絞り込み検索

nacsj

絶滅のおそれのある野生生物の保全施策に関する意見を出しました

2012.01.04
要望・声明

絶命のおそれのある野生生物の保全施策に関する意見書(PDF/167KB)


2012年1月4日

環境省自然環境局野生生物課 御中

公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 田畑貞寿

絶滅のおそれのある野生生物の保全施策に関する意見

当協会は、1989年に国内初のレッドデータブックを発行するなど、絶滅のおそれのある野生生物に関する制度施策の提言を行うとともに、地域での保全活動の実践や人材育成を行ってきた。環境省では有識者による「我が国の絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する点検会議」(点検会議)を設置し検討が行われている。生物多様性条約締約国会議(COP10)の愛知目標「生物多様性の損失を止めるために効果的かつ緊急な行動を実施する」を議長国として推進する責任から、絶滅のおそれのある野生生物の保全施策と「種の保存法」の体系的な見直しが必要であるという認識のもと、意見を述べる。

1.日本の生物種・個体群の絶滅回避のための国の「野生生物保全戦略」を策定すること

絶滅のおそれのある野生生物の保全を進め、生物多様性の損失を止めるためには、点検会議でも明白なように、個別の法律の対応だけでは困難である。そのため、国の法制度だけでなく、自治体や市民団体、企業などの取り組み・施策の効果を定期的に点検し、長期的かつ総合的な対策を進める仕組みが必要である。したがって、日本の希少な野生生物の保全のための中長期的な保全目標を設定した「野生生物保全戦略」を生物多様性国家戦略のもと策定すべきである。

COP10において議決された「世界植物保全戦略」の中には、各国、自治体レベルの戦略や行動計画を整備すべきと明記されており、日本においても国家レベルの保全戦略が求められる。その際に、点検・評価の指標としても、世界植物保全戦略にある「達成目標8,9 2020年までに絶滅危惧種の75%が域内/域外保全される」といった数値目標の設定が重要である。

2.野生生物保全に関する多様な主体の参画の具体的な施策整備を行うこと

日本の現状は、海外の先進国(北米、カナダなど)と比べて、野生生物保全のための制度や予算、人材が大幅に不足していること、公有地だけでなく民有地(里地里山など)における保全が大きな課題である。この課題解決の対応として、多様な主体の参画方法の具体的な施策整備や制度を早急に検討すべきである。海外の事例(英国:スチュワードシップ制度、北米:協力協定を前提とした財政支援など)や地方自治体の先進的な条例制度(滋賀県・徳島県:種指定や保護区設定の市民提案)等、事例は多くあるので、国の施策として早急に取り入れるべきである。

3.種の保存法政令指定種の選定プロセスの透明性を確保すること

「種の保存法」(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)の規制がかかる政令指定種の選定の問題点は、保全の緊急性や保全効果の高さではなく、行政的な実効可能性が強く反映されることによって、緊急性のある種が保全されないことが挙げられる。この問題の根本原因は、その選定プロセスの透明性が確保されていないことにある。

そこで、優先的に保全施策を実施する種を選定する際は、点検会議第二回資料5の”Ⅱ絶滅危惧種保全の優先度の考え方”に基づき、その選定過程を原則公開し、透明性を確保した中で、選定作業を進めるべきである。また、北米の種指定においては、利用可能な最高の科学的かつ商業的データに基づいて行うと法律で定められており、日本はこれに学ぶべきである。

4.種の保存法の保護増殖事業計画をより効果的な「種の回復計画」にすること

環境省の限られた予算の中で、優先的に保護増殖事業計画を策定する種の選定とその実効性の確保が重要である。しかし、点検会議においても、肝心な保護増殖事業計画による保全の効果は検証されてこなかった。「種の保存法」の保護増殖事業計画を、回復のための目標やマイルストーン、役割などを明記し、策定後の計画の評価をすべきである。

北米では「絶滅危惧種法(Endangered Species Act)」のもとに1,000種以上の保護回復計画が実施され、2年ごとに順応的な見直しが実施され、これらの取り組みは毎年、予算も含めてホームページ上ですべて公開されている。日本はこれに学び、保護増殖計画を5年に1度は順応的に見直すことや、計画の中に、回復のための目標やマイルストーン、役割などを明記すべきである。

以上

(連絡先)公益財団法人 日本自然保護協会
保護プロジェクト部 藤田 卓・大野 正人


前のページに戻る

あなたの支援が必要です!

×

NACS-J(ナックスジェイ・日本自然保護協会)は、寄付に基づく支援により活動している団体です。

継続寄付

寄付をする
(今回のみ支援)

月々1000円のご支援で、自然保護に関する普及啓発を広げることができます。

寄付する