本州産クマゲラの繁殖期における行動圏調査及びその生態調査The research of action area and its ecology in breeding season of the Black Woodpecker (Dryocopus martius) in Honshu, Japan

著者名Authors

本州産クマゲラ研究会The Black woodpecker (Dryocopus martius) research association in Honshu, Japan

藤井忠志Tadashi Fujii・ 望月達也Tatuya Mochizuki・ 黍原豊Yutaka Kibihara・ 新藤潤一Junichi Shindou・ 新藤幸子Sachiko Shindou・ 小池幸雄Yukio Koike・ 小池宏美Hiromi Koike・ 春日奈穂美Naomi Kasuga・ 千葉一彦Kazuhiko Chiba・ 工藤裕子Yuko Kudo・加藤あきこAkiko Katou・森下祐介Yusuke Morishita・井上祐治Yuji Inoue・奥畑充幸Mituyuki Okuhata・大上幹彦Mikihiko Oue・他etc.

要約Summary

白神山地の世界自然遺産指定外地域でクマゲラ一つがいの繁殖期における行動圏・繁殖生態調査を、5月2日から6月18日までの48日間に8回、15日間、延べ調査員106名を動員して行った。その結果、主要行動圏は半径約2km、面積では約1,256haが、最外郭行動圏は半径約3km、面積では約2,826haに及ぶことが判明し、緩衝地帯もあわせるとひとつがいあたり約3,000haが必要と推定された。

5月初旬から抱卵し、6月14日早朝にメス2羽が巣立ちした。メス親のねぐら木は、営巣木から約12mの位置にあった。

また給餌に飛来したオス親の糞を計測したら、長さ40mm、最大断面15mm、最小断面9mmであった。

クマゲラが発するコロコロ音とキャー音について観察者の存在が明らかな場合とそうでない場合を比較したところ顕著な差が現れ、これらの音声は警戒音と威嚇音であることが判明した。


The action area of breeding season one pair of the Black Woodpecker (Dryocopus martius) had about 3,000 ha in Mt. Shirakami.

The distance of between female roosting tree and breeding nest was about 12m.We found the black woodpecker's voices (kurr, kijah) were caution and threat.

1.はじめに

クマゲラ(Dryocopus martius)は、1965年5月12日に国の天然記念物に指定され、現在は北海道と本州北部に生息が確認されている。しかし近年の伐採や開発とともに、その個体数が激減し、ことに本州に生息する個体群については、種の維持の観点から危機的状況でもある。

本州産クマゲラについてはこれまで秋田県野鳥の会、環境庁、日本自然保護協会、青森営林局、そして本州産クマゲラ研究会などにより、主に繁殖期の生態調査が実施され何度も保護対策が論じられてきたが、生態が未知であることと行動圏が把握されていないことなどから、確固たる保護対策が講じられていない。

そこで本調査では、白神山地の世界自然遺産指定外地域で未公表地域におけるクマゲラひとつがいの繁殖期の行動圏を追跡してみた。これまで何度もテレメトリ-などにおける追跡は検討されたが、本州ではその実績がないことと本種に与えるストレス、また白神山地のような起伏の激しい地での追跡が困難であることなどが予想されたため、人海戦術による定点調査にふみきった。

なお本調査に際しては、日本自然保護協会のP.N.ファンド(Pro Natura Fund)から70万円の助成金を得て調査機材やその他関連物品を購入した。しかし調査中の食費や交通費などは、代表の藤井と調査を指揮した望月の持ち出しや会員のカンパで補い、財政的には苦しい調査でもあった。

また東北森林管理局青森分局(津軽森林 管理署)や鯵ケ沢土木事務所には入林許可やゲ-ト開通前の特別措置を講じていただき、この場を借りて敬意を表します。さらに本調査に際して多忙の中、調査に参加いただいた会員以外の有志には、心から感謝の意を表します。

2.調査地域

まずはじめに近年のクマゲラ繁殖地が公表されると、その都度マスコミ関係者や果てはカメラハンタ-らの入林が増加し、繁殖地が荒れ本種の繁殖活動への妨げになることに危惧を抱いている。またそのような妨害により、本州産クマゲラの繁殖生態に関する客観的デ-タが把握できないことも予想される。事実、白神山地内で繁殖活動を行ったクマゲラが、育雛を放棄した過去の実例もある。そこで今回の調査地については、公表できないことをあらかじめ断っておきたい。

