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2018.03.15(2018.03.28 更新)

絶滅危惧種の猛禽類「イヌワシ」の保全をめざして、 楽天株式会社(楽天ゴールデンイーグルス)の支援を受けイヌワシの狩場の創出試験を拡大実施

 

  • ノウサギやヤマドリなどを捕食するイヌワシは、見通しのきかない人工林の増加で狩場を失い個体数が減少した。

  • 2014年に群馬県みなかみ町の赤谷において、人工林を皆伐する第1次試験地を設け、良好な結果を得たため、2017年11月末より第2次試験地(皆伐)を設置。

  • 第2次試験地の設置は、プロ野球球団楽天ゴールデンイーグルスを保有する楽天株式会社のCSR活動「楽天の森」の支援で実現。

▲左:2017年に赤谷の森で巣立ったイヌワシの幼鳥(雌)。地元の新治小学校の生徒によって「きぼう」と命名(2017/12/15撮影)。 右:2017年11月に伐採を終えた第2次試験地

20180328_プレスリリース 楽天株式会社(楽天ゴールデンイーグルス)の支援を受けイヌワシの狩場の創出試験を拡大実施(460KB)


公益財団法人 日本自然保護協会が参加する赤谷プロジェクト(あかやプロジェクト:群馬県みなかみ町)(*1)では、森林の生物多様性の豊かさを測る野生動物としてイヌワシ(*2)のモニタリング調査を続けてきました。

その調査結果をもとに、2014年9月から、人工林165haを対象として、イヌワシが狩りをする環境(以下、狩場)を創出するとともに、この地域本来の自然の森に復元する試験を、日本で初めて進めています。

2014年に第1次試験地(スギ人工林、約2ヘクタール、皆伐)を設置し、効果を評価するために、伐採後のイヌワシの行動について調査した結果、第1次試験地がイヌワシの生息環境の質を向上させている可能性が高いと考えられます。このことから、2017年11月から楽天株式会社(*4)の支援を受けて第2次試験地(スギ人工林、約1ヘクタール、皆伐)を設置し、すでにモニタリングを実施しています。

◆3年間の試験結果

第1次試験地に狩場を創出した効果を評価するために、伐採の1年前(2014年9月18日)から伐採後2年間(2017年9月17日)のイヌワシの行動について調査した結果、第1次試験地がイヌワシの生息環境の質を向上させている可能性が高いと考えられます。

1)伐採後初めて第1次試験地でイヌワシが狩りをする行動を確認
2017年11月4日に、イヌワシが第1次試験地内の獲物に向かって急降下(狩行動)するのが初めて確認されました。狩りは失敗しました。

2)狩場創出後、イヌワシが第1次試験地周辺に出現する頻度と獲物を探す回数が増加
第1次試験地周辺にイヌワシが出現した頻度(イヌワシが出現した時間/観察時間)が、伐採前よりも伐採後の2年間は顕著に高い状況が維持されています。また、第1次試験地で獲物を探す行動の回数も増加しています。

 

(*1) 生物多様性の復元と持続的な地域づくりを目指し、日本自然保護協会と林野庁と地域住民で協力して進めている協働プロジェクト。2017年にユネスコエコパークに登録もされた、群馬県みなかみ町で実施。

(*2) 第4次レッドリスト絶滅危惧ⅠB類、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種、文化財保護法に基づく天然記念物 等に指定。日本における推定個体数500羽。狩場減少により十分なエサが確保できないことから子育てが成功せず、その結果繁殖率の低下により減少している。

(*3)「皆伐」は林地内の全ての樹木を伐採する方法で、「間伐」は林地内の樹木の3割程度を伐採する方法。

(*4) 楽天株式会社は、同社が保有する球団「楽天ゴールデンイーグルス」がイヌワシ(英名:Golden Eagle)をモチーフにしていることから、イヌワシ保全を支援しています。

 

補足資料1:イヌワシが狩りをする環境の創出試験3年間の結果と第2次試験地開始

補足資料2:日本におけるイヌワシの現状