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生物多様性を脅かす外来種問題

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2007.02.16

カエルツボカビ症 侵入緊急事態宣言を関係団体・学会で発表

野外への拡散を防ぎ、日本の両生類、生物多様性を守るためにカエルツボカビ症侵入緊急事態宣言を関係団体・学会で発表しました。

地球規模で進行している両生類の劇的な減少・絶滅の主な原因の一つと考えられているカエルツボカビ症が、国内の飼育中の輸入カエルから検出されました。ツボカビは水中を浮遊するため、野外へも拡散した場合、根絶させることは困難で、国内のカエルやサンショウウオにも感染し、両生類の減少・絶滅や生態系全体への影響を引き起こします。

海外の野生生物の輸入や利用には国内の生態系へのリスクが高いにも関わらず、ペット輸入大国の日本では対応できる法律や制度が整っていません。

このような緊急の状況に対し、関係団体・学会など16団体により、共同宣言を発表しました。

(2007年1月13日)

■カエルツボカビ症緊急対策行動計画(2007年2月6日)

カエルツボカビ症緊急対策行動計画・ワークショップ最終報告書(PDF/456KB)

■ツボカビに関する詳細情報

下記サイトにアップされている「ツボカビ症に関する解説書」、「ツボカビに関するQ&A」を参照ください。


2007年1月13日

カエルツボカビ症侵入緊急事態宣言

共同署名団体

  • 爬虫類と両生類の臨床と病理のための研究会
  • 日本野生動物医学会
  • 日本生態学会・自然保護専門委員会
  • 日本爬虫両棲類学会
  • 野生動物救護獣医師協会
  • 日本動物園水族館協会
  • 野生生物保全繁殖専門家グループ日本委員会(CBSGJapan)
  • 世界自然保護基金ジャパン
  • 日本自然保護協会
  • 日本野鳥の会
  • 生物多様性JAPAN
  • 日本鳥類保護連盟
  • 山階鳥類研究所
  • 日本両生類研究会
  • オオサンショウウオの会
  • NPO法人どうぶつたちの病院

世界の両生類(カエル、サンショウウオ、イモリなど)5,743種のうち、120種が1980年以降に絶滅したと推測され、さらに1,856種(32%)は絶滅のおそれがあるとされています。このような急激な絶滅を加速させている原因の一つとして、1998年に発見された「ツボカビ症(chytridiomycosis)」があげられています。現在、ツボカビはIUCN(国際自然保護連合)による外来生物ワースト100にもリストされ、世界的な監視が必要とされている感染症です。

ツボカビ症は、真菌の一種である Batrachochytrium dendrobatidisによって引き起こされ、致死率が高く(90%以上)伝播力が強いために世界中で猛威をふるい、すでにオーストラリアや中米の両生類が壊滅的な打撃を受けています。また、野外における防除方法は、確立されていません。野外のカエルに流行した場合、根絶は不可能です。このため、オーストラリアでは輸出入検疫を強化するなど、国をあげて対策に取り組んでいるところです。

この感染症が原因でカエルの個体数が減少したり、絶滅に至る可能性があります。多くのカエル類が減少すると捕食していた昆虫などの増加、カエル類を主な餌としていた上位の捕食者(鳥類やヘビなど)への影響からわが国固有の生態系全体が破壊されてしまう恐れがあります。

ツボカビ症が確認されていないのは、これまでアジア地域のみとされてきました。残念ながら、国内の飼育中のカエルから2006年12月25日にツボカビが検出され、初めてわが国への侵入が確認されてしまいました。

私たち共同署名団体は、この事実を重く受け止め、緊急事態を宣言いたします。わが国に生息する両生類と生物多様性を保全するため、私たち専門家は速やかに行動計画を策定し、可能な限りの努力を尽くす所存です。同時に、それぞれの主体に対し、責任ある行動と以下の提案の実施を期待します。

国民の皆様へ

地球規模で両生類が絶滅の危機にあることを理解し、むやみに野生の両生類をペットとして飼育することは慎んでください。なお、ツボカビは、両生類以外には、人を含めた哺乳類、鳥類、爬虫類および魚類には感染したという報告はありませんので安心してください。

すでに飼育している場合、飼育中の個体に異変があれば、すみやかに動物病院や専門の研究機関へ連絡をしてください。ツボカビは、水中を浮遊するため、水の管理が最も重要です。死亡したカエルを飼育していた水槽や水は感染源となります。これらの汚水などを排水口や野外に排水することは、禁物です。当然のことですが、飼育している個体を野外に放つことや死亡した個体を野外に投棄することは絶対にやめてください。飼育中の個体に異変があった場合には、野外の両生類との接触を避けてください。

動物輸入および販売業者の皆様へ

取り扱っている個体に異変が見られた場合は、すみやかに動物病院や専門の研究機関へ連絡をしてください。もし、輸入先の国がツボカビ症の汚染地域である場合には、輸入個体が病原体に汚染していないことを確認してください。また、販売を目的とする採集は、控えてください。

大学、研究機関、動物園、水族館の皆様へ

両生類を取り扱っている施設では、検疫体制を強化し、必要に応じて予防措置を講じてください。感染が疑われる場合には、すみやかに専門の研究機関に連絡してください。また、ツボカビ症についての正確な情報の周知に努めてください。

マスコミの皆様へ

地球規模で両生類が絶滅の危機に瀕していること、ツボカビ症による深刻な影響が世界各地で広がり国際的な共同行動が必要であること、すでにわが国にツボカビ症が侵入し、放置すれば取り返しがつかなくなるおそれがあることなど、メディアを通じて正しい知識を広く国民へ伝えてください。

関係省庁の皆様へ

ツボカビ症の侵入により、わが国の生物多様性に取り返しのつかない影響をおよぼすおそれがあることから、実態調査、検疫の強化、販売・流通の監視、検査体制の確立等、すみやかな対策の実施や法制度の見直しを行ってください。

自然観察や野外調査を行なっている皆様へ

同時に多数の両生類が死んでいた場合は、すみやかに動物病院や専門の研究機関へ連絡をしてください。不必要な生体の採集・持ち帰りは控えてください。また、ツボカビ症が流行している国でトレッキングに使った靴は、靴底に付いた土を良く洗ってから使って下さい。

以上


■参考記事
絶滅の危機にある両生類(IUCN日本委員会)
hhttp://www.iucn.jp/2004/news/2004/041020

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