天筒山展望台からの中池見湿地
中池見湿地(福井県)は、2012年に湿地を横断する北陸新幹線ルートが公表され、その後NACS-Jと地元市民団体の働きかけなどによりルート変更が実現しました。しかし、2021年のトンネル建設工事完了後、湿地内の「後谷」に流れる湧水が激減し水生生物に大きな影響が生じたことから対策を事業者の鉄道運輸機構に要望しました。
2023年、事業者は代償措置として過去に埋め立てられた1500㎡の湿地を自然復元することに決め、2025年11月に復元工事が完了。工事にあたり2024年5月に地元市民団体や自治会、専門家、敦賀市、事業者、NACS-Jによる、敦賀市中池見湿地保全活用協議会の分科会が設置され、工法などについて10回の議論が行われました。復元された湿地を水生生物が利用し始めるなど明るい兆しもありますが、復元湿地の水の確保に加え、外来植物やザリガニの侵入が確認されるなど課題もあります。事業者によるモニタリング調査は2028年まで行われ、地元市民団体でもモニタリング調査や保全管理、自然観察会などを行う予定です。

中池見湿地「後谷」 自然復元工事前(2024年6月1日)

自然復元工事後(2025年9月15日)。湿地はクロゲンゴロウやキタノメダカなど水生生物が利用し始めた (写真:ナチュラリスト敦賀・緑と水の会資料室)
担当者からひと言
福田 真由子 (ふくだ まゆこ)日本自然保護協会(NACS-J)モニ1000里地調査担当
ネザサやススキで見通せなかった谷が25年経って湿地に戻りました。ぜひ皆さんに見ていただきたいです。


