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海辺・干潟・湿地環境の保全

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2020.08.19

沖合海底自然環境保全地域の指定及び保全計画の案に対してパブリックコメントを提出しました

現在、政府は、沖合海底自然環境保全地域制度が創設(令和2年4月1日施行)されたことに伴い、下記4件の沖合海底自然環境保全地域の指定及びその保全計画を検討しています。この保全計画の案に対して、日本自然保護協会はパブリックコメントを提出しました。

  • 伊豆・小笠原海溝沖合海底自然環境保全地域 指定書及び保全計画書(素案)
  • 中マリアナ海嶺・西マリアナ海嶺北部沖合海底自然環境保全地域 指定書及び保全計画書(素案)
  • 西七島海嶺沖合海底自然環境保全地域 指定書及び保全計画書(素案)
  • マリアナ海溝北部沖合海底自然環境保全地域 指定書及び保全計画書(素案)

(ご参考)「沖合海底自然環境保全地域の指定及び保全計画の案」4件に対する意見の募集(パブリックコメント)について(環境省ホームページ)

「沖合海底自然環境保全地域の指定及び保全計画の案」4件に関する意見(PDF/690KB)


環境省⾃然環境局⾃然環境計画課 御中

2020年8⽉19⽇

「沖合海底自然環境保全地域の指定及び保全計画の案」4件に関する意見

公益財団法⼈⽇本⾃然保護協会理事⻑
⻲⼭ 章
〒104-0033東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F
Tel.03-3553-4101 fax.tel.03-3553-0139

[ 意⾒ ]

意見1.全体について

沖合海底に海洋保護区を設置することは望ましいことである。愛知ターゲット及びSDGsの達成のためには、スピードアップして海洋保護区設置を進める必要がある。

しかしながら海域の⽣態系は科学的に解明されていない事象が多く、特に沖合域は科学的情報が蓄積されていないことを踏まえ、予防原則に従い、海洋保護区以外は開発できる場所と誤解されることがないよう注意が必要である。特に今回は対象とならなかった沖合海底以外の海洋の表層についてどのように保全を進めるのか検討する必要がある。例えば海洋の表層を流れる⿊潮、対⾺海流、親潮などの海流は、⽔塊、プランクトン、種⼦、胞⼦、卵、幼⽣、稚⿂、流れ藻などの移動、供給など多様な⽣態系を維持する極めて重要な役割を果たしている。また海流系⾃体が⼤きな空間スケールの⽣態系とも考えられる。さらに沿岸と沖合、表層と海底はつながっており、生物や物質がこれらの間を移動していることが重要である。

沖合の海底には海山、熱水噴出域、海溝などの多様な地形があり、特に近年は鉱物の採取、漁業、海洋投棄、気候変動などによりかく乱されることが多くなっていると考えられる。深海での鉱物採取により生態系が変化することや、採掘作業に伴い海底から出てくる物質が周囲に与える影響を懸念する声もある。IUCN(2018)が深海鉱物採取に関するガイドラインを出し、2020年1月に開催予定のIUCN第7回世界自然保護会議には勧告案「For the urgent global management of marine and coastal sand resources」が出されている。後者は当会も共同提案者の1つである。

(資料)深海鉱物採取に関するガイドライン
Cuyvers, L. et al. (2018). Deep seabed mining: a rising environmental challenge. Gland, Switzerland: IUCN and Gallifrey Foundation.

意見2.全体について

今回の保護区設定の前提となっている⽇本の海洋保護区の現状に誤りがある。我が国の管轄権内の海域における海洋保護区は約8.3%と試算されているが、その多くが領海(内⽔を含む)であり(約52.1%)、沖合域(EEZ内約3.6%)への海洋保護区の設定等は限られており、特に⾃然環境⼜は⽣物の⽣息・⽣育場の保護等を⽬的にした海洋保護区は沖合には全くない。⽇本⾃然保護協会が提出した提⾔書「⽇本の海洋保護区のあり⽅~⽣物多様性保全をすすめるために~」で指摘したように、⽇本の海洋保護区とされているエリアの中で真に⽣物多様性保全に寄与していると⾔えるものは国⼟の0.03%以下である。