白神山地の世界自然遺産指定外地域で、我々本州産クマゲラ研究会が1999年度に繁殖を把握している地は、全部で4繁殖地である。調査地は5月下旬から山菜とりや釣り関係者、およびクマ撃ちなどのメッカとして地元の方々はもちろんのこと、県外からも多数の山関係者が訪れる地でもある。

鳥獣相においては、イヌワシ、クマタカなどの大型のワシタカ類の他、ニホンツキノワグマ、カモシカ、ニホンザルなど多様な生物の宝庫であり、厳冬季にはオジロワシが飛来する地でもある。

3. 調査方法

白神山地のクマゲラ調査は、1985年からクマゲラの痕跡を求め、岩手クマゲラ研究会創立以来、毎回5人前後の調査員を動員して継続されてきた。

調査項目は、子育て用の営巣木、営巣活動が十分可能な営巣可能木、夜寝るためだけのねぐら木、ねぐらとして使用可能なねぐら可能木、餌をとった後の採餌木等を1本1本目視および双眼鏡で確認し、デ-タを蓄積してきた。その際、記録用としてカメラやビデオカメラを用いたが、繁殖期は営巣木から約30mほどの距離を保ち、本種の営巣活動を脅かさないように観察してきた。

今回の繁殖期における行動圏調査・生態調査は、抱卵初期の5月2日から巣立ちが行われる6月18日までの48日間に8回、15日間、延べ調査員106名を動員して行われた。

営巣木を中心に半径2km以内の地点に、8~10名前後の調査員を配置した。そして本種の声を聞き取り、目視、双眼鏡、スコ-プを用い、つがいの飛翔ル-トを無線で連絡しながら追跡を試みた。その際、クマゲラ名は直接出さず、オスは「Dry.」メスは「Diana」と呼称した。

また調査が及ばない地点の本種に関する痕跡は、地元で山菜採りやパトロ-ルをしておられる方々からの情報で補完した。

4. 調査結果

1) 繁殖地

クマゲラ繁殖地の林相は、トチノキ、センノキ、ハウチワカエデ、イタヤカエデがわずかながら認められる他は、すべてブナであった。胸高直径も50cm内外で電柱状の通直なブナが優占しており、オオカメノキ、オオバクロモジ、リョウブ、ムラサキヤシオ、タムシバなどの低木相の他、林床にはシラネワラビ、ユキザサ、チゴユリ、サルメンネビネ、ヒトリシズカ、フタリシズカなどが群生していた。またチシマザサが全く認められないさっぱりした林床植生は、これまでの本州産クマゲラ繁殖地と同様であった。

2) 行動圏

抱卵初期および育雛初期の主要行動圏は、営巣木を中心に半径1,000mほどであった。しかし雛の成長に伴い、主要行動圏が1,500mから~2,000mに拡大した。育雛中期から後期では、営巣木から北西側3,000mの位置で確認され、南側においても営巣木から2,800m地点で鳴き声が聞かれた。2つがいの存在も有り得るか?と思われたが、本調査で対象個体の姿を見失った方向と時間帯、状況などが一致していたことから、本流域ではひとつがいの生息とみなした。

また本流をはさみ、営巣木から半径2,000m以内の両岸の緩やかな斜面には、至るところ本種の生活痕跡である新しいごく最近のねぐら木や営巣可能木が発見され、本流域全体が代々受け継がれ利用されてきたものと推定された。

メスのねぐら木は、営巣地内にあり、営巣木から直線で西側12mの距離であった。しかし営巣地から対岸500mの緩斜面には、真新しい営巣木にも匹敵するねぐら木も存在し、営巣木を飛び出した本つがいが、その斜面のブナ林に飛び込んで行く姿が何度も調査員により目撃された。このねぐらの森と営巣地との往来は、繁殖初期から巣立ちまで天候にかかわらず頻繁になされており、本つがいにとって営巣地同様重要な拠点になっていると考えられた。

