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活動レポート

第1回しこくまワークショップ(専門家会議)開催

2025年11月5日

フィールド

森林(山も含む)

皆様のご支援のおかげで、8月15日~17日の3日間、「第1回しこくまワークショップ(専門家会議)」を開催することができました。四国のツキノワグマに関わる幅広い専門家と行政関係者が40名以上集まり、国際自然保護連合(IUCN)から専門家を招いて、充実した議論が行われました。

しこくまワークショップは、IUCNが提唱する絶滅危惧種の保全計画づくりの手法に基づくもので、その特徴の一つが「個体群存続可能性分析(PVA:Population Viability Analysis)」です。PVAとは、個体群の人口統計学的データと生息環境データを組み合わせ、絶滅リスクや存続可能性をシミュレーションで予測する科学的手法です。

第1回ワークショップでは、より正確なPVAを行うため、分析に用いる科学的データ、クマの繁殖生態や生息環境データ、個体数減少の要因などについて、多様な専門的見地から活発な意見交換が行われました。3日間の議論は大変有意義で、最終日には「楽しい議論だった」「今後の展開が気になる」といった声が寄せられました。四国のツキノワグマのPVAの作業は現在もIUCN側で進められており、12月ごろに完成予定です。その成果は来年開催予定の第2回ワークショップでご報告いたします。

講演の様子

個体群存続可能性分析について解説するIUCNのサイモン氏

議論の様子

3つのグループに分かれて「存続可能な個体群」の定義について議論

第2回ワークショップ開催に向け
ふるさと納税型クラウドファンディングを実施します

第2回ワークショップ(関係者会議)は、2026年1月29日~2月1日の4日間、徳島県那賀町で開催します。ここではIUCNのPVA結果を踏まえ、地域住民の不安、猟友会の現状、今後の林業振興や観光など、クマの生息地に関わる多様な立場の方々と意見交換を行い、保全計画づくりを進めます。

この会議を成功させるには、多くの関係者の参加が重要で、そのための資金が必要です。那賀町では、ふるさと納税型クラウドファンディング(CF)を実施します。CFを活かして実施する事業には、町有林の高標高域(1000m以上)にクマの保全地域(自然共生サイト)を100ha以上設けることや、クマを活かした地域づくりの推進が含まれています。クマとの共生に向けて具体的な一歩を踏み出した那賀町の挑戦を、ぜひ応援ください。NACS-Jも那賀町と連携して、この事業を推進しています。ご支援をよろしくお願いいたします。

担当者からひと言

出島さんの顔写真

出島誠一ネイチャーポジティブ担当

6月の高知県とのクラファンに続き、徳島県那賀町とのクラファン実施が実現しました。本州でのクマと人の軋轢が深まっているからこそ、四国では軋轢の未然防止を目指します。

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