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川辺川ダム建設計画問題

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2004.05.01

球磨川・川辺川は絶滅に瀕した藻類の国内最大級の生育地だった!

会報『自然保護』No.479(2004年5/6月号)より転載


2004年3月22日、NACS-Jは、熊本県人吉市、錦町、相良村にまたがる、球磨川・川辺川の合流点一帯が、国のレッドデータブックで絶滅危惧種に分類されているチスジノリ、オキチモズク、準絶滅危惧種のカワモズク類の国内最大級の産地であることを発表しました。

環境省、文化庁、熊本県、人吉市、錦町、相良村に、国指定の天然記念物に指定するなどの保全策を求め、国土交通省に対して、川辺川ダム建設による希少淡水産紅藻類の保全のため、ダム建設による影響の予測評価を行ない環境保全対策を取ることを求める要望書を提出しました。

昨年12月、川辺川の河川環境の調査を実施してきた程木義邦氏(北海道大学)、村上哲生氏(名古屋女子大学)らが、球磨川・川辺川の合流点付近でチスジノリを発見し、一月から自然保護助成基金の緊急助成を得て、地元の漁業者、市民団体、カヌーイストなどの協力で球磨川・川辺川全域にわたる調査を行ないました。

その結果チスジノリは、合流点下流50メートルから球磨川上流2キロにわたり約3万株が生育し、国内最大級の産地であることが判明し、またオキチモズクは、碓井利明氏(長崎大学)の協力で、球磨川流域を調査したところ、湧水のある二つの支川にそれぞれ約五万株が生育する国内最大級の産地であることがわかりました。カワモズク類は、正確な個体数は推定できていませんが、川辺川から球磨川の合流点付近に分布していることがわかりました。

淡水産紅藻類は、沖縄から本州にかけての河川、湧水、井戸などに生育しますが、冬季に水温が高く安定していること、弱光条件に適応していますが懸濁物によって光がさえぎられないことなどの条件が必要なので、湧水の枯渇や水質汚染に弱く、各地で絶滅に瀕しています。

流れの速い河川に生育するチスジノリの場合、流速が低下することは致命的で、国の天然記念物に指定されている熊本県山鹿市の菊地川、鹿児島県菱刈町の川内川でも、堰の建設などの影響を受けています。球磨川・川辺川合流点付近は、これらの条件が整った重要な生育地であるといえます。

NACS-Jは、球磨川・川辺川合流点一帯を、国の天然記念物として地域指定し、流域全体で保全対策を検討する必要があると考えています。中でも川辺川上流に建設予定の川辺川ダムでは、工事中の濁水のほか、運用後の水温、濁度、流速の変化が、淡水産紅藻類に与える影響を予測評価しなくてはなりません。

川辺川ダム事業は、環境影響評価法成立以前に事業認可されたためアセスメントの対象外となっています。また当時の建設省が2000年に発表した「川辺川ダム事業における環境保全への取り組み」には、これらの希少淡水産紅藻類は触れられず、アセスメントはできていません。球磨川・川辺川の重要な環境要素として、保全を求めていきたいと思います。

(吉田正人/NACS-J理事)

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