インドネシア・イリアンジャヤのワルマメディ海岸におけるオサガメ産卵巣の野生ブタによる食害率を減らす試み

著者名Authors

Akil Yusuf1)・ 菅沼弘行 Hiroyuki Suganuma2)・ 田中真一 Shinichi Tanaka2)・ Abudl Wahid1)・ 亀崎直樹 Naoki Kamezaki2)

著者所属Affiliations

  1. 1) インドネシアウミガメ研究センター
  2. 2) 日本ウミガメ協議会

要約Summary

インドネシア・イリアンジャヤ州には世界有数のオサガメの繁殖地がある。オサガメはウミガメ類の中でも、最も絶滅に瀕した種となっているほどその数を減少させている。現在、オサガメの産卵地として28カ所知られているが、3,000巣以上が産卵している地域は、仏領ギアナ、スリナム、ガボン(1988年)、インドネシアの4カ所しかない。イリアンジャヤ州には6地区の繁殖地があったが、そのうち3地区は既にオサガメの産卵は見られなくなっている。残りの3地区でも、ウェルモン地区は150巣程度、ウェーウェークォール地区は20巣程度しか見られない。ジャムルスバメディ地区では毎年ほぼ3,000巣の産卵が見られている。

しかし、ジャムルスバメディ地区の産卵巣は平均して60%以上が野生ブタ(移入種)によって食害を受けている。そのため稚亀の生産力が異常に低くなっており、今後のオサガメ個体群の減少が予測されるため早急な対策が必要とされた。ジャムルスバメディの中でもワルマメディ海岸の食害率は83%を超えており、この地区を対象に野生ブタによる食害を減少させる試みとして、電気柵を設置した。その結果電気柵設置部分の食害率をほぼ10分の1である8.8%まで減少させることができた。これにより、ウミガメ産卵巣の野生ブタによる食害には電気柵が非常な効果を示すことが証明された。しかし、僅かながらも食害は柵の両端から175mと350mのところまで入ったところにみられており、今後野生ブタが学習によりさらにおくまで侵入することが予測される。そのため今後さらなる電気柵の拡張及び野生ブタの捕獲を検討する必要がある。

目的

東部太平洋で唯一残されたオサガメの産卵地となるジャムルスバメディ地区は、世界的にオサガメが減少している中、個体群の回復を見据えた保護活動が必要とされている。この地区でオサガメの再生産に及ぼしている最も重要な要因は、産卵巣に対する野生ブタによる異常に高い食害率である。特にワルマメディ海岸の食害率が高いため、この海岸に電気柵を設置し、その有効性を調査するとともに野生ブタのオサガメ産卵巣に対する食害率を減らすことをこの活動の目的とする。

オサガメ繁殖地としてのジャムルスバメディ地区

ジャムルスバメディ地区(図1)は、イリアンジャヤ州の北西部に位置するバードヘッド半島(チェンドラワシ半島)の北端に位置する。この地区は世界で3番目、東部太平洋で唯一のオサガメの繁殖地となっている。かつてはマレーシアの東海岸にあるトレンガヌ州が東部太平洋ではオサガメの最大の繁殖地であったが、近年の産卵数をみると1999年には9巣、2000年には28巣と絶滅状態となっている。1956年にはトレンガヌ州の町ランタウアバンを中心とした地区では10,000巣以上の産卵がみられ、1961年からはオサガメの保護活動が行われていたにも関わらず、このような絶滅状況を招いている。この減少の原因は、漁業による混獲、特に流し網によるもの(現在公海上では禁止されている)と食用としての卵の利用があげられている。これ以外にも産卵見学などツーリズムの開発、海洋汚染、人工ふ化場におけるふ化率の低下や性比の偏りが複合したと考えられている。

