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国際連携 韓国からNACS-Jの市民参加調査の仕組みを学びに

2015.07.10
活動報告

 

icon_douke.jpg国際担当(IUCN-J事務局長)の道家哲平です。

7月10日、韓国環境研究所(日本の国立環境研究所に相当)から研究員のイ・ヒュンウ博士、イ・サンハン氏が、長年日韓NGOの架け橋をされている田中さんを通訳に、日本自然保護協会の事務所を訪問してくださいました。
 

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イ・ヒュンウ博士は、韓国生物多様性国家戦略の取りまとめの中心人物で、韓国の複数の地域戦略策定に関わっている専門家です。現在、自然再生推進に関する計画を国が検討しているそうです。
そのような中で、自然環境変化をこれまでのように専門家だけが担うのではなく、市民も巻き込む形で展開する「市民参加型調査」にしていくことが重要であること、また生物多様性保全活動への多様な立場(企業や自治体、市民団体)の参加していくことが重要だ、という想いを持っていたそうです。
 
そのためのヒントを探すため、アジアの中でも先進的な市民参加型モニタリングである「モニ1000里地調査」の仕組みと、愛知ターゲット達成を立場を超えて加速させようという世界初(!?)の仕組み「にじゅうまるプロジェクト」について知りたいということで、この度のヒアリングとなりました。
 
ヒアリングの中では、モニ1000の仕組みを説明したり、その前提となる日韓の自然保護のために地域で活動するグループの層の厚さについて話題となりました。1980年半ばまで軍事政権(*)であった韓国では「双眼鏡をもって外に出ている」だけで怪しまれる、「スパイ上陸を警戒し、海岸には鉄条網が張ってあり、市民は近づけない」という時代があったそうです。
 
そんな歴史のため、まだまだ地域の自然を調査するグループというのは十分に育っていないというのがイ博士の分析でした。その点、自然観察からはじめる自然保護を掲げたNACS-Jの蓄積もあって、2000近い里山保全に関わる地域グループが活躍し、市民参加型調査活動を支えています。
*ここでは、軍隊出身者が大統領を勤める政権も含む
 
そんな情報交換もあり、後半からは、子どもも一緒に自然と触れ、観察し、それが自然を守る調査になるというコンセプトのNACS-J「自然しらべ」のほうにも関心がいき、自然とのかかわりを増やし、市民グループを育てるために、まずはこちらを韓国に導入すべきではないかという話にもなりました。
 
愛知ターゲット達成のために、企業やNGOも共に行動しようと呼びかける「にじゅうまるプロジェクト」の取り組みについては、もしかすると、大分進んだ取り組みに写っていたかもしれません。
 
最後に「大変参考になりました、韓国に来るときは是非声をかけてください」と交流を約しつつ握手を交わし、記念撮影を行いました。私にとっても、日本の状況をあらためて、外からの視点で見つめ、日本のよい点・課題を発見できるよい機会となりました。
 
 
国際担当(IUCN-J事務局長) 道家哲平

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