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猛禽類の生息地保全

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2020.06.24

「(仮称)那賀・海部・安芸風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」および「(仮称)那賀・勝浦風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」に対する意見書を提出しました

四国ツキノワグマの重要な生息地で大規模な風力発電が計画されています。

事業計画地(徳島県勝浦郡・那賀郡・海部郡と高知県安芸郡にまたがるエリア)には、四国でわずかに残された、地域本来の自然度の高い森林があり、四国で絶滅の危機にあるツキノワグマの生息地、サシバやノスリなど渡り鳥のルートとなっていることから、計画段階環境配慮書のつくり直しを求める意見を提出しました。

「SAVE THE ISLAND BEAR 四国のツキノワグマを救え!」プロジェクトページはこちら


2020年6月23日

「(仮称)那賀・海部・安芸風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」に関する意見

〒104-0033 東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F
公益財団法人 日本自然保護協会 理事長 亀山 章

本事業の計画地は、四国でわずかに残された、この地域本来の自然度の高い森林があり、四国で絶滅の危機にあるツキノワグマの生息地に隣接している。更に、サシバとノスリの主な渡りルート上に位置しており、四国及び日本の生物多様性保全において極めて重要な自然環境である。

以下1)~3)に示すように、本事業は自然環境に重大な影響を与えるものであることが、既に明らかになっているにもかかわらず、そのことを踏まえた調査、予測及び評価がされておらず、配慮書として不十分であるため、配慮書のつくり直しを求める。

1)ツキノワグマへの影響について

四国のツキノワグマは現時点で推定生息数16~24頭であり極めて危機的な状況にあり、本事業の配慮書の影響要因「動物」「生態系」において、最も重点的に扱う必要がある。しかし、4.4.3動物におけるツキノワグマの調査、予測及び評価は、既存文献の参照が不足しており、専門家へのヒアリングが行われておらず、極めて不十分である。現在のツキノワグマの生息状況と生息適地から考えれば、「風力発電機の配置の検討等の環境配慮を行うことで、重大な影響は、回避、低減される」とは評価できない。

2)サシバ等の渡りルートへの影響について

図3.1.5-2(1)~(6)に示されている通り、本事業地はサシバをはじめとする鳥類の主な渡りルートである。センシティビティマップには、渡りルートは地形や天候等によりコースや幅が変化することから「主なルート」が示されており、「主なルート」は保全上極めて重要なルートである。本事業はサシバとノスリの渡りの「主なコース」と重なっていることから、「風力発電機の配置の検討等の環境配慮を行うことで、重大な影響は、回避、低減される」とは評価できない。

3)累積的な影響について

本事業は、同じ那賀町を事業地とする「(仮称)那賀・勝浦風力発電事業」と同時に計画がされている。近年、環境アセスメントにおいて、複数事業が平行して行われる場合の相加的、相乗影響についても適切に調査、予測及び評価を行う事が求められる。事業代表者が同一の事業にもかかわらず、累積的な影響について調査、予測及び評価が行われておらず、配慮書として不十分である。

以上


2020年6月23日

「(仮称)那賀・勝浦風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」に関する意見

〒104-0033 東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F
公益財団法人 日本自然保護協会 理事長 亀山 章

本事業の計画地は、四国で絶滅の危機にあるツキノワグマの生息地に隣接している。更に、イヌワシ・クマタカの生息が確認されており、サシバ等の渡り鳥の主な渡りルート上に位置している。つまり、四国及び日本の生物多様性保全において極めて重要な自然環境である。

以下1)~3)に示すように、本事業は自然環境に重大な影響を与えるものであることが、既に明らかになっているにもかかわらず、そのことを踏まえた調査、予測及び評価がされておらず、配慮書として不十分であるため、配慮書のつくり直しを求める。

1)ツキノワグマへの影響について

四国のツキノワグマは現時点で推定生息数16~24頭であり極めて危機的な状況にある。本事業地の西端は、ツキノワグマの生息地の東端に尾根で繋がっており、ツキノワグマの絶滅を回避するために、生息数の増加と、分布域の拡大を進める中で、重要な場所に位置している。そのため、配慮書の影響要因「動物」「生態系」において、最も重点的に扱う必要がある。しかし、4.4.3動物におけるツキノワグマの調査、予測及び評価は、既存文献の参照が不足しており、専門家へのヒアリングが行われておらず、極めて不十分である。ツキノワグマの絶滅を回避する視点から考えれば、「風車の配置の検討等の環境配慮を行うことで、重大な影響が回避、低減される」とは評価できない。

2)イヌワシ及び、サシバ等の渡りルートへの影響について

図3.1.5-1~4に示されている通り、本事業地はサシバをはじめとする鳥類の主な渡りルートであり、イヌワシ等の大型猛禽類の生息が確認されているエリアである。イヌワシは日本各地で生息地の消滅が確認されており、その数はこれまでに確認されたつがい数の約3分の1に及び、絶滅が危惧されている。本事業計画地は、四国における最後のイヌワシの生息地の隣接地に位置しており、イヌワシの生息環境の改善をするべき場所である。
また、サシバの春の渡り集結地(ランク1)及び、主な渡りルートになっており、東日本で繁殖するサシバ個体群への重大な影響が予測される。「風車の配置の検討等の環境配慮を行うことで、重大な影響が回避、低減される」とは評価できない。

3)累積的な影響について

本事業は、同じ那賀町を事業地とする「(仮称)那賀・海部・安芸風力発電事業」と同時に計画がされている。近年、環境アセスメントにおいては、複数事業が平行して行われる場合の相加的、相乗影響についても適切に調査、予測及び評価を行う事が求められる。今回、事業代表者が同一の事業であるもかかわらず、累積的な影響について調査、予測及び評価が行われておらず、配慮書として不十分である。

以上

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