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ニホンウナギが絶滅危惧種に。天然ウナギは食べられなくなる?!

2013.02.01
活動報告

icon_masuzawa.jpg こんにちは、広報・編集部の増沢です。
今日2月1日、ニホンウナギが環境省版レッドリストの絶滅危惧IB類に指定され、環境大臣が「関係省庁と一丸となって保護に取り組みたい」とコメントしたことが報道されています。

<ニホンウナギ>絶滅危惧種に環境省が指定(毎日新聞) ※現在、リンク切れ

ニホンウナギは生態に関して不明な点が多くこれまでは「情報不足」と判断されてきましたが、昨年5月にマリアナ海溝で捕獲されたニホンウナギの調査で、海から川へと遡上する個体が産卵に大きく寄与していることが確かめられたことなどを受けて、改めて評価が行われました。

ニホンウナギ激減の状況については、会報『自然保護』2012年7・8月号(528号)でも取り上げています。

unagi.jpg図:3種類のウナギの稚魚の推定資源量の推移(立川賢一らによる)※1960~70年平均を100とする。詳しい記事はこちらから

これからウナギが食べられない??

さて、ここで思わず気になるのが、「絶滅危惧種に指定されたら、ウナギが食べられなくなるの?!」という点。

レッドリストに詳しい、保全研究部の道家によると、「環境省版レッドリストに掲載されたからと言って、すぐに獲ったり食べたりすることが規制されるわけではありません」とのこと。

日本には、野生生物を守るための法律として「種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)」があり、この法律で「国内希少野生動植物種」に指定されると、生きている個体の捕獲等が原則として禁止になります。

ですから今後、ニホンウナギがこの種の保存法の対象種に指定されたり、農林水産省によって漁獲規制が設定されるなどした場合には、ニホンウナギの捕獲が制限されたり禁止されることになるのです。

ワシントン条約で対象になる?

また、昨年はアメリカ政府によって、絶滅の恐れがある野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約の対象種に、ニホンウナギ加えることが検討されていました。

今年3月に開催されるワシントン条約締結国会議への提案は見送られましたが、今後、条約の対象種になることがあれば、先の種の保存法の「国際希少野生動植物種」に指定され、譲渡や陳列が規制されることになります。

私たちの生活の中からウナギがなくなってしまわないようにするためには、絶滅の危機から脱するための保全策を早急に整えていかなくてはなりません。

文化的にも、わたしたちの食生活でもなじみの深いウナギ。賢い消費を考えることに加え、漁業や流通などさまざまな関係者も連携し、より一層の保全策に取り組めるよう、NACS-Jでは海や川の生物多様性保全を協力して進めていく場をさらにつくっていきたいと思います。

※天然ウナギ激減の原因については、会報『自然保護』516号(2010年7/8月号)生命の輪で立川賢一さんに解説していただいています。(参考記事は>>こちら<<

※昨年5月に開催した、「海の生物多様性フォーラム」の詳細は>>こちら<<

■環境省は2012年8月に汽水・淡水魚類を除く9分類について、新たなレッドリスト(第4次レッドリスト)を公表していました(ニホンカワウソ絶滅が公表されたときです)。
今回、残りの1分類が公表されて、すべての第4次改定作業が終了したことになります。レッドリストに掲載された種数は、全10分類群合計で3,597種(これまでは3,155種)に増加。身近な生き物のドジョウも新たに「情報不足(DD)」として記載されています。
(環境省報道発表資料は>>こちら<<

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