図1 インドネシア・イリアンジャヤ州のオサガメの産卵地であるジャムルスバメディの位置

図1 インドネシア・イリアンジャヤ州のオサガメの産卵地であるジャムルスバメディの位置

オサガメの繁殖地域は現在世界中に28地域しか残されていない。主な繁殖地の産卵巣数は西部大西洋の仏領ギアナで1992年の50,000巣から1998年の 8,000巣と減少、スリナムでは1995年頃に10,000巣(詳細は不明)、東部大西洋の西アフリカのガボンで1988年は10,000巣(最近の状況は不明)、東部太平洋のコスタリカで1988年は6,500巣で10年後の1998年は600巣と激減、同じくメキシコの太平洋側で1995年の4,000巣が2000年には1,200巣と減少している。オサガメの繁殖地のうち産卵数が増加しているのはスリナムだけであり、他の繁殖地は急激な減少を見せている。しかし、スリナムの増加も仏領ギアナの産卵海岸の荒廃によるものだとされている。

インドネシアのイリアンジャヤ州にはオサガメの繁殖地がかつて6地区あった。そのうち3地区では現在産卵はみられなくなっており、ウェルモン地区が150巣程度、ウェーウェークォール地区が20巣程度となっている。唯一ジャムルスバメディ地区が1999年は3,000巣、2000年は2,300巣と前年に比較して産卵巣数に減少がみられるが、産卵規模を未だに保っている。海岸全長18kmのこの地区には西からウェンブラック、バツルマ、ラポン、ワルマメディの4つの海岸があり、オサガメ以外にもタイマイ、アオウミガメ、ヒメウミガメが産卵する。

ジャムルスバメディ地区もかつては他の地区同様、産卵雌亀も卵も食用として利用していた。この地区の東側には人口60名ほどのワルマンディ村、西側には人口240名ほどのソーベバ村がある。この両村の住民はオサガメが減少しているのを感じ、1993年に自ら長老会議を開催しオサガメの利用を中止した。この動きにインドネシア政府の林業省自然保護局と世界自然保護基金(WWF-Indonesia)は地元住民と協力してオサガメの産卵数のモニタリング調査を開始した。モニタリング調査はオサガメの産卵最盛期である4月から10月までの間行われた。しかし、インドネシアの1998年の民主化運動や東南アジア諸国の通貨危機などにより、このモニタリング調査の継続が困難になっていた。インドネシアウミガメ研究センターは、これまでジャワ海を中心としてタイマイやアオウミガメの調査や保護活動を行ってきており、インドネシアで最もタイマイの産卵が多いとされていたイリアンジャヤ州の調査を1999年9月に行った。ジャムルスバメディ地区のタイマイ調査時にオサガメの将来的な危機を知り、2000年4月から当研究センターも協力することとなった。この協力によりこれまでのモニタリング調査ばかりではなく、学術的な調査研究や積極的な保護対策を導入した。また、モニタリング調査も強化し、調査のシステム化や監視体制の改良を行った。

調査の結果、オサガメ産卵巣の野生ブタ(移入種)による食害率が非常に高いことが判り、中でも産卵巣数の多いワルマメディ海岸の食害率は83.1%にも及んでいた。オサガメの個体群数を回復させるためには、生息域と繁殖地におけるそれぞれの対応が必要である。ジャムルスバメディ地区は繁殖地として、移入動物による産卵巣食害が個体群の減少を招く大きな要因となっている。そのためオサガメ産卵巣に対する野生ブタによる食害防止対策が緊急の課題となった。

材料と方法

3月27日よりワルマメディ海岸において、畜産用に使用されているニュージーランド製の電気柵(商品名;パワーフェンス)を設置した。設置場所はラポン岬の東150mにあるシュジョウ川から東のスウェン川までの直線距離で1,600mである。スウェン川の東700mにワルマメディ海岸の監視小屋がある(図2)。電気柵は後背地の熱帯雨林の中5mから40m奥に入った場所に延長約2kmにわたり設置した。電源となるバッテリーは村人の畑に置かせてもらい、電気柵は畑からシュジョウ川側とスウェン川側の 2系列とした。電圧は柵の長さに反比例し、シュジョウ川寄りは3,700ボルト、スウェン川寄りは8,000ボルトである。柵は上下2段とし、上段をブタの目の高さよりやや低めの45cmの高さとし目立つようにリボンワイヤーを使用し、下段を20cmとし柵を維持するためにステンレスワイヤーと電流の通しを良くするために撚りワイヤーをダブルに張った。リボンワイヤーを目立つようにしたのは、ブタに電流が通っていることを学習させ、ブタがそれを認知したときに接触することなく除けさせるためである。ワイヤーの固定は長さ30cm径1cmのファイバーグラスを立ち木に5mから30m間隔に打ち込み、その間に1mのファイバーグラスを地面に立て、ワイヤーの固定間隔を3mから5mとした。ワイヤーの固定はファイバーグラス用のクリップを使用した。バッテリーは12ボルト100アンペアのドライバッテリー2台を使用し、充電はソーラシステムで行った。2系列ともそれぞれ独立系列である。

