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【配布資料】今日からはじめる自然観察「五感を使って天気予報!」

2016.04.25
解説

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【今日からはじめる自然観察】五感を使って天気予報!(PDF/3.24MB)
<会報『自然保護』No.551(2016年5・6月号)より転載>
このページは、筆者の方に教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。
ダウンロードして、自然観察などでご活用ください。

当たらないこともありますが、自分で確率を検証してみたり、

地域ならではの言い伝えを調べたりして、天気の観察を楽しんでみませんか。

岩槻秀明(自然科学系ライター 気象予報士)


経験から培われた観天望気

今は、いつでも最新の天気予報にアプローチできます。天気予報の精度も日々向上し、翌日の天気予報であれば、適中率(降水の有無)は約85%と、非常に信頼できるものになりました。

今のような天気予報のなかった時代は、観天望気と言って、身の回りの変化から天気を判断してきました。海や山での作業は、荒天に遭うと命取りになります。農作業も天気の影響を強く受けます。そのため、空模様や風の変化など、直接天気にかかわるような現象はもちろん、景色や物音、身近な生物の行動、さらには自らの体調までをも注意深く観察して、天気を推測する材料にしていました。長年の経験から培われてきた観天望気のノウハウが先人から伝えられており、全国的に言われているものから、地域特有のユニークなものまで、星の数ほど存在します。

観天望気は、当時の人々の経験に基づくため、玉石混淆です。科学的に説明ができ適中率が高いものがある一方で、科学的根拠に乏しく不確かなものも多く見受けられます。「太陽がかさをかぶると雨」「飛行機雲がすぐに消えると晴れ」は前者、「モズが木の枝の高いところに虫を刺す年は雪が深い」「トンボが多く飛べば暴風」は後者です。

また、その地域内に限れば非常に高い確率で当たるといった、地域性の強いものも存在します。山と雲の関係、風の変化に関するものなどは、その傾向が強く現れています。

それから全国的なものでも、現象と天気の関係に、細かく条件がついている場合もあります。例えば「夕焼けは晴れ」の場合は、西の空に雲がなく、夕日がよく見える状態を指します。また、夕焼けに染まるのは夕日の周辺だけで、色も黄橙色で鮮やかすぎず、日没とともに速やかに色が消えていく場合に限ります。空全体が鮮やかな色に染まる夕焼け、黒雲の混じったどす黒い夕焼け、血のように真っ赤な夕焼けなどは、むしろ荒天の前ぶれとして警戒されています。

 

野外活動に役立てよう

最新の科学技術を駆使した天気予報と、昔の人々の知恵の結集である観天望気、両者をうまく組み合わせることで、天気判断はより正確なものとなり、気象災害から身を守る手段としても大いに役立ちます。夏は晴れていても、急に積乱雲が発達して、激しい雷雨となることがあり、ときに、突風や雹などの危険な現象を伴います。もし、急に冷たい風が吹きはじめた、不気味な黒雲が出てきた、積乱雲の下部にできた土手のような雲の帯(アーチ雲)が近づいてきた、遠雷が聞こえるなどの兆候が現れたら、すぐに安全な建物の中へ避難しましょう。

アーチ雲の写真▲アーチ雲

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観天望気いろいろ

クイズ:このあと天気はどうなるでしょうか?


クイズの答え:翌日はくもりや雨の可能性が高い。夕日が地平線よりも上の方で雲に隠されてしまうことを「夕日の高入り」と言う。はるか西の方に大きく分厚い雲があり、天気は西から東に変わるので、やがてこの雲がやってくる可能性が高い。

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