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山陰海岸国立公園の公園区域及び公園計画変更について意見を出しました

2013.10.08
要望・声明

 
山陰海岸国立公園の公園区域及び公園計画変更への意見(PDF/142KB)


2013年10月7日

環境大臣 石原伸晃 殿

公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

山陰海岸国立公園の公園区域及び公園計画変更への意見

奥丹後半島の網野海岸から鳥取砂丘までの延長約75kmにおよぶ海岸線を有する山陰海岸国立公園は、海域と一体となった変化に富む海岸景観が特色となり、海食で生じた砂や河口から運ばれた砂により形成された鳥取砂丘及び丹後砂丘等も有する特徴ある地域です。

2010年には山陰海岸ジオパーク(世界ジオパークネットワーク加盟)にも認定されています。

今回の国立公園計画見直しに際し、海域公園地区を大幅に増やしたことは望ましいことです。広い範囲を指定することにより、海域と陸域を一体とした保全を効果的に実施できることになると思われます。

しかしながら、今回の計画変更において、港湾区域に設定されている海域は普通地域等にとどまり、港湾部局との調整が十分に図られずにいると思われます。

海域公園地区をはじめとする海洋保護区の空間設定は、行政区や緯線経線のような人為的なものではなく、生態学的に意味のある境界線が用いられなければなりません。保護区設定の基本となるBioregion(生物地理区)は、地域の生物群集,生息地、生態系の状態を維持するのに十分な大きさがあり、この中では養分や老廃物の循環,生物の季節移動,水循環といった重要な生態的な過程が維持されることを必要としています(WRI, IUCN, UNEP.1992)。

生物多様性条約 が海洋保護区を「生物多様性が周囲(区域外)よりも高度に保護されている区域」と定義するように、保護区設定の効果として、希少種の生息域の確保や漁業資源の回復などの目標を設け、科学的データに基づく保護区設定が行われることが必要です。また、保護区の機能を発揮させるためには、保護区内のゾーニングの設定も欠かせず、生態学的に意味のある境界線設定などの設定を行うべきです。

海洋の生態系の一体性を鑑み、港湾も含み、生態学的に意味のある海域公園地区として指定するべきです。今後の国立・国定公園の拡大を行う際にも同様の配慮が求められます。

 
参考文献:
WRI/IUCN/UNEP. 1992. Global Biodiversity Strategy. WRI, Washington, D.C./IUCN, Gland, Switzerland/UNEP, Nairobi, Kenya. 244 pp
日本自然保護協会(2012)NACS-J沿岸保全管理検討会提言「日本の海洋保護区のあり方~生物多様性保全をすすめるために~

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