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大船渡第一・第二太陽光発電所事業の中止を受けて(コメント)

2025年9月10日

2025年9月4日、大船渡第一・第二太陽光発電所事業(岩手県大船渡市)の事業中止が発表されました。これについて、NACS-Jはコメントを発表しました。


2025年9月10日

大船渡第一・第二太陽光発電所事業の中止を受けて(コメント)

2025年9月4日、大船渡第一・第二太陽光発電所事業(岩手県大船渡市、以下本事業)の事業中止が、事業者である自然電力株式会社より発表されました※1,2

本事業は、五葉山県立自然公園内の25haに約76,000枚の太陽光パネルを設置する計画で、イヌワシの採餌環境や湿原性植物・昆虫など、極めて重要な自然環境に深刻な影響を及ぼす恐れがあるものでした。そのため、日本自然保護協会は2020年より現地の確認を行い、事業の大幅な見直しを求めて意見書の提出※3,4をおこなってきました。2025年2月には事業者より環境影響評価準備書が公表され、計画の見直しや環境保全策が示されましたが、自然環境への懸念が十分に払拭されるものではありませんでした※5

今回の事業者の中止判断は、資材費や人件費の高騰といった事業経済性が理由として示されており、自然環境保全は理由とはなっていません。しかし、結果的に自然環境への重大な影響が回避されるものとなることから、中止の判断を評価いたします。今後、これまでの環境アセスメント手続きの過程で取得した自然環境に関する貴重な調査結果を、どのような形で地域と共有し、地域の自然環境の保全に活用していくのかを注目していきたいと思います。

私たちは、引き続き気候変動対策と生物多様性保全の両立のために、再生可能エネルギー事業に関して、重要な生態系や保護地域の回避、環境影響評価手続きの透明性・公開性、地域住民や専門家との早期かつ誠実な対話の実施などを求めていきます。

参考

※1 自然電力 岩手県大船渡市における太陽光発電事業計画に関するお知らせ(2025年9月4日)
https://www.shizenenergy.net/2025/09/04/ofunato-2/

※2 東海新報 三陸町吉浜地区太陽光発電事業 自然電力が中止発表 計画12年で突然の終止符、採算性困難、FIT認定失効も一因(2025年9月5日)
https://tohkaishimpo.com/2025/09/05/490235/

※3 大船渡市吉浜地区における大規模太陽光発電事業についての要望書(2020年3月26日)
https://www.nacsj.or.jp/statement/50675/

※4 大船渡第一・第二太陽光発電所事業 環境影響評価方法書に関する意見書(2023年10月6日)
https://www.nacsj.or.jp/statement/50594/

※5 大船渡第一・第二太陽光発電所事業 環境影響評価準備書に関する意見書(2025年3月18日)
https://www.nacsj.or.jp/statement/50563/

開発予定地の画像