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植物の同定力向上!モニ1000里地調査の研修会を開催しました。(2/28)

2016.03.10
活動報告

icon_m_fukuda.jpg 市民活動推進室の福田真由子です。

NACS-Jでは、身近な自然を調べ日本の生物多様性の保全に活かすために、環境省と市民と協力して「モニタリングサイト1000里地調査」を行っています。生物多様性の評価に活用していくためにも、調査の精度の維持や調査員のやる気の継続が欠かせません。一方、評価の基礎になる分類学の分野でも、その人材育成が課題となっています。そこで博物館と協力し「モニタリング調査」×「分類学」の人材育成として、モニ1000調査員を対象に植物同定研修会を東京・新宿御苑で開催しました。
 
講師は、神奈川県植物誌を市民調査員と協力して作成している神奈川県立生命の星・地球博物館の学芸員の大西亘さん、そして東京農大大学院生ですでに植物写真・撮影歴15年の経験をもつ設楽拓人さんをお呼びして開催しました。通常、分類学では実体顕微鏡を使うのですが、今回は市民でも手軽に使うことのできる「カメラ」を使った実習を試行してみました。
 

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▲(左)大西講師によるルーペの使い方  (右)ホトケノザの観察
 
参加者はベテラン調査員の方からこれから調査をはじめる方まで幅広く、20名が集まりました。東京開催ということで長野や富山といった遠方からもお越しいただきました。はじめに、講師の大西さんより「博物館を活用した市民調査と展望」と題して、大西さんのプロフィールとともに博物館の役割についてお話いただきました。そのあと、植物の分類の基礎として学名や分類体系、記録で大切な4W(いつ、どこで、誰が、何を)、図鑑の使い方など、普段習うことのない調査の基礎的な部分を改めて学ぶことができました。特に図鑑の選び方が好評で、「葉っぱで樹木を調べるのは役立った」との声をいただきました。
 
午後には、講師・スタッフで集めた実習用のホトケノザ(花つき)をつかって、ルーペやデジタルカメラで観察・実習を行いました。ルーペは手軽に持ち歩けるものの、普段携帯している調査員も少なく、その威力に皆さん驚いていました。そしてデジタルカメラを使った同定については、講師の設楽さんより植物のどの場所を撮影するか、課題となる「ピント合わせ」「ブレ」「適正な光・影」についての工夫、スケールの表し方などをお話いただきました。そのあと、実際に自分のカメラを使って実践したり、講師のお勧めのカメラを用いた顕微鏡モードの実演があったりと楽しい実習となりました。調査員の方からは「今どきのデジカメ情報にびっくりした」「お勧めカメラを買ってみたい」など、講師のおかげで大好評となりました。
 
 

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▲(左)自分のカメラで撮影実習  
(右) 設楽講師によるカメラの実演
 
最後に1時間弱、調査の悩みを話し合う座談会を行い、仲間づくりや調査の精度の維持、博物館や専門家との連携について各サイトの状況を共有しました。やはり若手の後継者がいないといった声が多く、博物館が関わっているサイトはとても少ないということが分りました。講師の大西さんから「調査に関わるきっかけは人それぞれ。自分はどうだったか団体の中で掘り起こしてはどうか」「博物館とこれをきっかけにいい関係ができれば」といったご意見をいただき、設楽さんからも「何かあれば協力します」との力強いコメントをいただきました。
 
調査員の方からは「博物館を身近に感じることができた」「他のグループと交流がもっとあればよかった」「同定技術だけでなく基礎的な考えも習得できて新鮮だった」「若い講師の頼もしい姿を見てがんばろうと思った」など概ね好評でした。今回新たな取り組みもできたものの、まだまだプログラムの改良が必要です。今後も工夫しながら、博物館と連携した研修プログラムを練り、自然保護の人材育成に繋げていきたいと思います。
 

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▲調査の悩み座談会
 

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