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【配布資料】今日からはじめる自然観察「イエコウモリを観察してみよう」

2012.04.27
解説

会報ページ画像

【今日からはじめる自然観察】イエコウモリを観察してみよう(PDF/2.42MB)
<会報『自然保護』No.527(2012年5・6月号)より転載>
このページは、筆者に、教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。ダウンロードして、自然観察会などでご活用ください。

今年は国際コウモリ年です!世界に約1000種、日本には35種ほどいるコウモリ。

その中で、住宅街でも見ることができる<身近なイエコウモリ(アブラコウモリ)に注目します。

三笠暁子(コウモリの会事務局)


陽が沈んで、周囲が暗く見えにくくなってくると、コウモリが現れる時間です。「夕暮れ時」といいますが、その時間帯を私は「コウモリ時(どき)」と呼んでいます。コウモリ時になると、コウモリがどこからともなく飛んできて、音も立てずに上空をヒラヒラと飛び回ります。

そんな姿をご覧になったことがある方も多いと思いますが、以前、コウモリ観察会を行った際、「こんな家のそばにもコウモリがいるんだ!」と驚かれたことがあります。コウモリといえば洞窟にすんでいて、人間の住む場所とは離れたところにいる、というイメージを持っている方も多いようです。

イエコウモリ:日本にいるコウモリの中では比較的小型。頭胴長約4~6cm

市街地に適応したコウモリ

では、市街地で見られるコウモリは、いったいどこから飛んでくるのでしょう?実は、建造物をすみかにしているのです。本州の市街地では、森林にはほとんど生息しないイエコウモリが普通に見られます。イエコウモリは家の屋根や雨戸の隙間など、建造物のさまざまな隙間をねぐらにしています。観察に適した時期は6〜10月頃。池や河原、畑、校庭など、開けた場所で近くに水場があるところが観察に適しています。

 

採餌の様子を観察しよう

飛んでいるコウモリを見つけるときに重宝する機械がバットディテクター(コウモリ探知機)です。バットディテクターはコウモリが出す超音波をキャッチして人間にも聞こえる音に変換してくれる機械です。これがあると音でコウモリがやってきたことが分かります。バットディテクターのスイッチを入れて周波数のダイアルを45kHzくらいのところに合わせておきます。イエコウモリが近づいてくると、はっきりとした音で「チッチッ……」と舌打ちのような音が聞こます。

コウモリはパルスという短い信号で超音波を出して餌や障害物の方向や距離を把握するので、このように聞こえるのです。音をよく聞いていると、時々パルスのテンポが速くなって、ついには「ヂー」と音が重なります。それはコウモリが虫を捕えた瞬間です。明かりがあれば、音の変化とコウモリが虫を捕えて翼をくるっとひるがえす様子が観察できます。

バットディテクターを使わずに暗い中でコウモリを見つけるコツは、外灯をチェックすることです。光に集まる昆虫を食べようとして、コウモリも外灯にやってくることがあります。この場合、手をかざして視界の中で外灯の光を遮断すると、コウモリの飛ぶ姿をうまく見つけることができます。

北海道には函館など一部を除いてイエコウモリは生息していません。代わりにいくつかの種類が市街地に進出しているようですが、どの種がどこまで進出しているかは、はっきり分かっていません。北海道の市街地でコウモリを見つけたら、ぜひバットディテクターを使ってパルスの周波数帯や、コウモリの大きさなどを調べてみましょう。新しい発見につながる可能性もあります。

 
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コウモリ観察のポイント(図解ページ)"


<クイズの答え>
A ペインテッドバット…b 葉の中、B キクガシラコウモリ…d 洞窟、
C ライルオオコウモリ…c 木の枝、D タケコウモリ…a タケの中

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