2007年3月赤谷の日レポート

3月赤谷の日レポート(2007年3月3−4日)

 とても暖かい3月赤谷の日でした。結局、3月になっても雪はなく、冬がないまま春になってしまったように感じます。今月も定番の炭窯とテンモニ隊を行いました。

フキノトウ テングチョウ
これは何でしょう?

↑フキノトウにテングチョウ。。。春です。右下の黒いのは、、、さて何でしょう?答えは後ほど。



炭焼

 3月3日(土)晴れ。今月は、お楽しみの炭出しである。さて、炭窯の中はどうなっているのでしょうか。
まず、窯の口を開けます。中に一斗缶が見えます。この中にはバナナやカボチャが入っています。炭出しは今回も目黒さんが担当してくれました。炭は意外と少ないように感じました。やはり、窯を閉めるのが少し遅かったかもしれません。 炭を米袋に入れて、全部で8袋になりました。 炭窯を開け始める 飾り炭は一斗缶の中 飾り炭
炭窯の中 袋に詰める作業 飾り炭
飾り炭にラッカーを吹きかける ハンノキの実:飾り炭
飾り炭は壊れないように透明ラッカーを吹きかけましあ。窯の中に”おまじない”をした後、粘土をこねて窯を閉じました。また夏の間に炭材を用意して、次の炭焼きの準備をする予定です。(サポーター川端、NACS-J出島)

ホンドテン・モニタリング

1.ムタコ林道

 2月に設置したセンサーカメラの撮影枚数を青木さんが2月中下旬に2回ほどチェックしに同林道へ入っていて、昨年ほどテンが林道を使用していない状況を確認していましたので、赤谷の日集合時間前に青木さんと鈴木の2名で調査を行いました。結果は、テン2サンプルでした。1つは新しく前夜のものと思われるサンプルでした。2サンプルとも食性は動物食でした。
 昨年の3月は、林道脇に残雪が60センチ以上もあり、ツルウメモドキを食植物としたサンプルを多数採取しましたが、今年は2月の調査でもサンプルは0でしたし、3月も2サンプルと極端にサンプル数が減少しています。ツルウメモドキの果実を食したサンプルは昨年12月に100近く採取しています。今年は1月から3月にかけては、ツルウメモドキの果実はほとんど残っておらず、しかも1月から3月にかけて極端にサンプル数が減少しています。従って、ムタコ林道でのテンの行動パターンが昨年とかなり異なっていることは明らかです。今年は、1月から3月まで赤谷の日以外でもテンモニを行っていますが、降雪や融雪の繰り返しのため、サンプル数が少なく、この時期のテンの食性を解明するまでには至っていません。
 なお、昨年の3月にはキツネの糞も見受けられましたが、今年はそれがなかったのも特徴的です。2月に設置したセンサーカメラには、ホンドテン、キツネ、ノウサギ(キュウシュウノウサギ及びトウホクノウサギ)が撮影されていました。
ホンドテン ホンドテン ホンドテン ホンドテン

↑左から2月11日21:31、 2月12日03:59、 2月12日22:33、 3月1日20:35 詳細は赤谷の森センサーカメラ(ムタコ沢)

2.いきもの村

カボチャ? いきもの村ルートについては、赤谷の日開始ミーティング前に調査しました。成果は動物食3サンプル、植物食5サンプル計8サンプルでした。植物食5サンプルについては、前夜から朝にかけてのとても新しく、色鮮やかな濃い黄色で、マーキングをするかのように、各所にしてありました。内容物に種子が見あたらず、雪の下から出てきたカボチャでも食べたのかと推測してみましたが、ハッキリしたことは分析結果を待たないとわかりません。

3.赤谷林道

 今年は赤谷林道でも残雪がほとんどないことと林道斜面からの落石に注意すればテンモニも可能との判断のもと、ヘルメットを着用しての調査となりました。(昨年3月は、残雪が多く、雪崩れの危険もありテンモニ隊としての調査は出来ませんでした。)
 竹村さん、萩原さん、鈴木の3名で調査を行いました。歩き出してもなかなかサンプルを探すことが出来ず焦っていた矢先に、林道のU字溝の端に"綺麗"に横一列に並んだ7つの溜糞を発見しました。ここで少し悩み事が生じました。どの糞も形状・大きさ(径の太さ・長さ)がどうもテンのものより小さいのではないかとの疑問です。いずれも食性は動物食で乾燥していましたが形状はしっかりしていました。とりあえずテンとしてサンプリングしました。その後もコンスタントにサンプリングを行い、結果はテン13サンプルでした。食性は、全て動物食でした。
残念だったのは、林道奧の石積バリケード手前のつづら折れの区間に雪が残っておりサンプリングできなかったことです。この区間は、昨年のサンプリング経験によるとテンとイタチのサンプルが交互に発見される場所なので、前記の溜糞がテンなのかイタチなのかを比較できると考えていました。

カボチャ? 赤谷林道はヘルメット着用 赤谷林道

↑左:ため糞  中:赤谷林道に入るときはヘルメット着用です!  右:赤谷林道の奥でもこの程度の積雪です。

4.小出俣林道

テンモニ隊2日目 小出俣林道

金井さん、和田さん、青木の3名で調査いたしました。小出俣林道は、ほとんど積雪はなく、雪があるのは日陰の一部のみ。採取できたサンプルはテン?1、イタチ1の2サンプルのみ、どちらも動物食でした。カラマツ漸伐地域の林道は、雪解け水でかなりぬかるんだ状態でしたので、サンプルを見つけにくいとともに、この状態の林道では彼らも排泄場所として利用しないことも想像出来ます。また今後カラマツ漸伐地域にかけたセンサーカメラの結果を踏まえて、林道から入った漸伐地域の切り株等についても、見ていく必要があるかも知れません。

4.雨見林道

2日目は前日に発見したツキノワグマをウォッチしてから、雨見林道をサンプリング。炭窯隊の作業は一日目で終了したので、総勢7名の調査になりました。せっかくなので、調査カードの記入など不慣れなサポーターに、レクチャーしながらという企画も考えていたのですが、ツキノワグマに時間をかけてしまいその余裕がなく、多くの目で足早に通常のサンプリングを行いました。サンプルは動物食を中心に12サンプル。雪解け後の調査ということと、雨見は春先にサンプルが多いことを考えると、少ない印象です。
(サポーター青木、鈴木)


冬眠中のツキノワグマ観察

 赤谷の日ですばらしい発見がありました!!1日目の活動中に偶然発見しました。
冬眠中のツキノワグマです。林道脇のブナの洞の中で丸くなって寝ています。都合の良いことに、その洞には、クマが出てくることができない程度の穴が開いていて、そこからクマの姿が覗き見できるのです。この貴重な様子を一目見ようと、みんなで順番に覗いて楽しみました。
赤谷の森のツキノワグマ 赤谷の森のツキノワグマ
赤谷の森のツキノワグマ 赤谷の森のツキノワグマ
下の2枚の画像は、後日、サポーター早岡さんにビデオ撮影して頂いた画像です。「洞の前で長時間待ち続けたところ、30秒だけ起きてこちらを覗いて(左の画像)、またすぐに眠ってしまった」とのことです。右下の画像は真上から洞の中を撮影した画像です。
3月25日(日)時点で、まだ寝ているのが確認されています。このクマは何時目覚めるのでしょうか?継続して観察したいと思います。(NACS-J出島)


 次回は4月、いきもの村のノスリも子育てをはじめる頃です。来月もよろしくお願いします。(NACS-J出島)


写真/文:青木邦夫、川端自人、鈴木誠樹、萩原正朗、早岡英介、出島誠一

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