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下総生物多様性アクションプラン 第2回推進会議を開催しました。

2012.05.28
活動報告
下総生物多様性アクションプラン第2回推進会議の開催結果 概要レポート(PDF/360KB)


下総生物多様性アクションプラン
第2回推進会議の開催結果 概要レポート

20120414shimousa-suisinkaigi-photo1.jpg日時及び開催場所
・ 2012 年4 月15 日(日) 14:00~17:00
・ 松戸市東部スポーツパーク第2 会議室

参加者
・ 各市町村の自然環境団体に所属するメンバー:流山、柏、白井、印西、四街道、市川、取手、松戸、手賀沼流域
・ 研究者:国立環境研究所の研究者2 名
・ 東邦大学 里山応援隊の皆さん、生物学科の皆さん
・ NACS-J スタッフ3 名

会議の目的
前回の第1 回推進会議では、千葉県北西部で活動する各市町村の自然保護団体の主要メンバーに集まっていただき、それぞれの活動内容について紹介しあうとともにグループ討論形式で千葉北西部における生物多様性の保全上の課題について議論しました。

今回の会議では、保全上の大きな課題とされた開発問題について各市町村での現状を共有すると共に、第1 回目の成果も踏まえながら今後下総生物多様性アクションプランとして取り組んでいくべき具体的なことは何かを議論を通じて洗い出すこととしましました。

■会議の結果概要

20120414shimousa-suisinkaigi-fig1.jpg1.前回の振り返り
はじめにNACS-J から、前回の推進会議の議論にて整理された千葉北西部における生物多様性の保全上の課題について改めて説明しました。未だに開発の影響が大きいことや、農地森林等の管理放棄が進んでいること、その背景には深刻な農業問題があること、効果的な保全計画の欠如、保全側の体制不足、一般の方の理解が不十分であることなどが課題としてあがっています。

(右図:第1 回会議で整理された保全上の課題
※画像をクリックすると拡大表示します。)

20120414shimousa-suisinkaigi-fig2.jpg2.各地での開発問題について
保全上の課題の一つである開発問題について、各市町村での現状についての情報交換を行いました。
NACS-J からはSISPA(戦略的保全地域情報システム)を使って都市計画図等から分析した結果から、今後開発問題が生じる可能性のある場所を発表しました。また亀成川源流部など印西市の東部や柏市の正連寺周辺・若白毛地区、四街道の成山周辺などについては参加者から現在生じている問題の詳細をお伝えいただきました。また白井市では市民のトラスト運動等によって保全の動きが進んでいるといったことや、流山市では新たな開発計画はないものの地域戦略の策定がなされても都市計画の見直しは行われていないといったことが報告されました。

(右図:都市計画図等からの開発予測分析の例。緑・黄色の範囲は既存の森林、赤字は計画道路をあらわす。※画像をクリックすると拡大表示します。)

3.重要地域についての解析の中間報告
国立環境研究所で進めている生物多様性重要地域の研究について、参加頂いたお二人からご報告いただきました。絶滅危惧種の分布情報を利用した全国解析の結果や、情報の不確からしさを考慮して千葉県を事例に行った解析結果について、中間報告をいただきました。会場からは、絶滅危惧種などの希少種だけでなく、普通種が普通にいることの重要性についても評価できないかという意見が出されました。

4.各地での保全の取り組み事例の紹介
保全上のもう一つの課題である農地・私有地の保全や一般の方の巻き込みについて、各団体での取り組みを情報共有しました。松戸市にて里山ボランティア入門講座の卒業生らが市内の里山の保全と一般市民の普及啓発に取り組んでいる「オープンフォレストin 松戸」の取り組みや、柏市にて生物多様性地域戦略に基づいて始めている生物多様性重要地域を繋ぐフットパス作りの取り組み、印西市でのエコツアーの取り組み、取手市での地元農家とNPO との連携などについて詳細を紹介いただきました。

5.今後の取り組みについて
最後に、今後下総生物多様性アクションプラントして推進していくべきことについて議論し、具体的なアクションとして以下のような提案がなされました。
・ 各地の開発問題についてはそれぞれの事情があるので総体としての対処は難しい。亀成川源流部の保全など具体的なアクションの機会があれば推進会議メンバーで連携をとっていくとともに、開発されやすい場所を整理・共有しておく。
・ 重要な地域、保全の取り組み、開発等の危機が迫っている場所などを地図上で共有する。
・ 「地球の歩き方」のように自然だけでなくグルメや歴史もすべて載った「地域ガイドブック」を作る。
・ 市民版の生物多様性地域戦略を作り、行政に提案する。
・ ガイドブックや地域戦略をすぐ作るのは難しいので指標種の広域調査を一般の方も巻き込んで行う。
・ 他分野の団体との連携体制が整っている流山については、当初計画していた自然の恵みの重要地域マップ作りも先行して行う。
・ 農家(特に若い方)の支援や相続税への対処、市民農園などの促進、農家レストランなど、市民全体が農家を応援できる仕組みに繋げていけると良い。

■まとめ
今回の推進会議で各地での課題や保全の取り組みの工夫・アイデアの共有がずいぶん進みました。次回は6 月末に会議を開催し、具体的なプロジェクトの始動に繋げます。また印西市亀成川源流部の保全にむけた取り組みや流山での他団体を巻き込んだ取り組みについては先行して進めていきます。

(作成/下総生物多様性アクションプラン事務局 日本自然保護協会 担当:高川)

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