型の水路(下写真)の事例(写真提供:(特非)オリザネット)。多面的機能支払交付金では、環境配慮の努力義務が今年4月から開始

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担当者から一言

藤田さんの顔写真

リポーター
生物多様性保全部 藤田 卓
2025年度は生物多様性に関わる農政の重要な施策の改訂が山場を迎えます。ご注目ください!

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