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2018.09.19

長島の洞窟の現地調査を求める要望書を提出しました

日本自然保護協会は、これまで複数回に渡り沖縄県の辺野古にある「長島の洞窟」に調査ができるよう申請などをしてきました。

今回、緊急調査により洞窟について新しいことがわかったので、記者会見を開くとともに、改めて現地調査の要望を出しました。

20180919_(報告書)長島洞窟群の緊急調査結果とその学術的重要性について(191KB)

20180919_長島の洞窟の現地調査を求める要望書(223KB)

20180919_長島洞窟(断面図)(586KB)

20180919_長島洞窟(平面図)(2.96MB)

20180919_長島洞窟報告書(写真プレート)(913KB)


(参考)
希少な鍾乳石がある長島の調査をするための申請書を出しました(2016年5月18日)
辺野古の長島の洞窟の調査のための利用申請をしました(2016年3月18日)
3回目となる辺野古・長島の利用許可申請書を出しました(2015年4月30日)
辺野古・長島の利用許可申請書を出しました(2015年3月11日)
辺野古の長島の洞窟を調査するため沖縄防衛局に申請しました(2014年10月31日)
辺野古・長島の洞窟の視察を求める要望書を出しました(2014年7月18日)


2018年9月19日

沖縄県知事職務代理者 謝花 喜一郎 様

長島の洞窟の現地調査を求める要望書

公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

名護市辺野古崎沖に位置する長島に洞窟があることは、地元の海で暮らす人々には知られたことでした。藤田喜久氏(沖縄県立芸術大学)は2014年にその洞窟内で、石灰質の物質によって固結したサンゴ礫を含む砂礫からなる特異な微地形を確認しました。藤田氏は、海洋生物学(特に甲殻類学)を専門とする研究者であるが、洞窟生態系にも詳しく、2003年以来、沖縄各地の陸において多数の洞窟および鍾乳洞の調査を行ってきたが、このような微地形を確認したのは初めてのことでした。

日本自然保護協会がその情報を石灰岩の溶食と晶出によって形成される鍾乳洞などのカルスト地形の専門家である浦田健作氏(九州大学/日本洞窟学会元会長)に提供したところ、「海岸の洞窟内に、海浜石灰質堆積物がセメントされたビーチロックが形成されていることは、比較的珍しく、このように石筍にサンゴ礫が付着して成長した鍾乳石は珍しい。日本での報告例はない。 長島の洞窟で見られるものは現在も形成中の非常に新しいものであり、形成過程がはっきりわかる」と、より詳細な調査の必要性が確認されました。

その後、米軍普天間飛行場代替施設建設に伴い、沖縄防衛局により長島への立ち入りが制限されたため、日本自然保護協会は4回にわたり洞窟の専門家による調査のための上陸を沖縄防衛局に申請してきましたが、回答をいただけない状態が続いています。

このたび公有水面埋立承認撤回に伴う工事の停止を受け、日本自然保護協会は辺野古海域において複数の分野の緊急調査を実施しており、長島の洞窟の調査については、9月8日と12日の2日間に2名の専門家の助力を得ました。サンゴ礁地理学・地形学を専門とする中井達郎氏(国士舘大学)には洞窟内を観察して地形や堆積物の状況を記載していただきました。また海洋生物学(特に甲殻類学)を専門とし、沖縄の洞窟生態系にも詳しい藤田喜久氏(沖縄県立芸術大学)には、同島の甲殻類相調査の過程において、これら洞窟の簡易な測量を行っていただき、その平面的形状と断面的形状の概要を明らかにしていただきました。これらの調査の結果、「長島洞窟群の緊急調査結果とその学術的重要性について」(添付)のようにこの洞窟には学術的な高い価値があることが改めて認められました。

しかしながらこれ以上の詳細は洞窟の分野の専門家が時間をかけて実施したうえで、化学分析や年代測定などを行うことが必要となってきます。鍾乳洞や固着したサンゴ礫の年代測定により、長島や辺野古周辺の地域の数万年から十数万年にわたる海面変動に関連した自然史を解明できる可能性が高いと考えられます。また、詳細な生物調査も必要です。一般にこのような洞窟には光が乏しいことから、例えば、真洞穴性や好洞穴性生物などの特殊な環境に適応した生物が生息していることが知られています。長島の洞窟は、規模は小さいながらも、他所から地理的に隔離されているため、固有種なども含む特異な生物群集が存在している可能性が考えられます。

長島は米軍普天間飛行場代替施設建設事業予定地の近くに位置しているため、工事の影響を受ける可能性が高く、また気候変動による海域全体への影響も考えられます。

洞窟をはじめとする辺野古・大浦湾の自然は沖縄県の大切な財産です。沖縄県がこの洞窟を調査し、保護していくことを要望いたします。

以上

 

添付
1) 中井達郎、藤田喜久(2018)長島洞窟群の緊急調査結果とその学術的重要性について
2)日本自然保護協会(2014)7月9日記者会見資料
https://www.nacsj.or.jp/archive/2014/07/523/

 

▲ 写真1 長島洞窟群 入口(撮影 藤田喜久)

 

▲ 写真2 A洞、入口付近から上段奥を望む(撮影 藤田喜久)

 

▲ 写真3 B洞、入り口2m付近から奥を望む(撮影 藤田喜久)

 

▲ 写真4 リムストーン(撮影 中井達郎)

 

▲ 写真5 リムストーンと石筍(撮影 中井達郎)

 

▲ 写真6 ビーチロック(撮影 中井達郎)

 

▲ 写真7 B洞、固結礫タワーと周辺の未固結海浜礫(撮影 藤田喜久)

 

▲ 写真8 固結礫タワー(撮影 中井達郎)

 

▲ 写真9 B洞最奥部、Line Cへの入口。B洞最奥部、Line Cへの入口(撮影 藤田喜久)

 

▲ 写真10 鍾乳洞最奥部。鍾乳石、フローストーン(撮影 藤田喜久)

 

▲ 写真11 鍾乳洞最奥部。鍾乳石、フローストーン(撮影 藤田喜久)

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