【配布資料】今日から始める自然観察「地面のすぐ下にいるモグラの暮らしを感じる」
自然観察ツール2026年3・4月号会報電子版今日から始める自然観察
2026年3月1日
このページは、筆者の方に教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可・抜粋利用不可)。ダウンロードして、自然観察などでご活用ください。
モグラの生活は分かっていないことだらけです。ここでは僕が今までモグラを調べてきた経験から推測するモグラの暮らしを紹介しましょう。
川田 伸一郎(国立科学博物館研究員)
モグラは土の中でトンネルを掘って生活しているので、直接観察するのはとても難しい生きものです。でも、彼らが地中に残すトンネルや地上に盛り上がった「モグラ塚」を調べてみれば、生活の様子を推測することができます。
モグラ塚が地下と地上を行き来するモグラの出入り口だと思っている方は多いですが、ハンマーを持ってそこでいくら待っていてもモグラたたきはできません。あれはモグラがトンネルを掘る際に崩した土を地上に排出する「土捨て場」です。盛り上がった土をどけて地面の高さにして観察すると、モグラ塚の真ん中あたりの土の色が少し違うことに気付くかもしれません。そこをほじってみると、土が下に崩れてトンネルがあらわれます。さらに奥へ崩すと、丁字路になっていると思います。モグラがトンネルを掘り進む際に地上に向けて分岐を掘って、たまった土を捨てたことが推測できます。
モグラ塚は土捨て場!
モグラ塚はモグラがトンネルを掘るときに余計な土を地上に捨てたもの。幅の広いアスファルト道路があると、掘った土を捨てられず、下を通過することが難しくなります。

牧場にできた多数のモグラ塚。掘り起こしてみるとすべての塚がトンネルでつながっていたので、1個体のモグラが作ったものと考えられる

新しいモグラ塚(左)、できてしばらく経ったモグラ塚(右)
モグラは一匹でいたい!
モグラは春に繁殖し、3~5匹くらい子どもを産みます。子は1カ月くらい母親と暮らすと、母親から追い出されて独立生活を始めると考えられます。独立生活を強いられるのは、モグラが縄張り意識が強いためです。独立生活を始めるときに地上に出て、ほかのモグラが不在の場所を探します。初夏にモグラの死体を見つけることがしばしばありますが、これはおそらく若いモグラが地上に出て、肉食獣にかまれたためでしょう。トンネル内での移動は得意なモグラですが、地上ではもたついてしまうので、簡単に肉食獣につかまってしまうのです。
初夏に死んでいたモグラ。矢印で示したところに、肉食獣(ネコかイヌ)がかんだ犬歯の跡がある。モグラの毛はふわふわなので、傷がないように見えるが、ちゃんと調べると致命傷の跡がある。天敵は肉食の鳥類や中型哺乳類
モグラは田畑を荒らす害獣だと思われていますが、見つけた虫は何でも食べるので、害虫を間引いたり、モグラ塚をつくることで、深い所の土を地上へと循環させる役割があると考えています。
トンネルを掘って食べて寝る !
モグラは寝る時間と採食する時間を1日3回の周期で繰り返して過ごします。モグラは動物質のものなら何でも食べますが、見つける確率が高いミミズをよく食べていると考えられます。
体は胴からの突出部(しっぽや手足)が極力少ない形になっています。手は横向きについていて、トンネルの中を歩くのには適していますが、地上ではあまり上手に走れません。また、目には薄い皮膚が被っていて、光を感じるくらいしかできないようです。
いろんなモグラ
日本には8種のモグラ(モグラ科)が暮らしている。左の写真は代表的なモグラ4種。上から
ヒミズ: 全長(鼻先~尾の先)約10~12cm。
落ち葉の下など地面の下浅いところに生息ミズラモグラ: 全長約12cm。山間部に生息アズマモグラ: 全長約12~15cm。東日本に生息コウベモグラ: 全長約15~19cm。西日本に生息

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