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2019.03.19

ジュゴン死亡の報を受けて辺野古の埋め立て工事の即時中断を求める意見書

2019年3月18日に沖縄島今帰仁村の漁港にてジュゴンが死んだ状態で発見されたと報じられています。

生息が確認されている3頭のジュゴン(個体A,B,C)のうち1頭が死亡、2頭が行方不明になっているという緊急事態であるため、沖縄島北部沿岸部で行われている普天間飛行場代替施設建設事業にかかる一切の作業を即時中断し、ジュゴン個体AとCを保護することを日本政府に強く求める要望書を提出しました。

ジュゴン死亡の報を受けて辺野古の埋め立て工事の即時中断を求める意見書(PDF/169KB)


2019年3月19日

内閣総理大臣    安倍 晋三 様
内閣官房長官    菅  義偉 様
国土交通大臣    石井 啓一 様
防衛大臣      岩屋  毅 様
環境大臣      原田 義昭 様
沖縄・北方担当大臣 宮腰 光寛 様
沖縄防衛局長    田中 利則 様

ジュゴン死亡の報を受けて辺野古の埋め立て工事の即時中断を求める意見書

公益財団法人 日本自然保護協会
理事長   亀山 章

3月18日に沖縄島今帰仁村運天漁港沖の防波堤付近にてジュゴンが死んだ状態で発見されたと報じられている(沖縄タイムス、2019年3月19日)。

沖縄島周辺には少なくとも3頭のジュゴン(個体A,B,C)が棲息していることが、沖縄防衛局の調査(2009)にて確認されている。嘉陽沖を主な生息域にしていた個体Aと、古宇利島から辺野古沖で確認されていた個体C、そして古宇利島周辺を主な生息域とし、今回死亡が確認された個体Bである。ちなみに個体Aは2018年9月以降、個体Cは2015年6月以降は確認されていない。

ジュゴンは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに危急種として指定されており、国内でも環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類 (CR)に指定されている。また、文化財保護法の天然記念物に指定され、水産資源保護法、鳥獣保護管理法において保護指定されている、本来ならば厳重に保護されているべき動物である。そのため、個体AとCの生息場所を探し、緊急に保護する必要がある。今回死亡した個体Bについては死因を解明する必要がある。

ジュゴン個体AとCについては普天間飛行場代替施設建設事業との関連性が高いとかねてから指摘されている(日本自然保護協会 2014、細川太郎 2019など)。古宇利島周辺を主な生息域としている個体Bについては、西から東へと移動する埋立土砂の運搬船の影響を受ける可能性が指摘されてきた。記録を見ると平成20年度は個体Bは古宇利島を離れ、辺戸岬を周り西海岸安田沖にも移動している(沖縄防衛局、2009)。移動の際に土砂運搬船の影響を受ける可能性もあったことと思われる。

同時にジュゴンが餌場として利用している海草藻場の状態にも目を向けなければならない。ジュゴンは生態系の頂点に位置する動物であり、海草藻場を餌場として利用する。ジュゴンやウミガメのみならず多くの生物がその幼生や幼魚の時代に利用する場所となる海のゆりかごと呼ばれる海草藻場は、二酸化炭素を固定する重要な役割も果たしている。このことは昨年ドバイで開催されたラムサール条約第13回締約国会議で採択されたブルーカーボン決議でも再認識された。

辺野古の海草藻場を構成する7種の海草は環境省のレッドリストで準絶滅危惧(NT)に指定されており、そのうちウミジグサなどの3種は、昨年、レッドリストおきなわに準絶滅危惧種として評価されている。海草自体が希少であり、また沖縄島周辺でまとまった規模の面積を有する海草藻場が辺野古のほかにはほとんどないことからも、辺野古の海草藻場が残されたジュゴンにとって大切な場所であることは明らかである。

現在、沖縄島北部沿岸部で行われている普天間飛行場代替施設建設事業にかかる一切の作業を即時中断し、ジュゴン個体AとCを保護することを強く求める。

以上

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