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2009.07.01(2018.06.27 更新)

【自然しらべ2009】みえてきたこと~湧き水と人のくらしとのかかわり

調べる対象:湧水

湧き水と人のくらしとのかかわり

 

水に恵まれた日本の自然の豊かさを実感


▲天然プール(熊本県・立田山自然探検隊)

▲旅人のための水(新潟県・本間さん)

湧き水を土地の人はどう使っているのかをしらべていただいたところ、湧き水のある場所がお寺・神社や公園になっている所がほぼ半分、湧き水に由来するいいつたえが残っている所が約5分の1と思ったより割合が高く、古くから湧き水を大切にしてきたことの表れです。湧き水を使って地域の産品をつくっている所は、1割ほどと数は多くないものの、魚の養殖(ニジマス、アマゴ、アユ)、そば・そうめん、豆腐、飲用、酒、紙すきなど多彩で、地域にとって重要な存在になっているといえるでしょう。
一方で、今も飲み水に利用されているのが約3分の1。 半分以上は使われておらず、ちょっともったいない気がします。また、田んぼ(水田、ワサビ田、養魚池)に湧き水を引いているのが約3分の1、食べ物や食器の洗い場に使われているのが1割ほどと意外に少なく、せっかくの恵みがうまく生かされていない現状もあるようです。名水100選に選ばれたりと大事にされているものは少なくないですが、都市部からは、以前より水質が悪化したり、水が枯れてしまったという残念な報告もありました。

 

 

ユニークで興味が尽きない報告がぞくぞく

寄せられた報告の中には、海水浴場の砂浜から湧き出ている山形県遊佐町の「釜磯」、間歇(かんけつ)冷泉で、水音が時計代わりになっていたという福井県蓑脇町の「時水」、福島県金山町に湧き出る天然炭酸水、熊本県嘉島町にある湧き水でつくられた天然プール、鳥取砂丘の中にある湧き水起源の川など、珍しい場所がいくつもありました。
また、湧き水を消雪・コイの養殖・ハス田・水場・水田に使っている新潟県塩沢市栃窪地区や、信仰の場・日常用水・水田に利用している群馬県白沢町尾合地区など、農村の湧き水活用の典型のような例もみられました。ほかにも、旅人のための水や、観音様・お不動様・弁天様などが祭られている水、渇水の際に困らないようにいくつもつくられたため池など、今も湧き水を頼りにしている地域の人たちのくらしや文化から学ぶことがたくさんあります。

 

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