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要望と声明 - 要望と声明も自然保護のための大切な活動です!

沖縄県浄化槽取扱要綱改定に伴う環境影響の回避のための基準追加に関する要望書を提出いたしました

2026年2月27日

2026年2月24日、日本自然保護協会はWWFジャパンとともに、沖縄県に対して「沖縄県浄化槽取扱要綱改定に伴う環境影響の回避のための基準追加に関する要望書」を提出いたしました。

沖縄県浄化槽取扱要綱改定に伴う環境影響の回避のための基準追加に関する要望書 (181KB)PDF

沖縄県浄化槽取扱要綱改定に伴う環境影響の回避のための基準追加に関する要望書

2026年2⽉24⽇

沖縄県知事 ⽟城 康裕 様
沖縄県環境部部⻑ 多良間 ⼀弘 様

公益財団法⼈世界⾃然保護基⾦ジャパン(WWFジャパン)
会⻑ 末吉 ⽵⼆郎
公益財団法⼈⽇本⾃然保護協会
理事⻑ ⼟屋 俊幸

平素より、沖縄県下における⽣物多様性の保全にご尽⼒を頂き敬意を表します。
今般、表題の件につき、南⻄諸島において活動を⾏ってきた当団体の⾒解をお伝え申し上げたく、本要望書を送付させていただきます。

沖縄県浄化槽取扱要綱(以下、本要綱)が⼀部改正され、令和 5年 6⽉ 1⽇よりこれが施⾏されました。 この要綱の改正により、沖縄県内のサンゴ礁をはじめとした海洋環境に、悪影響がおよぶ可能性があります。
浄化槽からの排⽔について規制が⼀部緩められたことで、⼟壌を介した⼗分な⽔質の浄化がなされず、地下⽔を富栄養化させ、さらにはサンゴ礁などの⽣物多様性の豊かな海域に流出するおそれが出てきたためです。

本要綱の改正では、下記の2つの点について、⼤きな変更が加えられました。

  1. 排⽔を認める⼟質について、地下の⽔脈に短絡する⼟質条件の基準が撤廃されたこと
  2. 排⽔の⼟壌への透⽔速度の上限値が撤廃されたこと

前者については、旧要綱では「地表⾯下 2m以上の⼟壌の厚さが、砂質⼟⼜は粘着度であり、透⽔性の過⼤な礫層などの地下の⽔脈に短絡するような⼟質ではないこと」という基準が準⽤され、浸透性の⾼い⽯灰岩質に直接排⽔することを規制し、⼟壌を通じた⼗分な濾過がなされない地下⽔が海域に流れ込むのを防いでいましたが、これがなくなりました。
後者についても同様で、旧要綱では「浸透速度の上限は 1,500mm/時、下限は 1.2mm/時とする」という基準が準⽤されていましたが、これがなくなることで、浸透速度の速い⼟地であっても地下浸透による排⽔ができることとなり、サンゴ礁のある海域に、浄化の不⼗分な地下⽔が⼤量に流⼊してしまう可能性があります。

本要綱の改定の背景として、宮古島などの⽯灰岩質の⼟壌の地域では、浸透速度の上限値をそのまま適⽤すると地下浸透放流が認められず、住⺠が浄化槽を設置したくてもできない状況にあったことが挙げられています。こうした地域の社会課題を改善することの重要性は理解できる⼀⽅、科学的な検証および議論が不⼗分なまま、当該地域はおろか県全体の地下⽔ならびにサンゴ礁⽣態系への負の影響を及ぼしうる改定は、サンゴ礁⽣態系が重要な経済基盤となっている沖縄県にとって深刻なリスクとなりえます。

私たちは、本要綱の広域的な影響を鑑み、予防原則に基づいた適切な内容と運⽤になるよう、改定された要綱に、以下の基準の追加を要望いたします。

浸透速度( 2.4cm/分以上※1)が⼤きな⼟壌において地下浸透放流を⾏う場合には、以下の基準を適⽤すること。

  1. 規模の制限:設置できる浄化槽の処理対象⼈員に制限を設ける(多くとも 25⼈以下)。
    ただし、学校、公⺠館、避難所その他公共の⽬的に供する施設については例外的な取り扱いを定める。
  2. ⽔質の厳格化:地下浸透放流する放流⽔の⽔質を、BOD 10mg/L以下、全窒素 10mg/L以下※2とすること。
※1
「浄化槽の構造基準・同解説」(2006年版⽇本建築センター) に基づき、三重県、埼⽟県、東京都、⾼知県等では上限を 2.4cm/分以下としている。

※2
⽔質汚濁防⽌法で定められた基準を 501⼈槽未満の浄化槽についても適⽤することが望ましい。

⼀度損なわれた⾃然環境の姿と機能を再現することは、限りなく困難であり、それに伴い⽣態系や地域社会にどのような影響が及ぶのかは、容易には予測できません。
「昆明モントリオール⽣物多様性枠組」が合意され、貴重な⾃然環境の保全・回復が、国際的にも強く求められる中、⽣物多様性の損失につながる可能性のある規制の緩和については、外部有識者の意⾒を踏まえた判断が必要と考えます。今回の改定で⽣じる諸課題の解決のために、沖縄県による適正な基準の策定が、外部有識者の関与のもと、⾏なわれることを期待します。

以上