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IUCNが、島嶼生態系への外来種の侵入経路管理を強化すべきと勧告。

2016.11.04
活動報告

4年に一度開かれるIUCNの世界自然保護会議(WCC)。今回は生物多様性に与える脅威の大きさが2番目とされる外来種対策に焦点が置かれ、セミナーなど14のイベントが開かれました。

NACS-Jは、外来種駆除を行っている国際NGO「アイランドコンサベーション」との共催で「レジリエントな地球のためのバイオセキュリティ」というワークショップを開催しました。吉田正人NACS-J専務理事からは小笠原諸島の外来種問題を中心にバラスト水規制管理条約など広い話も提供し、私からは辺野古の埋め立て土砂に伴い侵入する可能性のある外来種の問題について紹介しました。

ワークショップを通じて確認されたのは、一度島嶼生態系に入ってしまった外来種を根絶させるのはものすごく時間とお金を要する話であり、生態系にもダメージが及ぶので、予防(prevention)に力を入れる、つまり駆除できないものは島嶼には入れない、ということでした。

IUCNはWCCが行われる際に政府などに対し勧告を出します。今回は勧告候補案について事前にオンライン議論と電子投票が行われました。NACS-Jは「島嶼生態系への外来種の侵入経路管理の強化」と題した勧告案を5団体と共同で提案。議決結果は、政府側は賛成80、反対2、棄権74、NGO側は賛成459、反対24、棄権204と、圧倒的多数で無事採択されました。これは、日本の島嶼生態系を外来種から守ることにとって大きな意味があります。

勧告には、大量の資材を生物地理区分を超えて運ぶことは外来種侵入の大きなリスクを伴い、このリスクを排除するには多くの要求を満たさなければならないと述べています。日本政府は、勧告に従い、直ちに沖縄・辺野古の埋め立てに伴い予定されている大量の土砂の導入を見直すか、勧告に書かれているすべての要求を実行すべきです。また、同時にIUCNの外来種のデータベースを強化する勧告案も採択され、今後より一層、外来種対策に力を入れていくことが確認されました。

辺野古の問題についてはIUCN種の保存委員会・侵略的外来種グループ長から「日本政府を動かすには客観的な事実やデータ、先例を用いること」「生物多様性関係の国際会議を沖縄に誘致すること」などが提案されました。また世界自然遺産登録に先立つIUCNの視察に外来種の専門家も同行してほしいなどの相談事があればいつでも受け付ける、という協力の言葉をいただきました。

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