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共同声明「有明海および諫早湾の自然と漁場の再生を求める -土地改良事業完工式典に際して-」を発表

2009.11.29
要望・声明

2007年11月20日

 

有明海および諫早湾の自然と漁場の再生を求める
-土地改良事業完工式典に際して-

WWFジャパン・(財)日本野鳥の会・(財)日本自然保護協会

 

2007年11月20日に,国営諫早湾土地改良事業完工記念式典が行われる。

 

この干拓事業は1986年に事業着手され,1997年には潮受け堤防によって,3,550ヘクタールの浅海域が閉め切られた。その結果,日本最大の諫早干潟と底生動物,渡り鳥など多くの野生生物が姿を消し,有明海の潮流・潮汐が弱まり,赤潮や貧酸素水塊の発生規模が大きくなり頻度も高まった。このような環境悪化により,有明海の漁業が重大な悪影響を受けている。環境悪化と干拓事業の因果関係は,多くの研究論文等で指摘されているにも関わらず,有明海・八代海総合評価委員会ではそれを踏まえた検討がなされずにきた。

 

土地改良事業が終わり,完工式典を催しても,潮受け堤防が海水の導入を阻んでいる限り,富栄養化した調整池からの排水は,諫早湾,有明海を汚し続け,自然環境と漁場に悪影響をおよぼし続ける。今後,水質の悪化した調整池は,長崎県や諫早市にとって,大きな負の遺産になるであろう。それは,八郎湖や児島湖などの干拓事業の前例に照らしても明らかである。

 

有明海,諫早湾は,広大な干潟と多様性に富む生物相を有し,宝の海と呼ばれるほどの豊かな漁場であった.今でも多くの漁業者が苦しみながらも漁を営み生計を立てている。渡り鳥が群れ飛ぶ干潟や魚湧く豊かな海を取りもどすためには,潮受け堤防の水門を開放し,海水を導入することが不可欠である。海水導入によって調整池の水質は改善され,潮流・潮汐の回復も見込まれ,干潟の再生も可能となる。

 

今月末には閣議決定される「第三次生物多様性国家戦略」では,平成24年までに藻場・干潟の保全・再生の整備を5千ha実施することが具体的施策であげられているにも関わらず,干拓事業が見直されないことは国策上も大きな矛盾である。

 

私たちは,宝の海を取りもどすために,潮受け堤防の水門を開放し,将来には撤去も含め,諫早干潟と有明海を再生するための政策が実現されることを求める。

以上

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