2017年8月アーカイブ

 今、ニホンジカ(以下、シカ)は、全国で分布域を急速に広げ、高密度に生息する地域では、農林業被害に加え、自然林の世代交代を妨げ、土壌の流出を引き起こすなど、生態系や生物多様性の保全上大きな脅威となっています。シカによる環境への影響は被害が大きくなってからでは元の状態に回復させることは難しく、被害が少ない低密度で生息する段階での対策が求められます。しかし、低密度でのシカの管理・捕獲技術は未確立で、ほとんど実施されていません。

 赤谷プロジェクトエリアでも、低密度ながらシカは着実に増加してきたため、全国に先駆け、低密度でのシカ対策を始めました。今年6月に鉱塩(塩のかたまり)を用いたシカの誘引を開始。実際に誘引されている様子がセンサーカメラで確認されています。こうして集まったシカを、高い技能をもった射手が一回で全頭狙撃し捕獲する「シャープシューティング」を秋に実施する予定です。先駆的なシカの低密度管理の成果を全国へ発信し、各地の森林生態系管理へ波及させることを目指しています。

 

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鉱塩に集まったシカ。集まったシカを1度に全頭仕留め、狙撃に対して高い警戒心を持ったシカをつくらないようにするのがシャープシューティングのポイント。