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G8サミットを控えた福田内閣に、諌早湾干拓事業の 政策転換・有明海の再生に向けた意見書を提出!

2008.07.08
要望・声明

20日自然第61号
2008年7月4日

内閣総理大臣 福田 康夫 殿
農林水産大臣 若林 正俊 殿
環境大臣   鴨下 一郎 殿

 

諫早湾干拓事業「中長期開門調査」の
早期実施と有明海再生に向けた意見書

(財)日本自然保護協会
理事長 田畑 貞寿

(財)日本自然保護協会は、諫早干拓事業による自然環境への影響について、現地調査活動(2001、2002年)を行い、大規模な貧酸素水塊の発生により有明海の漁業や内湾生態系に重大な影響が生じていることを明らかにし、干拓事業の見直しと自然環境の回復の必要性を指摘してきた。多くの研究者やNGOからも有明海の豹変と干拓事業の因果関係が指摘され、立証のための「中長期開門調査」が求められている。

佐賀地方裁判所が6月27日に諫早湾内における因果関係を認め、中長期開門調査の実施を農林水産省に求めた判決の意味は大きく、当協会としてもこの判決を高く評価する。

地球環境問題が主要議題であるG8洞爺湖サミットを数日後に控え、10月にはラムサール条約第10回締約国会議・韓国、また2010年には生物多様性条約第10回締約国会議・名古屋開催が予定されており、日本政府の環境保全・生物多様性保全に対する姿勢がかつてないほどに世界から注目されている。

政府は、諌早干拓事業に象徴される20世紀型公共事業が引き起こしてきた自然環境への悪影響を真摯に受け止め、有明海再生に向けた政策を展開するよう、当協会は下記を要望する。

  1. 内閣総理大臣は、先の国会で制定した「生物多様性基本法」に基づき、サミット期間中に、豊かな生物多様性によって育まれる漁業と農業の両立及び振興の観点を主軸に、諫早湾・有明海の再生にむけた政治的決断をし、湿地、特に内湾性の干潟等の「保全と賢明な利用」のビジョンを世界に示すこと。
  2. 農林水産大臣は、2007年7月に策定した「農林水産省生物多様性戦略」を自ら反故にしないためにも、佐賀地方裁判所の判決を重く受け止め、控訴を断念し、中長期開門調査の準備を進めること。また、漁業・農業の調整や市民の意見反映のために円卓会議を設置し、有明海の再生計画を環境省と策定すること。
  3. 環境大臣は、昨年閣議決定された「第三次生物多様性国家戦略」に鑑み、環境保全の観点から、中長期開門調査および有明海の再生計画には全面的な協力をし、新たな第三者委員会を設置し、中長期開門調査の内容を科学的に精査・検討すること。

以上

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