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辺野古・やんばるの森・泡瀬干潟を守るため、シンポジウムと視察を行いました。

2011.05.12
活動報告

会報『自然保護』No.521(2011年5・6月号)より転載


大浦湾の価値から沖縄の海を考えるシンポジウムを開催

3月5日のサンゴの日に、沖縄県名護市でシンポジウム「大浦湾のアオサンゴをよく知り、名護の海の将来を考えてみよう」を開催しました。

最初にNACS-Jから、大浦湾チリビシのアオサンゴ群集の発見からサイズ計測*1、白化現象について*2、また沖縄で大きな話題となっているサンゴ移植について話しました。

続いて、琉球大学瀬底実験所の中野義勝さんから、チリビシのアオサンゴ群集の調査計画や沖縄島の沿岸域の土地利用の状況などをお話いただきました。また、一般に科学という客観的価値によって自然が保全されると思われがちであるが、そうではなく、まず人間が自然を守ると意思決定することが重要で、その後にツールとして科学を用いることが有効であるということ、行政の調査は完璧ではないので、足りないと思った場合は、地域の人たちが自分で情報を取ることも重要である、といった指摘がありました。

後半のパネルディスカッションでは3名の方から情報提供をいただきました。水中写真家の有光智彦さんからは沖縄島各地を実際に潜った経験から、後を絶たない魚やサンゴの密漁、人間によるサンゴの踏みつけなど海の使い方に関する問題点、「名護の自然を守り次世代に伝えたい市民の会」の吉元宏樹さんからは名護市東江海岸の埋め立て問題の経緯、海洋学者のキャサリン・ミュージックさんからは環境教育の大切さや森と海のつながりをお話いただきました。そして、これらの話を元に東江をはじめとして名護市や沖縄の沿岸域の問題についてディスカッションが行われました。

参加者からも、サンゴに関する基本的な疑問や実際に海人として砂浜の変遷を見てきた経験などが話され、実りある時間となりました。42名の参加者の半数は名護市民で、職業はダイバー、海人、学生、教員、議員とさまざま。多くの市民が名護の海の行方に関心を持っている様子がうかがえました。

*1 沖縄島・大浦湾におけるアオサンゴ群集 合同調査 レポート(速報)

*2 大浦湾チリビシのアオサンゴ群集の白化現象について(中間報告・続報)

やんばるの森・高江ヘリパッド工事現場を視察

1月末、防衛省沖縄防衛局が、東村高江の「やんばるの森」で建設中止を訴える地域住民を無視して米軍ヘリパッド建設工事を着工。これに対し、NACS-Jはほかの環境保護団体とともに計画中止の共同要請文を防衛省に出しました。今回この現場を視察したところ、今までも少しずつ工事が進められていたのですが、今年1月末から2月末にかけて行われた工事は従来の何倍もの規模で進められてしまっていました。

ヘリパッド建設予定地とその周辺には、4158種にもおよぶ膨大な数の野生生物種が記録されており、沖縄島北部にのみ生息する固有種や絶滅のおそれのある種も含まれています(「環境影響評価図書[06]年」)。また、IUCN(国際自然保護連合)の世界自然保護会議では、二度にわたり(2000年、2004年)沖縄島「やんばるの森」にのみ生息するノグチゲラ・ヤンバルクイナとその生息場所の保全を日米両政府に勧告しています。

3月から6月まではノグチゲラの営巣に配慮し工事は行われないという決まりごとがあるのですが、今までの経緯を考えると安心できないということから、住民による座り込み活動が行われています。当然のことながら、この期間のみの配慮では不十分であり、引き続き建設計画の中止を要請していきます。

kaiho521_yambaru.jpg▲ヘリパッド建設が進むやんばるの森。建設地で記録された野生生物種のうち、12種の植物、11種の動物が沖縄島北部の固有種・固有亜種。

泡瀬干潟を考えるシンポジウムを開催

3月12日には、沖縄市農民研修センターにて「泡瀬干潟の今後を考えるシンポジウム」を開催しました。

NACS-Jからは03年から続けてきた海草や地形の調査と、サンゴ調査の結果から見られる護岸周辺の著しい環境変化の話をしました。「泡瀬干潟を守る連絡会」の前川盛治さんからは沖縄市が試算している泡瀬干潟埋め立て工事後の利用に関する需要予測の誤りなど本事業の経済的合理性のなさ、また同会の小橋川共男さん(写真家)からは写真をふんだんに用い泡瀬干潟の生きものたちの様子の変化をお話いただきました。約50名の参加があり、質疑応答時間にも活発な意見交換が行われました。

市民やNGOの要請などを受けて3月25日に開催された沖縄県議会予算特別委員会では、泡瀬干潟埋め立てに係る工事費用を削減する案が可決されたのですが、29日の本会議では残念ながら否決され、いったん止まっていた工事は今年度(2011年度)に再開される予定になってしまいました。生物多様性豊かな泡瀬干潟の埋め立て工事に、引き続き中止を要望していきたいと思います。

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▲(写真左)泡瀬干潟の生きものたちの変化を話す小橋川共男さん(泡瀬干潟を守る連絡会)。同会の屋良朝敏さんが経営する泡瀬干潟を一望できる博物館カフェ「ウミエラ館」から観察していると、4羽のクロツラヘラサギ(環境省レッドデータブック絶滅危惧ⅠA類)が飛来。(写真右)は小橋川さんが09年に撮影。

(安部真理子/保護プロジェクト部)

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