図2 電気柵は、直線距離で1,600mのシュジョウ川からスウェン川の間に設置した。図中の畑の場所がバッテリー設置箇所。ブタの侵入はラボン岬からシュジョウ川の間が多いが、電気柵沿いに300mまでしか侵入しない。ブタは湿地帯を好む。点線は次年度の電気柵設置予定地。ラボン海岸側には枝柵のトラップを仕掛ける。

図2 電気柵は、直線距離で1,600mのシュジョウ川からスウェン川の間に設置した。図中の畑の場所がバッテリー設置箇所。ブタの侵入はラボン岬からシュジョウ川の間が多いが、電気柵沿いに300mまでしか侵入しない。ブタは湿地帯を好む。点線は次年度の電気柵設置予定地。ラポン海岸側には枝柵のトラップを仕掛ける。

一般にブタは学習能力が高く、一度柵に接触するとその後柵に触ることがないと言われている。そのため、柵の存在をブタに見やすくする必要がある。それはブタによる柵の破壊から柵自体を維持することになる。また柵の途中や端では、トラップと呼ばれる内側に10mから20mほど延長した枝柵を伸ばすことにより、ブタの習性を利用し内側に回り込むのを防ぐことができる。

電気柵の設置はソーベバ村とワルマンディ村の村人に手伝ってもらい、3日間で設置した。また、電気柵で最も大切なことは、そのメンテナンスにある。枯れ枝や倒木などが柵に掛かるのを取り除く必要がある。下草は熱帯雨林の中では成長は遅く密度も疎らであり、樹林のギャップの場所を管理することで防ぐことができる。これらの管理さえしっかり行うことができれば、電気柵の効果は大いに期待できる。

先に紹介したようにこの地域にはオサガメの監視員以外の住民は住んでいない。この地域で畑を持っている人は、バッテリーを置かせていただいているピット・イェブロ氏だけである。また、海岸まで出現する大型動物は、ブタと同じく移入されたシカだけである。この地域に生息する他の大型動物である有袋類のワラビーや走鳥類のカスアリ(ヒクイドリ)は、海岸にまで出現することはない。また、柵の設置前と設置後に両村の人々に電気柵の説明を行った。さらに樹林と海岸の境目の目立つ場所に、300mおき6個所注意書きの看板を設置した。看板には電気柵をオサガメの保護のために設置し、高電圧が流れていることを記し、林業省自然保護局、インドネシアウミガメ研究センター、日本ウミガメ協議会、日本自然保護協会の名を掲載した。

結果

1. 食害状況

ジャムルスバメディ地区には西からウェンブラック、バツルマ、ラポン、ワルマメディの4つの海岸がある。オサガメの産卵はほぼ年間を通してみられるが、産卵最盛期は4月から9月までである。1999年は2,999巣(4月から10月までの合計値)、2000年は2,309巣(4月から翌年3月までの合計値)のオサガメの産卵巣が確認されている。このうち最も産卵巣数が多く見られるのがワルマメディ海岸である。ワルマメディ海岸が占める産卵巣数の割合は1999年の調査で全体の39.6%、2000年では30.1%、2001年では38.5%であった。

2000年6月の調査時に海岸を50mおきに実測し、位置番号札を立ち木に取り付けた。電気柵を設置した場所は位置番号279と311の間である。279はシュジョウ川の東側、311はスウェン川の西側である。ブタによる食害状況の調査は実際に海岸を歩いて確認した。産卵巣数の絶対数との違いは1999年の調査のものと比較すると、絶対数2,999巣(9月と10月の産卵巣数が含まれる)に対して、9月16-17日の調査時で2,651巣であり、高波により産卵巣跡が消失した産卵巣も考慮するとほぼ近い値を示している。ただし、ブタによる食害率などの相対的な比較を行う場合は、結果的な違いは大きくないものと考えられる。