飛翔ル-トについては、営巣木から飛び出した後はどのコ-スも満遍無く利用されていた。どうしても人海戦術で追跡する関係上、ブナの葉が繁茂した森林内では個体を見失ってからの飛翔ル-トは追跡できなかった。今後の課題である。

以上より本流域におけるクマゲラは、ひとつがいあたり半径2,000mを主要行動圏とし、最外郭部は半径3,000mに及ぶ行動圏を有しているものと思われる。これは円形であると仮定すると、主要行動圏は約1,256haで最外郭行動圏は約2,826haにも及ぶ。

藤井ら(1996)は、白神山地のこれまでの繁殖地点間距離から、半径1,900mを主張していたが、人工林や林道などが複雑に入り込んでいるため、いちがいに半径~mとは断言できない部分もあった。ただ今回の行動圏調査では、最外郭部が営巣木から3,000m地点であったことから、流域一帯の全地域におよぶ保護・保全が必要不可欠である。

3) 繁殖生態

本つがいの繁殖活動は、5月初旬から抱卵し5月中旬には孵化、そして約1ケ月の6月中旬に巣立ちという、本州産クマゲラ個体群の典型的繁殖日程であった。巣立ちは6月14日早朝に行われ、2羽のメス雛が無事巣立ちした。これは前年度と同様の巣立ち雛数であり、性別であった。なお1989年以降、白神山地で繁殖し我々が確実に巣立ちを確認した総個体数は40羽で、性別はオス15羽、メス25羽で3対5に近似した。通常は1対1であるがこの均衡がくずれている。ただ雛の数や巣立ちを確認できなかった年があったことから、雛の総数は約48羽で、親との個体数をあわせると単純には約56羽に及ぶ。本州全体の総巣立ち雛数は64羽で、これはひとつがいあたり平均2.3羽にあたる。さらに繁殖していたが巣立ちを確認できなかったもの(1腹2羽とみなして×5つがい)も加えると、全部で74羽の雛が北東北のブナ林に巣立ったことになる。

営巣木は、昨年の営巣木と隣り合うブナ生木が利用されていた。胸高直径は50cmで巣穴までの高さ11.5m、下枝高8.5m、樹高21mのブナに西方向に2個の巣穴があけられ、上部の大型の巣穴が繁殖穴として使われていた。昨年は巣穴がうがたれていたことから、造巣期は3月~4月と思われる。調査時点で営巣木真下には、巣穴から掘り出された新しい木片はほとんどなかった。

メスのねぐら木は胸高直径56cmのブナ生木で、ねぐら穴の高さは5m、ねぐら穴の方角は南西、下枝高10.5mで穴は4個あけられていた。

以上をまとめると、繁殖初期から後期までは次のようになり、繁殖・営巣活動の経過は以下のようになる。

繁殖初期;つがいのどちらかが必ず在巣し、抱卵・抱雛交替を繰り返していた。

繁殖中期;繁殖最盛期の5月下旬には1日の総給餌回数が15回に達し、それまで巣穴に入巣して給餌していた親も巣口で与えるようになった。また、糞をくわえて出巣する親の姿が初めて確認され、巣口から雛のくちばしも見えはじめた。

繁殖後期;給餌回数が激減し、営巣地に飛来してもなかなか餌を与えようとしなくなった。また、巣口正面で給餌していたものが巣口の横から与えていた。これは巣立ち間際の雛にくちばしでつつかれるのを回避するためと思われた。

繁殖期間中、オスは営巣木へ残り、メスはねぐら木にそれぞれ別々に就塒した。就塒時間は晴天時は日没とほぼ同時で、雨天時やガスがかかった日などは日没より約40分早かった。これはアオゲラなど他の日本産キツツキと同様であった。

なお主食はムネアカオオアリであり、給餌のため飛来したオスが営巣地で排出した糞を採取し計測したところ、長さ40mmで最大断面15mm、最小断面9mmであった。糞の内容物は、ムネアカオオアリの黒いキチン質のクチクラ(硬タンパク質で体表をおおう細胞の外表面にある膜状構造)にあたる殻が、白い尿酸に包まれた大型の塊であった。

