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2012.07.20

下総生物多様性アクションプラン 第3回推進会議を開催しました。

下総生物多様性アクションプラン 第3回推進会議 結果概要レポート(PDF/622KB)


 

下総生物多様性アクションプラン

第3回推進会議 結果概要レポート

20120624shimousa-suisinkaigi3-1.jpg■日時及び開催場所
・ 2012年6月24日(日)9:30~12:30
・ 印西市 中央駅前地域交流館

■参加者
・ 各市町村の自然環境団体に所属するメンバー:流山、白井、印西、四街道、市川、取手、手賀沼流域、生活クラブ
・ 研究者:国立環境研究所、東邦大学
・ 事務局:NACS-J       計16名

■会議の趣旨

これまでの推進会議での議論をふまえ、本プロジェクトの目指すべき目標や当面の取り組みについて、事務局を務める日本自然保護協会から提案を行い、全員で具体的な内容についての議論を行いました。特に今後の取り組み第一弾として提案した「クツワムシなどの『指標種』の広域調査」について、下総全域でどのように展開していくべきかを集中的に議論しました。

■会議の結果概要

20120624shimousa-suisinkaigi3-2.jpg1.今後の取り組みについての提案
はじめにNACS-Jから下総生物多様性アクションプランとして目指すべき目標や今後の具体的な取り組み内容について提案しました。

その結果、広域的な保全行動計画の作成や市・県への地域戦略提案、地域のガイドブック作り、農業・地権者支援を目指すことになりました。またそのための足がかりとして、当面は「重要地域を見つけるための指標種の広域調査」と「ウェブサイトでの情報共有」、「暮らしと自然のふれあいマップ作り」を皆で進めることとなりました。この取り組みを通じて、生物多様性の保全におけるそれぞれの場所やそのつながりの重要性、広域連携の必要性を共有できると考えられます。

(図:今後の取り組み内容の案 ※クリックすると大きくなります)

20120624shimousa-suisinkaigi3-2,3.jpg2.クツワムシの広域調査の提案
次に東邦大学 地理生態学研究室の清川さんより、千葉北西部でのクツワムシの広域調査について提案いただきました。

クツワムシは日本人には親しみ深い虫で、夏から秋にかけて求愛のためにガチャガチャと林縁で鳴きます。クツワムシは25℃前後の温度環境で良く鳴くことができ、30℃を越えると鳴けなくなるので、夏でも涼しい広い森林が必要です。しかし千葉県北西部では森林の分断化やヒートアイランドによる悪影響を受けている可能性があるとのことです。クツワムシがいることで、広い森や他の生物にも必要な良好な温度環境、気候制御や文化的な面での生態系サービスの指標になるため、重要地域をみつけるための指標のひとつとしての広域調査を提案されました。

皆でデータを集めることで、統計的な手法による分布地域の推定やそれぞれの森の重要性の評価ができると考えられます。またこれと平行して生理学的な実験も組み合わせ、クツワムシの高温耐性獲得など進化生態学的な影響も検証されるとのことです。

(図:クツワムシの(上図)発音時間への温度環境の影響と、(下図)統計的手法を使った分布予測の事例。いずれも未発表データ)

3.今後の取り組みについての議論
議論の結果、下総アクションプランとして今後以下のことを進めて行くこととなりました。

  •  クツワムシなどの指標種の広域調査を来年度から全面展開できるように準備を進める。まず今年は、推進会議メンバーでクツワムシの観察研修会を8月に開催して合同参加する。
  •  指標種調査の意義を伝えたり取り組みを「運動」として広げる工夫を行う必要がある。例えば来年は各団体で一斉にクツワムシ観察のための「夜の森の探検イベント」を開催する。またかわいい調査票やグッズを準備したり、夏休みの自由研究にもなる子供調査員制度を採用するなどの工夫を行う。
  •  クツワムシ以外にも、セミ、オニヤンマなどのトンボ、花粉を運ぶハチなども指標調査として有用。

ウェブサイト「暮らしと自然のふれあいマップ@しもうさ」を近日中に公開し、各団体や現場の情報共有を進める。各団体の活動情報、保全の成功例、危機迫る現場の情報、暮らしと自然のふれあいについてのデータや記事を共有する。

4.その他情報交換

  • さまざまな分野の団体を巻き込んでの「暮らしと自然のふれあいマップ」作りについては、先行して流山で取り組みを進める。7月8日に第1回目ワークショップを開催予定。
  • 亀成川源流部の保全については、推進会議に参加する各団体からの賛同も得て、近日中に事業者である千葉県とUR都市機構にNACS-J・亀成川を愛する会の合同で要望書を提出する予定。
  • 市川市において生物多様性地域戦略の策定が進んでいる。最近その原案ができたようだ。
  • 佐倉市役所と生活クラブが合同で地域の農業者支援を行っている。まとまった口数の農作物を購入する協定を農家と結んでいる。本事業でもそういった枠組みで農業支援に取り組めるかもしれない。
  • 最近宮崎県の綾町が「ユネスコエコパーク」として国内で40年ぶりに登録された。ドイツの「レーン生物圏保存地域」など世界には里山タイプの場所もあるので下総の登録も夢ではない。

 

作成:下総生物多様性アクションプラン事務局 日本自然保護協会 高川晋一
※このプロジェクトの一部は地球環境基金の助成を受けています。

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