ホトケドジョウの育つ小川づくりLet's make a happy stream for Hotokedojo (Lefua echigonia) families!

著者名Authors

恩田の谷戸ファンクラブONDA NO YATO FAN CLUB

藤田廣子Hiroko Fujita・ 高見元久Motohisa Takami・ 林邦能Kuniyoshi Hayashi・ 高橋多枝子Taeko Takahashi・ 福富洋一郎Yoichiro Fukutomi

背景

恩田の谷戸は、横浜市郊外の丘陵地に位置する。近年、周辺で宅地開発が盛んに行なわれたこともあって、わずかに残った雑木林と水田が一体となった谷戸は貴重な緑地環境となっており、源流域には数が減少したとはいえホタルやホトケドジョウ(写真1)など多様な生き物が生息している。当ファンクラブでは地権者である農家の理解を得て谷戸の景観(写真2)やそこに生息する生き物を含む生態系の保全活動を続けてきている。しかしながら、恩田の谷戸のうち、数年前に農地改良工事で建設発生土をかさ上げ(図1)のために受け入れた谷戸では湧水域を含めたホトケドジョウの生息場所が失われ、工事に併せて確保・復元された小川(通称「ホトケドジョウの小川」)も素掘りのために地中への漏水が激しく、晴天が続くと水量不足のために小川全体が干上がる状況となっていた。ファンクラブでは、最終的にはホトケドジョウが人の手を借りずに生息できる環境の復元整備を目標としてホトケドジョウの育つ小川づくりを行なったものである。

実施内容

復元事例を参考にしたほか学識者の助言を得てホトケドジョウ生息環境の全体像を構想(図2)し、順次継続して整備を行なうこととした。

第一段階
水量不足時にホトケドジョウが逃げ込む場の確保
複数の池(大きさ5m×2m程度の長円形、水深最大50cm)を造成
池周囲には湿生植物および日陰を創出する樹木を植栽
第二段階
池をつなぐ小川の整備
第三段階
水量の確保、湧水の復活(予定)
通常生活の場および繁殖活動域の創出

池および小川の創造にあたって、漏水防止を図るためにビニールシートと粘性土を併用した。水生昆虫等の生息環境を確保するために、水底から40~50cmの深度まで掘削して防水シートを敷設し、シートの上を掘削土にベントナイトを混合した難透水性材料で多層構造に締め固めて底棲生物にも支障のないよう配慮[写真3]した。

現況および今後

複数の池および小川を漏水しない構造とすることで、常時水量を確保することが可能となった。整備後、梅雨時期にはカエルの産卵が見られたほかトンボの幼虫や水生昆虫が生息するまでになっている。

今後も継続してホトケドジョウの生息環境、湧水の確保等を図っていく予定である。

写真1 ホトケドジョウ

写真1 ホトケドジョウ *1

写真2 谷戸の原風景(10年前)

写真2 谷戸の原風景(10年前)

写真2 谷戸の原風景(10年前) *2

写真3 生息池の施工と生き物の回復

写真3 生息池の施工と生き物の回復

図1 農地のかさ上げによる小川の変更

図1 農地のかさ上げによる小川の変更

図2 生息環境整備構想の概要

図2 生息環境整備構想の概要

*1: ホトケドジョウについて
コイ目ドジョウ科に属する日本固有種で、小型で細長い円筒形をしており、茶~赤褐色を呈する。4対のひげを持ち、水生昆虫等を主食とする。生息域は丘陵地の谷戸の湧水のある緩やかな流れであるが、生息地の急激な減少で神奈川県では絶滅の恐れがある。
*2: 谷戸の変遷
宅地開発等で谷戸を構成する雑木林や農地が激減している。また、農地改良工事による旧来の小川の削減などホトケドジョウの生息環境は激減している。