4) クマゲラの発する音声について

クマゲラの音声に関する研究は、日本では小笠原暠秋田大学教授らによるものしかなく海外の研究から遅れをとっているのが実情である。

クマゲラの発する音声は、極めて特徴的で、だれでも一度聞いたら忘れられないものである。クマゲラの発する音声には、キャ-音、コロコロ音、クックレア音、クイッ音、ジャッジャッ音の5種類と、枯れ木などをくちばしで連続してたたくドラミングの6種類に分類されている。特にキャ-音は停止時に、コロコロ音は飛翔時に(小笠原他, 1981)、本種の代表的音声として必ず発せられるものと解釈されてきた。しかし、本調査では必ずしもそのようなことがないことが判明した。

ア. 「Kurr Kurr」音(コロコロ音)について

本音声は、飛翔時の際に必ず発せられると解釈してきた。しかし、クマゲラは本音声を発する場合と、発しない場合の2通りあるのに調査中気付いた。

我々観察者が営巣地でブラインドを張らずに待ち構え、本種が観察者の存在に気づいた場合、本音声を発して飛来してきた。また観察者の存在にかかわらず、樹冠より高い位置を長距離飛翔する際にも発していた。これは今回の観察対象つがい以外の、他の地の2繁殖つがいにおいても同様であった。

一方、我々観察者の存在に気がつかなかった場合には、無音で飛来し無音で飛去を繰り返していた。この際、観察者の存在を知られないために、迷彩色の2mと3m幅の2種類の布製ブラインドを自作し、観察者はもちろん、カメラ機材など一切の人工物を本種に認知されないようにした。これはブラインドがない場合でも、観察者が営巣地に到着後つがいが初めて営巣地に飛来したときにも無音であった。これと同じことは、他の2繁殖地においても行われていた。

以上より、コロコロ音は飛翔時必ず発せられる音声ではなく、飛翔時の警戒音であると同時に他に対する威嚇音であるものと推測できる。

イ. 「Kijah」音(キャ-音)について

本音声は、枝や伐根上での停止時によく発せられる音声と解釈されてきた。しかしコロコロ音同様、本音声も営巣地において観察者の存在に気がついた場合に盛んに発せられ、気付かなかった場合には全く無音であった。これは、他の2繁殖地のつがいも同様であった。

ことに観察者の存在が明らかになった場合のキャ-音は、本種の声が裏返るほどの強いキャ-音であった。1994年、中村川上流で繁殖活動を行っていたオス親が、営巣地に侵入してきた他のオスの存在に気づいた折りにも、同様の連続的なキャ-音が発せられ、追跡の際の飛翔には林内でもコロコロ音を発していた。

また巣立ちを促す際には、弱いキャ-音を遠くから発していた。

従って、本音声はコロコロ音同様、警戒音ではあるが、より強い警戒音であると考えられる。

ウ. ドラミング

ドラミングは繁殖期によく行われるが、ドラミングの直後個体が営巣地に現れたり、巣立ちまぎわの巣口にいた雛がその直後、繁殖穴内に姿を消したり、逆にドラミング後顔を出したりといった感じで一定ではなかった。しかし、ドラミングやキャ-音により雛の反応が顕著に推移した。ドラミング時のハンマリングの仕方で、我々人間ではわからないように使い分けているものと思われる。キツツキにとって、重要な交信手段がドラミングであると考えられる。

以上より、これまで定説のように解釈されてきたコロコロ音やキャ-音についての認識を改める必要があると思われる。換言するならば、本種がコロコロ音やキャ-音を発してくるような観察態度は、改善されなければいけない。本種に限らず、ありのままの生態を追求するのであれば、ブラインドは必需品であり、研究者として観察者として撮影者として準備するのは当然の義務といえよう。

5) 本流域で調査中確認された野鳥

調査中に確認できた野鳥は、60種類で未確認情報の1種を含めると61種類に及ぶ。クマゲラのほかイヌワシ、クマタカ、コノハズク、アオバトなどの希少鳥類が生息しており、当調査流域の植生自然度の豊かさが象徴されている。一流域にこれほどの鳥類がセットで生息している地は他に類例がなく、生物多様性の観点からも貴重である。