表1で電気柵を設置した部分の食害率を比較してみると、1999年は位置番号札設置前であるのでラポン岬からワルマメディ監視小屋までの2,450m(実測値)の産卵巣数となっているが、ワルマメディ海岸の1,050巣のうち924巣(88.0%) がほぼ電気柵部分となり、2000年は178巣のうち119巣(66.9%)、2001年は630巣のうち386巣(61.3%)となる。ワルマメディ海岸で産卵するおよそ60-70%が電気柵部分で産卵していると考えられる。ジャムルスバメディ地区全体では、電気柵部分が占める産卵巣数の割合は、1999年では34.9%、2000年では20.1%、2001年では23.6%となり、およそ20-25%が電気柵部分の産卵となっている。

表1-1 産卵状況及び食害調査(1999年9月16-17日)

表1-1 産卵状況及び食害調査(1999年9月16-17日)

*海岸長はGPSの位置により算出されたもの。

表1-2 産卵状況及び食害調査(2000年6月5-7日)

表1-2 産卵状況及び食害調査(2000年6月5-7日)

*海岸長は高潮線に沿って実測したもの。電気柵部分の数値は位置番号を示す。

表1-3 産卵状況及び食害調査(2001年7月21-22日)

表1-3 産卵状況及び食害調査(2001年7月21-22日)

オサガメの食害は、ブタとイヌによるものが知られているが、複合しているものもある。1999年のウェンブラック海岸でブタ害が多くみられているが、現地監視員はイヌによるものだとしている。ブタとイヌによる食害の違いを現場で見分けるのは困難な場合が多く、この報告では両方合わせてブタによる食害とみなす。食害率を比較すると1999年は63.3%、2000年は37.8%となっている。また、ワルマメディ海岸の食害率はそれぞれ83.2%と69.7%と高い。ラポン海岸は1km程度の短い海岸でありラポン岬で区切られているが、海岸側の距離は30m程度しか離れてない。食害の状況から判断すれば、この両海岸は一つにみなすことができる。両海岸合わせた食害率は、1999年は82.7%、2000年は72.1%となる。電気柵部分を比較すると、それぞれ83.1%と83.2%で両者に違いはほとんどみられない。ジャムルスバメディ地区において、今回電気柵を設置した部分が最も食害率が高い区域である。

2. 電気柵の効果

過去2回の調査で電気柵部分の食害率は80%以上みられていたが、電気柵設置後は8.8%と驚異的に激減した。これにより、ワルマメディ全体の食害率も17.6%と減少した。電気柵部分の産卵巣数をジャムルスバメディ地区全体の25%と考えると、全産卵巣数の22.8%をブタによる食害から産卵巣を守ったことになる。仮にこの地区に3,000巣の産卵があるとすると684巣を保護したことになる。また、この電気柵部分からブタを遠ざけた事による影響を見てみると、数値で見る限りウェンブラック海岸やバツルマ海岸にブタが移動した形跡はない。さらにラポン海岸の食害率が過去に80-90%あったものが48.1%に下がっていることがわかる。

電気柵部分の食害状況を詳細に見てみると、ラポン岬から電気柵までは175mありこの間に40巣みられるがその60.0%が食害である。シュジョウ川右岸から始まる電気柵から350m入ったところまで食害が見られる。その間にある産卵巣数は134巣で、23.1%にあたる31巣が食害にあっている。監視小屋側は、小屋から700m東のスウェン川左岸から100m入った地点で14巣のうち食害にあったのは1巣のみである。1,600mある電気柵部分では352巣が食害から保護できたことになる。つまり、電気柵の中央部1,150mは、完全に食害を防いでいる。仮に電気柵がなかったものとし、昨年の食害率83.2%で計算すると、384巣のうち319巣が食害を受けたことになる。