また、上記約8.3%のうち、⾃然景観の保護や⾃然環境または⽣物の⽣息・⽣育の場の保護を⽬的としているのは合計で0.5%のみであり、7.2%は⽔産物の保護養殖等を⽬的としたものである。これは⽣物多様性の保全ではなく、⽣物多様性に基づく⽣態系サービスを⽬的としているものと考えられる。

⽣物多様性条約第14回締約国会議にてOECM「その他の効果的な保全(Other Area based Effective Conservation Measures)」の基準が合意された。OECMの海洋地域への適用の国際的な議論も進んでいることから、この期に、既存の海洋保護区制度、とりわけ大きな面積を占める漁業権設定地域や海洋資源開発促進法指定地域とOECMとの関係整理も含めた、海洋生物多様性の保全の仕組みの検討が必要である。

(資料)
「⽇本の海洋保護区のあり⽅~⽣物多様性保全をすすめるために~」⽇本⾃然保護協会 ・ 沿 岸 保 全 管 理 検 討 会 提 ⾔ (2012 年 5 ⽉ )
https://www.nacsj.or.jp/archive/files/katsudo/wetland/pdf/20120517mpateigensyo.pdf

DECISION ADOPTED BY THE CONFERENCE OF THE PARTIES TO THE CONVENTION ON BIOLOGICAL DIVERSITY 14/8. Protected areas and other effective area-based conservation measures (2018年11⽉30⽇ )
https://www.cbd.int/doc/decisions/cop-14/cop-14-dec-08-en.pdf

意見3.保全計画書3.保全のための規制に関する事項について

法第 35 条の4第3項第2号及び第3号に規定する方法は(1)鉱物の探査を行うこと、(2)海底に生息し、又は生育する動植物を捕獲し、又は採取することとされている。動植物に該当しない無機物については特段の規制が無いように読める。鉱物の採取、海底地形の破壊、海底採掘に伴う海底汚染などについては規制なく行われると理解できるため、これらの点については強化いただきたい。また採掘を許可するのであれば、内容について詳細な事後報告を義務づけていただきたい。

意見4.保全計画書4.自然環境の保全のための調査に関する事項その他の当該地域における自然環境の保全に関し必要な事項について

「必要に応じ、関係行政機関等の協力を求める。管理に当たっては、関係行政機関等と相互に緊密に連絡し、協力する」とされているが、答申では「回遊する漁業対象種や海棲哺乳類等の保全については、関係する省庁が協⼒して漁業資源管理の取組や、種レベルでの保存・管理等を中⼼に⾏っており、今後も引き続きその保全に取り組むことが適当である。」とあり、省庁間の連携により保全に⼗分な成果がみられている認識と⾒えるが、省庁間の連携は⼗分とは⾔い難い。

このことは⽇本政府が公表した海洋⽣物レッドリストに現れている。⽔産庁が得ている⽔産資源のデータと環境省が⽤いている⿂類・甲殻類・サンゴ類などの⽣物は、密接に関係して海域⽣態系を作り上げているにも関わらず、別々に評価がなされており、海域のデータとして総合的に評価されていない。沖合の海洋保護区については、科学的な意味を持ち、効果のある保全を進めるためには省庁縦割りを解消し、より積極的に連携させ、国の戦略として位置づけることが望まれる。

連携はある程度は⾏われ、取組がある種はあるが、絶滅に瀕する種は⽔産庁と環境省あわせて443種ある。陸に⽐べて調査が遅れていることを考えると、この種数にとどまらないことが懸念される。現状の取り組みを引き続き⾏うだけではなく、より拡⼤・推進して、この状況を改善できる海洋保護区にしていただきたい。

(資料)
「⽇本政府が公表した海洋⽣物レッドリストに対する意⾒」⽇本⾃然保護協会(2017年3⽉28⽇ )
https://www.nacsj.or.jp/archive/2017/03/3824/

以上

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