イヌワシ保全

撮影:上田 大志 氏
イヌワシは奥山の森林に生息する大型猛禽類。イヌワシが子育てを続けるためには、自然豊かで広大な森林が必要です。日本自然保護協会(NACS-J)は、イヌワシと生物多様性豊かな森林生態系の保全に取り組んでいます。
フィールド
イヌワシを守る森林管理:赤谷プロジェクト
イヌワシの生息環境が悪化している大きな理由は、増やし過ぎた人工林が奥山に放置されていること。NACS-Jは群馬県みなかみ町「赤谷の森(あかやのもり)」で、2014年から、人工林を伐採してイヌワシの狩りができる環境(狩場)をつくる試験を行っています。伐採前後のイヌワシの行動や餌動物の変化を科学的に評価しながら取り組みを進めており、人工林を伐採した場所で狩りをする行動が確認され、7年振りに繁殖に成功するなどの効果が見られています。この成果は、林野庁の森林管理や、環境省のイヌワシ保全の施策に反映されています。

赤谷の森で伐採した人工林は自然林に復元
イヌワシを守る取り組みの拡大、日本初の野性復帰へ
日本各地でイヌワシと生物多様性豊かな森林を守るために、赤谷の森(群馬県)だけでなく、宮城県、長野県、滋賀県、兵庫県でも、イヌワシの保全に取り組む方々、国有林、民有林の森林管理者と連携して取り組みを進めています。
しかし、全国的にイヌワシの生息状況の悪化は著しい状況です。かつてイヌワシが生息していた宮城県南三陸地域でも、現在イヌワシが確認できない状況が続いています。そこで、海外の先行事例を学びながら、動物園で飼育されている個体を野外に放鳥する野生復帰について具体的に初の取り組みを開始しました。
参考
日本初のイヌワシ野生復帰の取り組みについてのリリース(2025年7月)
INUWASHI AGAIN|南三陸イヌワシ野生復帰プロジェクト

南三陸地域で2019年に伐採と植栽を行った生息環境再生地