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2013.05.26

「沖縄県赤土等流出防止対策基本計画」(案)に意見を出しました。

「沖縄県赤土等流出防止対策基本計画」(案)に意見を出しました。沖縄県では、平成7年度に赤土等流出防止条例を施行し、赤土等流出防止対策を進めてきたものの、依然として降雨時には大量の赤土等の流出が見られ、河川や海域の生態系、特に沖縄の大事な宝であるサンゴ礁に影響が及んでおり、さらなる対策が必要です。そのため、沖縄県では赤土等流出防止対策の計画的、効率的な推進を目的とした「沖縄県赤土等流出防止対策基本計画」の策定を進めています。この計画(案)の中で効果が低いと思われることや改善するべきしくみに対し、NACS-Jは意見を出しました。

「沖縄県赤土等流出防止対策基本計画(案)」に対する意見(PDF/150KB)


2013年5月26日

「沖縄県赤土等流出防止対策基本計画(案)」に対する意見

公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

沖縄の沿岸域は主としてサンゴ礁から成っているため、沖縄県にとってサンゴ礁に迫る脅威を取り除くことは重要である。沖縄県赤土等流出防止条例が1995年に制定されて以来、制度と現実との乖離も多く見られてきたことから、今回の計画の改訂への動きには期待している。

赤土等の年間流出量を比較した表2-1を見ると、農地起因のものがもっとも多く、開発事業が2番目、3番目が米軍基地となっている。農地からの赤土等の流出防止対策は、早急に実施される必要があるが、個別の農家の努力だけに依存しているので実行性が乏しい。県や市などの行政が資金や技術を提供して、地域と連携し対策を進める必要がある。

開発事業に関しては、「届け出を徹底していく必要がある」との記述があるが、届出制よりも権限の大きい許可制にするべきである。また開発事業そのものの必要性も問われる必要があり、無駄な開発が認められることのないようにしていかなければならない。

個別の事項について

1)今回の基本計画は沖縄県が行っている赤土等流出の調査結果と、今後行っていく計画やシミュレーションについて記されたものであり、現在、県内各地で行われている活動や県民等のニーズなどが反映されたものではない。SPSS(Suspended Particles in Sea Sediment)は、簡易測定法が学校等で広く普及されている。学校や市民団体等を巻き込み、調査地点数や調査回数をより広い範囲で行えるしくみも作っていくことが必要である。それにより、赤土等流出の現状を知ることの重要さを広く普及することにもつながる。

2)沖縄21世紀ビジョンや環境基本法との関連は記されているものの、沖縄県総合沿岸域管理計画(仮称)や沖縄県生物多様性地域戦略(仮称)案との関係が記されていない。1)と関連して、地域住民の声を聞き、住民参加を進めることも重要であるので、位置づけるべきである。

3)環境生活部、農林水産部、土木建築部が地域と連携して計画を推進する、とあるが、それぞれの主体の役割と具体的なスケジュールが不明である。

4)表3-5「全監視海域区分の目標設定状況一覧」を見ると、「予測モデル構築が不可」と結論づけられている海域が多いが、これが何を指しているのか、説明をすべきである。現実の海域に当てはめられないのであれば、モデルの方に誤りがある可能性もある。

5)重要監視地点に島の代表的な地点が含まれている訳ではないので、選定理由を明記する必要がある。

6)永久コドラートやベルトトランセクトで専門家が定点観測を行い、海域の変遷を追うことは重要である。しかし、モニタリングを実施できる地点や回数は限られるであろう。上に述べたように、学校や市民の協力を得られるしくみが必要である。

以上

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