ニホンジカのプロフィール
2018年9月1日
ニホンジカとはどのような動物なのでしょう? その生態や生活史についてまとめました。
監修 : 梶 光一 (かじ こういち)東京農工大学大学院農学研究院 教授。農学博士。ニホンジカの個体群動態と管理を専門とするシカ研究の第一人者。近著に『日本のシカ』(東京大学出版会・共著)
ニホンジカは中国やロシアにもいる
日本に元々いるシカはニホンジカ一種です。北海道にいるエゾジカ、本州にいるホンシュウジカ、九州・四国にいる(ヤクシカも含む)キュウシュウジカは、それぞれニホンジカの亜種となります。学名にもCervus nipponと「ニッポン」が入ってますが、日本の固有種ではなく、中国やロシアなどにも生息しています。
1.5mの障害物を飛び越えることができる
シカは運動能力にも長けていて、高さ1.5mの柵を飛び越えることができます。そのため防護柵は2m以上にする必要があります。また、立ち上がって高さ2mまで植物を食べることができます。

写真:知来 要
雄の角は毎年生え変わる
雄だけに生える角は、春に生えはじめ、皮膚に覆われた「袋角」のまま成長して夏を過ぎ、秋になると皮が剥がれて硬い骨質の角になります。そして春になると根元から抜け落ち、また新しい角が生えてきます。
雪に弱い
シカは脚が細く雪にとられやすいため、深く雪が積もると身動きが取れなくなってしまいます。生まれたばかりの小さなシカは特に弱いです。また、植物が雪に埋まってしまうと餌がとれず、餓死してしまうこともあります。

早春の奥秩父沢筋にて。顔だけを残し雪に埋まる若い雄シカ(写真:若林 輝)
学習能力が高い
シカは学習能力が高く、餌となる植物が生えていた場所は正確に覚えるようです。また、通電した電気柵に一度接触したシカは二度と来なくなるとも言われています。群れの仲間が猟銃で撃たれると極度に用心深くなったりもします。
2歳から毎年子どもを産む
栄養状態の良好な雌は、満1歳(生まれた翌秋)で性成熟し、その翌春から毎年子どもを産みます(通常は1産1仔、まれに2仔)。1年で1.2倍ほど、4年で約2倍に増える計算となり、この性質が短期間で数を爆発的に増やすことに繋がっています。
1000種類を超える植物を食べることができる
シカは食べるものが豊富な場所では好き嫌いがはっきりしていますが、資源量が減ると最終的にはほぼ何でも食べるようになり、1000種類を超える植物を食べることができます。一日に食べる量は約3㎏です。
季節移動をする
一年中、同じ場所にいるシカもいますが、特に高山帯や雪の多い地方では、冬に積雪を避けるよう大きく季節移動します。一例を挙げると、春から秋を尾瀬で過ごすシカは、冬になると比較的積雪量の少ない奥日光の千手ケ浜や足尾に、直線距離で30㎞以上移動して越冬することも知られています。
胃を4つも持っている
反すう動物であるシカは、4つの胃を使うことで植物に含まれるセルロースなどの繊維質を細かく砕いてから消化して利用することができます。人の胃と同様、消化液を持つのは4番目の胃(第四胃)だけで、それ以前の第一~第三胃は食道が進化してつくられたもの。第一~第二胃から口に戻して再び噛み砕く(反すうする)ことで、食物をより消化しやすい状態にしています。
毛は1年に2回生えかわる
シカは1年に2回、春と秋に毛が生え変わります。「鹿の子模様」と呼ばれる白い斑点は夏毛の特徴です。抜け落ちた毛はキセキレイなどが巣材として利用しています。

鹿の子模様が美しい夏毛の雌 (写真:知来 要)
夜行性は人を避けた結果?
シカは元々薄明薄暮性で、早朝や夕方の薄暗い時間帯によく動き回りますが、日中にも行動する動物です。ところが狩猟圧の高い地域のシカは、人間が活動する日中を避けて夜間に行動するようになります。シカと自動車の交通事故が夜間に増えているのはこのためです。

赤外線カメラで撮影された夜行性のシカ
雌は大きな群れを作る
群れずに縄張りを持つカモシカと比べると、シカは縄張りを持たないので、同じ面積でもたくさんすめます。これがシカの数が容易に増える理由のひとつです。



