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泡瀬沖合埋立事業
環境省意見「埋め立ての回避」の徹底を求める(コメント)

2011.03.15
要望・声明

泡瀬沖合埋立事業に関する沖縄県知事の発言に対し環境省意見「埋め立ての回避」の徹底を求める(コメント)

2011年3月15日
日本自然保護協会

国土交通省・交通政策審議会第40回港湾分科会に係る環境省意見に対する仲井真弘多沖縄県知事の発言・姿勢に対し、日本自然保護協会は以下のように考える。

環境省が国土交通省宛に出した意見は、自然環境保全上の観点から「埋め立ては可能な限り回避する、埋め立てる場合には自然環境への影響を最小限に抑える」という前提のもと、すでに護岸で囲まれた区域外の新たな埋め立てを見直し、出来るだけありのままの自然を残すことが重要であると指摘している。すなわち沖縄市案では区域外の5haを埋めてそこに緑地を造成することと計画されているがそれが適切な保全措置ではないという指摘である。

またトカゲハゼをはじめとする貴重な生物の保全施策の実施、新港地区の浚渫土砂を最大限利用し、別の場所からの埋立土砂調達を控えること、埋立地の存在に伴う潮流の変化への懸念、港湾計画上の「自然環境を保全する区域」に指定することなどいずれも自然環境を保全していく上で重要な点である。

日本自然保護協会では、今回提示された案についても、泡瀬干潟生態系の特性を何ら考慮しておらず、環境への配慮は科学的根拠を欠いており、環境省の意見のうち最も強い「埋め立ての回避」措置を取るのが当然であると考える。昨年12月に文化環境部自然保護課から公表された「平成21年度 サンゴ礁資源情報整備事業」の調査結果によると沖縄島周辺海域に残されたサンゴの被度は10%程度ということだが、日本自然保護協会の2010年6月の調査結果では泡瀬干潟周辺海域のサンゴ被度は26.9%を示している。従って残されたサンゴ群集は沖縄島周辺では高い方であり、積極的に保全を進めていくべき場所であると認識している。

これに対し沖縄県知事は「全体として了とされたと理解している」「都市空間に緑地を造るのは当然だと思っている(3/5付 沖縄タイムス)」と環境省意見を全く取り入れず、事業推進の姿勢を見せている。

この環境省意見を無視することは、生物多様性条約第10回締約国会議で決議された「愛知目標」にある「脆弱な沿岸域の保全」に背くものであり、また沖縄県の21世紀ビジョンに記載されているめざすべき将来像-沖縄らしい自然と歴史、伝統、文化を大切にする島-とも大きく背く。沖縄県知事には泡瀬干潟の自然環境について真摯に考え対応することを望み、本事業の中止と泡瀬干潟の保全および干潟を活かしたまちづくりに取り組むよう要望する。

以上


<関連資料>
国土交通省・交通政策審議会第40回港湾分科会に係る環境省意見(環境省報道発表料)

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