開く閉じる

活動レポート

JESCOの森で植生調査を実施 ~ネイチャーポジティブな森づくりへの第一歩~

2026年1月14日

フィールド

森林(山も含む)

日本自然保護協会(以下、NACS-J)は、2025年11月19日~20日の2日間、和歌山県那智勝浦町那智山の森林で、試験区域の選定と現状の状態を評価するための植生調査を行いました。

実施した森林は、2024年11月に「ネイチャーポジティブを推進する連携協定」 (以下、ネイチャーポジティブ協定)を締結した JESCOホールディングス株式会社(以下、JESCO)が保有する森林です。調査には那智勝浦町色川地区の皆さまも参加され、地域で馴染みある樹種など、さまざまな意見交換もありました。今後、このエリアの人工林を間伐し、継続して植生を調査することで、生物多様性豊かな森づくりへの道すじを探ります。


JESCOの森でネイチャーポジティブを。生物多様性の現状を調査

NACS-JとJESCOは、2024年11月にネイチャーポジティブ協定を締結し、JESCOが保有する森林(以下、JESCOの森)、その森林を含む那智勝浦町でネイチャーポジティブを目指したプロジェクトを進めています。この協定に基づき、11月19日~20日に、JESCOの森を訪れ、植生調査を実施しました。
JESCOの森が位置するのは、那智勝浦町の那智山エリア。世界文化遺産に登録されている那智の滝や那智大社に隣接する地域で、吉野熊野国立公園にも含まれます。

参加者の画像

今回の訪問では、約16ヘクタールのJESCOの森の中から、試験的に自然再生を目指す10メートル四方の試験区域を選定し、現状の植生の状態を評価するため調査を行いました。今後、適度な日光が入るよう森林の一部伐採と、ニホンジカによる食害を避けるためにネットを設置する予定です。

実験区域の森の画像

現状の実験区域とその周辺の様子

住民も一緒に実生稚樹を記録。予測を上回る19種56個体を発見

初日の11月19日は、植生調査や森づくりに興味を持つ那智勝浦町色川地区の皆さま5名(大人4名、小学生1名)も調査に参加。また、伐採時を想定した助言をいただくため、JESCO保有森林の管理者である松本林業(奈良県)にも同席していただきました。

松本林業さんの画像

松本林業が見守る中、活動を進める

参加者へプロジェクトの概要と趣旨を説明したあと、JESCOの森へ。伐採後に林内に光が入りやすいこと、伐採した木材を搬出しやすいことを条件として、試験区域を選定しました。試験区域には10メートル四方に杭を打ち、その中をさらに4つ(A,B,C,D)のエリアに区切りました。

植物の記録を取る参加者の画像

調査は、植物について、胸高(地面から約1.3メートル)を基準にした2段階で行いました。

①胸高以下 草本・実生・稚樹。その数と種目、高さ、被度を記録する。
※被度とは調査する場所の地面を対象の植物がどれだけ覆っているかを割合で示したもの。
②胸高以上 成木。番号を振り、胸高直径と高さを測定し、記録する。

まずはAエリアについて、参加者にもご協力いただき、①の調査を実施しました。試験区域をはじめとするJESCOの森は、スギとヒノキが密集しており、光が入りにくい環境です。加えてニホンジカなどの動物による食害も受けている様子。参加者からは「調査といってもほとんど草木がなさそう」という声が挙がりました。

調査する参加者の画像

しかし、いざAエリアの調査を開始すると、足元には高さ数センチ~十数センチメートルの小さな実生が点々と存在していることがわかりました。

実生の画像 実生の画像

調査の結果、Aエリアでは19種56個体を記録。約1時間かけての調査となりました。

胸高以上の成木は10本。今後、植生の変化を調査

次に、ABCD全てのエリアを対象に、②の調査を行いました。対象の木は10本あり、これらにナンバリングを行い、位置と胸高直径、高さを記録しました。

ナンバリングをする小学生の画像

小学5年生も1名参加。ナンバリングを手伝った

計測棒で樹高を推察している画像

樹高を推察する

19日の調査は以上で終了し、翌20日は職員のみで調査を実施。結果として、試験区域で新たに10種の植物が確認できました。

参加者の集合写真

1月19日の調査を終えて参加者の皆さんと

記録された植物は、以下の通りです。

アラカシ、アリドオシ、イズセンリョウ、イヌビワ、エゴノキ、カクレミノ、カゴノキ、クロガネモチ、クロバイ、コジイ、コヤマウルシ、ゴンズイ、サカキ、サルトリイバラ、シキミ、センリョウ、タイミンタチバナ、ツルウメモドキ、テイカカズラ、ネズミモチ、バリバリノキ、ヒサカキ、ヒノキ、マンリョウ、ミツバアケビ、モチノキ、ヤブムラサキシキブ、ヤマノイモ、未同定:リンボク

参加した住民の方から「ヒサカキはビシャコ、イヌビワはイタンボ、と色川地域では呼ばれている」との話があり、これらの木々が地域でとても馴染みある樹種であることがわかりました。

今後、継続的に調査をして植生がどのように変化していくかを観察していきます。

ご参考

JESCOホールディングス、日本自然保護協会が連携協定を締結 和歌山県那智勝浦町を舞台にネイチャーポジティブを推進
https://www.nacsj.or.jp/media/2024/11/42906/

このプロジェクトの詳細を見る