ちなみにスウェン川から小屋までの700mでは、110巣のうち15巣(13.6%)が食害にあっている。昨年は24巣のうちその半分に当たる12巣(50.0%)が食害にあっている。ラポン海岸と同様、電気柵の影響があるものと思われる。監視小屋から東のバタス岬までの2,265mは、92巣みられそのうち34巣(37.0%)が食害にあっている。

3. 電気柵のメンテナンス

電気柵は、動物や枯れ枝などが接触することにより柵と地面が回路として繋がれ、高電圧の微量な電流が流れる仕組みとなっている。従って下草が柵に接触したり、枯れ枝が引っかかって雨が降ると常時電流が流れてしまうことになる。そのため、常に柵の点検が必要となる。また、熱帯雨林ではかなり大きな倒木もみられる。今回も径1m程の木が倒れ、監視員が1日がかりで、鉈1本でそれを除去した。監視員は週に数回柵の点検と電圧の計測を行っている。電圧は設置開始時と同じであった。バッテリーのメンテナンスは畑の持ち主であるピット・イェブロ氏が毎日確認してくれている。彼はバッテリーばかりでなく柵の点検や下草や枯れ枝の除去も行ってくれている。我々が7月に行ったときには、村人からは既に「電気柵おじさん;Bapak Pagar」と呼ばれていた。

電気柵はメンテナンスさえしっかりと行えば、ほぼ半永久的に使用できる。長期的なメンテナンスとしては 3-5年に1回のバッテリーの交換くらいである。

考察

結果で示したとおり、電気柵のメンテナンスがしっかりと行われており、ブタによる食害防止効果も期待以上の成果を上げることができた。当初の予定では電気柵の両端部にブタ用のトラップ(罠)を仕掛けるつもりであったが、ブタの進入経路や海岸での横の動きなど知るために今後の課題として残してある。ブタは監視小屋側より奥に湿地帯があるシュジョウ川寄りから進入している場合の方が多く、ラポン岬とシュジョウ川の間から海岸に出ている。湿地帯はブタにとっての格好の生息場所である。海岸に出たブタは電気柵沿いには300m程しか入らないことが今回の調査で判った。ワルマメディ海岸のブタの食害率をさらに下げるためには、シュジョウ川とラポン岬の間に電気柵を設置することが望まれる。

ラポン海岸はラポン岬から200mのところから山になっており、この山は西にいくに連れて急峻になる。地元住民の話ではブタは急峻な山を降りることはないという。そのため、なだらかな山の南側に電気柵を設置し、数百mごとに20-30mほど柵に垂直にトラップ(捕獲用の罠ではない)と呼ばれる枝柵を伸ばすことによってラポン岬付近からのブタの進入をほぼ完璧に防ぐことができる。トラップの効用は、ブタが直線的行動を行い、柵を回り込まないという習性を利用したものであるが、この効果は非常に大きい。設置した電気柵の両端はこのトラップ効果を利用している。また、スウェン川から監視小屋の東にあるシュガイ川まで電気柵を設置すればワルマメディ海岸の産卵主要部は完全に保護することができる。東端のバタス岬付近はラポン海岸と同様に後背地は急峻な山になっている。そのため、ブタの進入も監視小屋付近からシュガイ川右岸側に限られる。これによりブタ用トラップを集中的に仕掛けることが可能になる。

ブタは個々の学習により卵を食していると考えられており、電気柵も数年後には学習により海岸の横への進入度合いが増えていくことが予測される。そのため、ブタの捕獲は是非とも必要な作業となる。その捕獲を容易にするためにもブタの進入経路を狭める必要がある。

参考文献

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  • Girondot, Marc and Jacques Fretey. 1996. Leatherback turtles, Dermochelys coriacea, nesting in French Guiana, 1978- 1995. Chelonian Conservation and Biology, International Journal of Turtle and Tortoise Research, Vol 2, No. 2.
  • Spotila, James R., Arthur E. Dunham, Alison J. Leslie, Anthony C. steyermark, Pamela T. Plotkin, and Frank V. Paladino. Worldwide population decline of Dermochelys coriacea; are leatherback turtles going extinct? Chelonian Conservation and Biology, International Journal of Turtle and Tortoise Research, Vol 2, No. 2.