当地は今後とも現在の自然状態を保持し、21世紀に手渡されなければいけない自然と考える。永久に保存すべき貴重な自然であり、生態学的にも学術的にも非常に重要な地である。換言するなら白神山地を代表する優れた自然が良好に保持された流域ともいえよう。

5. 本種の保護・保全に向けて

本つがいの現況を観察するかぎり、典型的な本州産クマゲラの繁殖生態であった。前述した野鳥の種類にも現れているが、本流域には極めて多様性に富み複雑な林分構成を持つ安定した極相林が保持され、それがひいてはクマゲラの生存を支えてきたものと思われる。このような意味でクマゲラは、東北のブナ林の、そして白神山地のフラッグシップスピ-シズ(Flagship species)ともいえる。

またクマゲラに限らずあらゆる動植物の宝庫であり、動物ではニホンツキノワグマ、カモシカ、タヌキ、ニホンザル、キテンなども確認された。しかしニホンツキノワグマに関しては、年々個体のサイズが小型化し、これ以上の狩猟圧は絶滅を示唆するという危惧が切実な地元の声としてあがっている。これはクマゲラ、イヌワシ、クマタカなどにも同様のことがいえ、これ以上の人為的インパクトは加えるべきではない。

ワシタカ類の相をみても、一流域でこれほどの種が生息しているのは、白神山地の中でも類例がない。大型の鳥類や動物類の保護には、まるごと生息地を保護・保全することが必要不可欠であることはいうまでもない。

そのような意味で今回の繁殖期におけるクマゲラ行動圏調査は、クマゲラ保護のための基礎資料として重要な意義を持つ。クマゲラの行動圏は、単純に約2,826haと数値化されたものの緩衝地帯も欠かせないことから、ひとつがいあたり約3,000haとおさえるとベストであろう。従って、青森営林局長の通達は早急に見直しが必要である。

さらにクマゲラの巣立ちした雛が分散できる地は、営巣地からなるべく近距離で可能なかぎり広大なブナ林が必要であり、これまで巣立ちした雛が安定した形で生息していくには、白神山地全体でも不足の状況にある。Ogasawara et al.(1994)によると、白神山地のクマゲラ生息分布域は30,000haであり、これを前述した繁殖期行動圏の3,000haで割り出すと10つがいが生息可能であり、これは白神山地全体のぎりぎりの数値と思われる。

本州産クマゲラ個体群は6個体群に大別されている(藤井, 1998)が、本州産クマゲラ個体群の種の維持の観点から、白神山地クマゲラ個体群保護は重要な課題でもある。

今後、白神山地の世界自然遺産指定外地域におけるクマゲラ生息地は、純度の高い自然という観点から、すべて特定動物生息地保護林として指定すべきである。また、本州産クマゲラ個体群を、天然記念物から特別天然記念物に昇格指定すべきものと考える。これには、北海道産クマゲラ個体群との亜種レベルの比較が早急に実施されなければいけない。

最後にこれまでの白神山地のクマゲラを取り巻く状況から、繁殖期に一般者が営巣地に近づかないないよう管理面も考えること、クマゲラ保護のためクマゲラ生息地の公表はしないこと(青森営林局, 1996)が何より肝要である。

6.文献

  • 小笠原暠・泉祐一・船木信一 (1981) 声紋分析によるクマゲラの基本的音声の比較.秋田大学教育学部教育工学研究報告 第3号;37-44
  • 藤井忠志・望月達也・小池幸雄 (1996) 白神山地における繁殖地点間距離.ワイルドライフ・フォ-ラム、2:15
  • Ko Ogasawara, Yuichi Izumi and Tadashi Fujii (1994) The Status of Black Woodpecker in Northern Tohoku Ditrict, Japan. Yamashina Institute for Ornithology Vol.26 no.2;87-98
  • 藤井忠志 (1998) 本州産クマゲラ個体群の生息と生態の調査研究.下中記念財団1998年報,4-13
  • 青森営林局 (1996) 白神山地におけるクマゲラと林業との共生のための調査報告書,91