ひび建て式で養殖してから1年後のサンゴ
2023年以降、海水温の上昇などにより、世界的にサンゴ礁にとって厳しい状況が続いています。報告によると、世界のサンゴ礁の約84%が記録上最大規模に白化するなどのストレスにさらされたとされ、さらに総合的な分析から、多くのサンゴ礁が回復不能な状態となるティッピングポイント(臨界点)を超えた可能性があると指摘されています。
奄美大島南部の大島海峡でも、2024年夏に多くのサンゴ群集が白化しました。場所によっては順調に回復した一方で、深刻なダメージを受けた箇所もあります。調査地の一つ、清水のリーフチェック調査では、2023年に36.9%だったサンゴ被度が、2025年には26.3%まで低下しました。
こうした状況の中、奄美大島の瀬戸内町漁業協同組合では2024年から「ひび建て式サンゴ養殖」を開始しました。同年10月に第1回の設置を行い、1年後のモニタリング調査を経て、新たに50群体を設置しています。植え付けから1年後、約8割のサンゴが生存していることが確認されています。
担当者からひと言
安部 真理子 (あべ まりこ)日本自然保護協会(NACS-J)保護担当
養殖したサンゴがさらに大きく育ち、この海域のサンゴ礁が再び元気になることを願っています。


