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「市民やNGO、専門家など幅広い人々の参加を」

2001.01.26
要望・声明

三番瀬埋め立て計画(市川二期地区・京葉港二期地区)の根本的見直しと三番瀬保全に関する意見書を提出


 

2001年1月26日

 

千葉県知事       沼田 武 様
国土交通大臣      扇 千景 様
環境大臣        川口順子 様

財団法人 日本自然保護協会
理事長 田畑 貞寿

三番瀬埋め立て計画

(市川二期地区・京葉港二期地区)の

根本的見直しと三番瀬保全に関する意見書

 

2001年1月25日、千葉県環境会議が開催され、その下部組織である環境調整検討委員会の標記計画に係る検討結果が報告されました。

 

環境調整検討委員会の報告は、事業実施に伴う周辺環境に及ぼす影響について、「1.三番瀬の面積の減少等が生態系に与える影響(特に鳥類や底生生物等への影響)の調査を実施し影響を回避すること、2.猫実川河口部の泥質域環境の多様性の低下とその影響等に十分留意し泥質環境の保全に努めること、3.京葉港周辺に発生する青潮の生物への影響を極力少なくすること」と指摘しています。

 

土地利用の必要性については、「三番瀬の一部を埋め立ててまでも実施しなければならない必要最小限のものであるか、個別の土地利用計画にについて精査する必要がある」としています。また、街づくり支援用地については、「埋立地以外の用地への代替の可能性についても検討すること」、下水道終末処理場については、「処理人口や下水処理技術の将来動向の見通しを精査し、埋め立てを伴う処理場計画の必要性を示すこと」、第二湾岸道路については、「最新のデータに基づき自動車でしか対応できない交通量を予測すること、さまざまな道路構造の問題点・道路構造と土地利用の係わりを整理し、構造決定すること」、公園緑地については、「最小限の面積とすること」等を指摘しています。

 

また、「人工海浜はその必要性について精査すること、第二湾岸道路に係る後背地の大気質・騒音・景観等に関する影響を予測、調査し環境保全対策の検討を行うこと、具体的な事業計画の策定にあたっては、広く住民及び専門家の意見を聞きながら進めること」等を提言しています。

 

この環境調整検討委員会の報告は、1.埋め立て計画の必要性の根拠が乏しいこと、2.埋め立て面積を当初の740haから101haに縮小しても依然三番瀬の自然環境への影響が懸念されることを示しています。これらの埋め立て計画に対する疑問や問題点は、これまでも当協会を含め、計画策定懇談会や市民、NGO、専門家等から繰り返し指摘されています。千葉県はこのことを重く受け止め、三番瀬埋め立て計画の根本的な見直しを行うべきです。
三番瀬は、埋め立て計画地を含む浅海域生態系のバランスの上に成り立ち、渡り鳥等多様な生物の生息地、水質浄化の場、漁業活動の場、人々が海の自然と触れ合う場して、東京、千葉という大都会に隣接した中で貴重な自然環境と言えます。このような三番瀬の自然環境は、漁業や市民の憩いの場、環境教育の場などとして持続的に利用しながら保全し、未来に引き継ぐことが求められます。

 

21世紀を迎えた今こそ、これ以上埋め立てによって三番瀬を含む東京湾の自然環境を損なうことなく、保全し持続的に利用していく計画を、市民やNGO、専門家など幅広い人々の参加を得て、検討し実施する必要があります。このことは、環境調整検討委員会もその報告の中で指摘しています。その検討の場には、当協会も協力、参加していきたいと考えています。
以上のことを踏まえ、千葉県知事及び国土交通大臣、環境大臣に対し、次のとおり意見を申し述べます。

 

1. 千葉県は、市民やNGO、専門家など幅広い人々の意見を聞き、計画の必要性についての厳密な検証と、環境への影響を回避するための代替案の徹底的な検討を行い、埋め立て計画を根本的に見直すべきである。

 

2. 千葉県は、三番瀬の自然環境の保全と持続的な利用について、市民やNGO、専門家など幅広い人々の参加を得て検討する場を設置し、長期的・総合的な計画を策定し、実施すべきである。

 

3. 国土交通省は、三番瀬の自然環境保全のために千葉県と十分協議し、第二東京湾岸道路構想及び流域下水道計画の必要性とそのあり方を根本的に見直すべきである。

 

4. 環境省は、三番瀬の自然環境の保全と持続的な利用について千葉県と十分協議し、必要な環境保全対策の策定・実施に協力するとともに、三番瀬の国設鳥獣保護区、ラムサール条約登録湿地への登録を推進すべきである。

以上

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