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100年間、自然の移り変わりを見つめ続けるモニタリング 調査結果を保全活動に生かす試みが各地で始まりました。

2007.09.01
活動報告

2007年9/10月号より転載


モニタリングサイト1000は、日本の自然環境の移り変わりを捉え、適切な保全対策へとつなげるために、100年という長い間、全国に約1000カ所の調査サイト(地点)を設定し、生物の生息・生育状況をモニタリングをし続けようという環境省のプロジェクトです。

森林や海岸など7つの生態系タイプごとに、調査サイトが設定されており、NACS-Jは里地タイプのサイトの運営を2003年から担当し、市民が中心となって調査を行う体制づくりと調査方法の指導に取り組んでいます。

2006年度は100年計画の初年度のモニタリングを6つのコアサイトで行い、150人近い調査員の協力で、のべ250日間、調査を実施することができました。

結果を外来種対策や保全活動の効果の評価に生かす

いくつかのサイトでは、06年度の調査結果を地域での新たな保全活動につなげています。
例えば、大阪府枚方市のサイトでは、赤外線センサーカメラを使って哺乳類の生息調査を行い、外来種であるアライグマの生息を確認しました。その結果、自治体と協力して除去の取り組みが始まりました。福井県敦賀市の中池見湿地サイトでは、森に囲まれた湿地内の、バイパス道路の近くに外来植物が特に多く生育していることが分かり、市民団体が対策の検討を始めました。

また、各保全活動がどのくらい効果があったのかを評価するために、モニタリング調査を活用している所もあります。北海道栗山町のサイトでは、耕作放棄や不法投棄などによって荒廃していた谷間の低地を、本来の水田や湿地に再生する活動を数年前から行っています。その場所で、07年調査を行ったところ、978個体のエゾアカガエルの産卵が確認され、回復の兆しが見え始めています。

中池見湿地サイトでも、放棄されていた水田の一部で06年再生活動を行い、その結果を評価するために、ホタル類を指標生物としたモニタリングを始めたところです。

NACS-Jは得られた調査結果を分析し、全国的な里やまの自然環境の変化を明らかにするとともに、各地域の自然の特徴を分析して、その地域で保全活動をしている方々にアドバイスを行っています。また、各地の調査結果の活用事例の情報を全国の調査員が共有することで、市民自身の手による里やまの保全が実現するように、取り組んでいきます。

調査にご協力ください。

07年度も、6カ所の新たなコアサイトを加え、全国12カ所で調査を続けています。調査の継続には多くのボランティアの方の協力が必要ですが、一部のサイトでは調査員が不足しています。サイト近郊にお住まいの方で、この調査にご協力いただける方はぜひNACS-J・モニ1000担当までお問い合わせください。
(高川晋一・保全研究部)
中池見コアサイト植物相
▲中池見湿地サイトの植物相の調査結果。円グラフの大きさはそれぞれの調査区内で記録された植物の種数(最大の円で69種、最小で33種)

070901coresite_12.jpg
▲2007年度里地タイプの12カ所のコアサイト

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