2025.07.01(2025.07.04 更新)
NACS-J2030ビジョンは「日本の生物多様性を回復基調に導く社会変革を地域から起動する」
群馬県みなかみ町の里地で子どもたちとため池のかいぼりを実施
2025年度から、新たな中期計画がスタートしました。これまでの活動・実績を統合して設定したビジョンはとても意欲的で大きな目標ですが、次世代を見据え、実現を目指します。
ネイチャーポジティブ:2030年までに生物多様性の損失を止め反転させ、回復軌道にのせるという世界的な目標
NACS-Jは活動の方向性やビジョンの明確化、経営資源の最適化などを目的に、概ね5年ごとに中期計画を策定しています。今回の策定に当たっては、ネイチャーポジティブや30 by 30※1など、NACS-Jの活動と関わる世界的な目標と同じ2030年を達成年としました。
※1 2030年までに陸と海の30%以上を保全するという目標
立ちはだかる課題
NACS-Jが2030年までに立ち向かう中心課題は「(日本の)生物多様性の深刻な劣化」、その下に以下3つの課題を特に挙げました。
- 生物多様性保全に有効な地域の戦略の不足:地域の自然を科学的に評価して一体的に管理する仕組みや資金が不足していること。
- 自然を支える地域社会の衰退:少子高齢化や人口減少、大都市一極集中などを背景に、一次産業の担い手、地域の自然の保全活動の担い手が不足していること。
- 気候変動対応などと生物多様性保全が両立しない状況:風力や太陽光などの再生可能エネルギー事業の一部などが、日本の生物多様性を脅かす存在になっていること。
ビジョンは「日本の生物多様性を回復基調に導く社会変革を、地域から起動する」としました。課題は深刻ですが、日本の生物多様性が回復基調に向かい始めていると実感できる社会の状況を目指します。社会のどんな方々の行動が変わっていれば目標達成といえるか。その指標として「行政」「企業」「市民」それぞれの目標も定めました。
NACS-Jの3つの強み
ビジョンと目標を達成するには、NACS-Jの強みを活かした活動を展開することが必要です。①研究者や国際・地域との連携、②全国での活動実績、③森・里・海すべての生態系で取り組んでいること。これらがNACS-Jの強みだと考えています。
具体的な活動は「ネイチャーポジティブ事業」「教育・連携事業」「保護事業」の3事業を柱にした展開を計画しています。また、計画を進めるには「組織基盤の強化」も重要です。NACS-Jは強みを活かし、課題の認識を共有する社会のあらゆる皆様と、社会課題の解決にも資する自然保護活動に取り組んでいきます。
▲クリックすると大きい画像でご覧になれます(別ウィンドウで開きます)
これら2024年度までの取り組みを、さらに統合・前進させて2030年ビジョン実現を目指します/❶福島県只見町へのネイチャーポジティブ自治体認証書の授与/❷自然観察指導員講習会開催/❸湿地で泥遊びと生きもの調査(母と子のネイチャースクール)/❹沖縄島でのサンゴ礁の調査(写真:桐本香織)/❺南三陸地域でのイヌワシの狩場創出の活動/❻風力発電施設計画地の視察
担当者から一言
リポーター
事務局長 志村智子
会員の皆様の存在、連携は、NACS-Jの何よりの強みです。名前は大きくてもスタッフはほんの30名。守ることができたフィールドを思い浮かべると必ず会員の皆様の存在が。これからもよろしくお願いします!