相模大堰訴訟ならびに相模大堰円卓会議の記録出版Report on the Sagami-Ozeki Dam Lawsuit and the Roundtable Conference

著者名Authors

相模川キャンプインシンポジウムSagami River Camp-in Symposium

金尾憲一Ken-ichi Kanao・ 岡田一慶Kazuyoshi Okada・ 林美智子Michiko Hayashi・ 佐藤守Mamoru Sato・ 氏家雅仁Masahito Ujiie・ 氏家里美Satomi Ujiie・ 林純郎Sumio Hayashi・ 石井保美Yasumi Ishii・ 宮下敬一郎Keiichiro Miyashita

相模大堰とは

相模大堰は、神奈川県を流れる相模川にできた取水堰です。建設費用は4,610億円、水源である宮ヶ瀬ダムを合わせると8,580億円の巨大事業です。必要性を疑問視する声を無視して、1995年10月に着工、1998年6月に完成しました。この事業の費用のほとんどは、納税者、水道利用者に押し付けられるのです。

失われた自然 ―絶滅危急種が何十種も―

相模川も他の都市近郊河川と同じように「開発」の波に洗われてきました。それでもここには約1,000種の動植物が生息し、その中には絶滅危惧種が約60種含まれていましたが、一変しました。環境の指標となる川床に生息する水棲昆虫は、湛水前には1m2あたり94種1万個体以上いたものが、湛水後半年でほぼ0になりました。

私たちの活動 ―自然の権利訴訟と円卓会議―

裁判は、公金支出の差し止めを求めるものですが、日本で初めて動植物の生きる権利を主張しました。1994年に始まり、2000年5月8日に結審しました。判決は2001年2月28日、横浜地裁で言い渡されました。裁判所は、知事の関与や公金支出に関する責任は認めましたが、裁量の範囲内で違法とは言えない、と結論付けました。環境問題については明確な判断を避けました。私達は、これを不服として3月14日に控訴しました。

円卓会議は、相模大堰水利権許可の保留を求めて、憲法に保証された請願権を行使し、建設大臣に直接請願した結果始まりました。1995年2月22日に始まり、1999年7月20日に42回目で終了しました。市民とは対話しないと公言する行政が、まして、係争中に、話し合いの場を持つのは異例のことです。また、共に、レッドデータブックを技術資料とする日本初の訴訟、交渉です。

この助成事業の目的と成果

このように、過去に例を見ない訴訟、会議を市民の立場から記録にとどめ、経験を共有化することは重要であると考え、出版事業を企画しました。円卓会議の記録は、CD-ROMの形で完成2001年11月末に完成しました。訴訟記録については、一審判決の遅れや、控訴審の対応などで遅れたものの、2002年5月末に完成にこぎつけました。

写真1 出版物 訴訟記録「川は誰のものか」

写真1 出版物 訴訟記録「川は誰のものか」

写真2 CD-ROM 円卓会議の記録「相模大堰に関する円卓会議」

写真2 CD-ROM 円卓会議の記録「相模大堰に関する円卓会議」