平成11年2月5日
千葉県知事 沼田 武 殿
財団法人 日本野鳥の会
財団法人 世界自然保護基金日本委員会
財団法人 日本自然保護協会 |
三番瀬を含む干潟・浅海域等の保全に関する緊急要請書
拝啓 時下益々ご清祥の事とお慶び申し上げます。日頃は貴県下における環境保全に対して格別のご配慮をいただき、厚く御礼申し上げます。
さて、干潟・浅海域等は近年における科学的知見の著しい進展に伴い、海域の浄化、水産資源の維持、渡り鳥の中継地など、その生態的重要性が改めて強く再認識されております。また、豊かな自然環境が減少する中で、人と自然との豊かなふれあい活動の場として、今後その活用が益々期待されています。
環境基本計画においても、干潟・浅海域等の重要性に関して、「海域においては、自然海岸、干潟、藻場、浅海域の適正な保全を推進する」と記述されております。干潟・浅海域の保全については、一地域の問題ではなく、全国的、あるいは全地球的課題であるといっても過言ではありません。
一方で、干潟・浅海域の保全に関する国民の関心も極めて高いものとなっています。三番瀬は、藤前干潟(名古屋市)や諫早湾(長野県)、和白干潟(福岡市)等と並び、ラムサール条約に登録されるべき国際的に重要な湿地ですが、これらにおける干拓・埋め立て造成の事業および事業計画に対しては、地域住民をはじめとする国民各層、さらには海外からも強い批判が出ているところです。
貴県
におかれましては、これまで三番瀬の干潟・浅海域について、埋立計画の縮小、環境補足調査の実施など、保全のための努力をされてきたことに敬意を表します。1月25日に貴県土木部・企業庁から発表された「市川二期地区・京葉港二期地区計画に係る補足調査結果報告書予測編」によれば、埋立地の造成、航路の拡幅・浚渫によって浅海域の貧酸素化がすすみ、底生生物が半減し、魚類、鳥類にも大きな影響を及ぼす可能性があることが予測されています。このような調査結果にもかかわらず、埋立計画が縮小されこそすれ、未だその根本的変更が行われるに至っていない点は、極めて憂慮すべき事と存じます。
藤前干潟について名古屋市は、干潟・浅海域の埋立計画に対する広範な世論の反発と環境庁の時宜を得た判断により、埋立予定地から外す決定に至りました。私たち3団体は、この決断を喜びをもって支持し、貴職がこれに続く高い政策判断を下されるよう、以下のように要望いたします。
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