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2012.08.30

【配布資料】今日からはじめる自然観察「網を張るクモを観察しよう」

ページ画像(アイキャッチ)

【今日からはじめる自然観察】網を張るクモを観察しよう(PDF/1.07MB)
<会報『自然保護』No.529(2012年9・10月号)より転載>
このページは、筆者に、教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。ダウンロードして、自然観察会などでご活用ください。

 

網を張るクモを観察しよう
世界には約4万種、日本には約1500種のクモが知られています。
そのうち網を張って餌を捕らえるクモは約6割、網を張らないクモが約4割です。
今回は網を張るクモをご紹介します。


ギフチョウが「春の女神」と呼ばれるならば、ジョロウグモは「秋の女王」と呼ばれるのにふさわしい姿をしています。9~10月にかけて木々の間に張られた大きな網は、陽の光を受けると金色に輝き、網の中心にいる雌は体長2~3㎝、黄色の腹部にある4本の緑色の横すじと、 腹部下面の赤色の斑紋が特に目を引きつけます。

ジョロウグモは都市部の公園から、里やまの人家の周辺、山地の渓流沿いや林道、そして海岸の林の中まで、北海道を除く(未確定の記録あり)日本各地に、広く生息している最も一般的なクモです。ただし、1200mを越す山岳地帯では、ほとんど目にすることはありません。


▲秋、ジョロウグモは大きく成長し、見つけやすい

 

円網とは異なる特徴

クモの網は丸い網(円網)のほかに、棚網、扇網、皿網など10種類の網型があります。ジョロウグモの網は円網に含まれますが、よく見ると普通の円網とは異なっていることが分かります。まず完全な円形ではなく、上が少し開いた蹄型です。中心から放射状に伸びる縦糸は、普通の円網では外側に近づくほどその間隔が広がっていきますが、ジョロウグモは広がることはありません。

クモは横糸を張る前に足場となる粘着性のない足場糸を引きます。普通のクモは、この足場糸を切りながら1本の横糸を張りますが、ジョロウグモは足場糸と足場糸の間に4~12本もの横糸を張ることから、網の目が非常に細かくなっています。さらに直径50㎝ほどの円網の前後に、バリアーと呼ばれる不規則な糸が引かれているので、全体的には三重網に見えることが特徴です。

 

(クリックすると拡大できます。)

何種類もの糸を使いわける。クモの糸には粘着力を持つ糸と持たない糸がある。円網のうち、放射状の縦糸はクモが移動するための糸で粘着力はない。円網の外周の枠糸や、横糸を張る過程で中心から外側に渦巻状に引いていく足場糸にも粘着力はない。

 

新海栄一(東京蜘蛛談話会会長、NACS-J会員)

 


クイズの答え:1と4
1:セアカゴケグモ(オーストラリア原産の毒グモ。)、2:アカイロトリノフンダマシ(テントウムシのような美しいクモ)、3:コハナグモ(網を張らず、花のかげで獲物が来るのを待つ) 、4:カバキコマチグモ(噛まれると日本で一番痛い)
※日本産のクモには、強い毒を持った種類はいませんが、牙はあるので噛まれるとかなり痛いクモはいます。その代表はカバキコマチグモです。

 

【補足資料】円網の張り方:オニグモの例

  • クモの網は空中に糸を流すことから始まります。(図1)
  • 流れた糸が枝などに付着するとクモはそれを伝わって最初の糸を引きます。(図2~3)
  • 次にその糸の中程から糸を引きながら下降するとY字状に基本の縦糸ができ上がります。(図4~5)
  • それをもとに枠糸が引かれ、枠糸と中心部を往復しながら縦糸を増やしていきます。(図6~24)
  • 縦糸を引き終わると、中心から粘着力の無い足場糸を外側に向かって引いていきます。(図25)
  • 足場糸を引き終わると今度は外側から中心に向かって、獲物を捕らえるための粘着力のある横糸を引いていきますが、この時足場糸は切っていきます。(図26)
  • 最後に一度、中心の糸を食べて、網のバランスを調整します。(図27)
  • 中心部分の糸を張りなおして完成です。(図28)

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補足資料:クモの網の張り方(円網)の図(PDF/85KB)

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