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あの手この手で自然を守る

2000.10.23
解説

その1:知る

たとえば、葉の落ちた梢から差し込む冬の日差しの中を、落ち葉の匂いや鳥の声を楽しみながら散策する、そんな毎日にあなたは満足していたとしよう。ある日、「あの山にゴルフ場を造るらしい」「どこかの会社が測量をしていた」といううわさが耳に入る。まず、その真偽を確かめ、何が起きるか知りたい。

役所で調べる

NACS-Jには、「雑木林を伐ってしまうらしい。どうにかならないか」という電話もよく入る。何とかアドバイスできることはないかと話をうかがってみても、何が、いつ起ころうとしているのかがわからない、ということが多い。どんな項目を調べれば事態がつかめてくるのだろうか。
開発計画について直接事業者に聞きに行くという方法があるが、とりあってもらえない可能性もある。そうかといって、やみくもに役所の窓口をあたっても、たらい回しになってしまう。
そこで、相談窓口にいってみよう。
都道府県庁や区部を持つような大きな市の市役所にある相談窓口で、手に入れたい情報の担当窓口がどの部署に当たるか、まず確かめてみよう。東京都では環境保全局環境管理部指導相談課。まずは、遠慮せず相談してみよう。
測量の現場を見かけたというときは、工事の段階にもよるが、都市計画業務をしている部署が情報をもっている可能性がある。東京都では都市計画局建築指導事務所などだ。事業者や施工業者について調べるには法人登録簿がある。
どんな規制の網がかかっている土地かは、土地利用基本計画書や土地利用規制図で調べられる。東京都では都市計画相談窓口が担当だ。保安林台帳、砂防台帳などは県土木事務所にある。
また、ゴルフ場規制条例など自然保護に関係する条例もいろいろある。県や市町村の条例は市役所や町村役場の総務部で手に入る。
開発計画などが議題として取り上げられたときは、市町村の議会議長録の「総会」ではなく「建設委員会」や「環境委員会」などの質疑応答で情報を正確に手に入れることができる。議事録は議会広報課で閲覧でき、予算決算は市町村役場の総務課がもっている。
都市計画図面など、開発の具体的な計画は、開発計画が申請された段階では公開されない。しかし、申請が受理され、公開されてから運動を始めても、手遅れになることも多い。
役所のほかに開発計画図面をもっているのは業者と開発推進派など。「地元の世話役がもっていたのを内々に見せてもらった」というケースもある。都市計画審議会の委員を知り、役所が提供する資料の早期入手に努めたい。
役所を訪ねたときのことを、雑木林の保護に取り組むKさんに聞いてみた。
「市役所に何度足を運んでも見せてもらえなかった資料を、市議会議員と一緒に行ったら見せてくれたんですよ。市議会の与党議員と行くと、さらに待遇がよくなりました。
市民運動が大きくなって、国会議員と一緒に県庁にいったら、局長レベルの人が出てきたんです。その後は、それまでは手ごたえのなかった担当者と話し合いの場がもてるようになりましたね」
いろいろな人を仲間に巻き込むことも有効なようだ。

地権者を「知る」には

地権者、つまりある土地の所有者がだれかを知るには、その土地の正確な住所を調べたうえで、地方法務局(俗に登記所とも呼ばれる)へ行き、土地登記所を閲覧すればよい。
ところで、よく耳にする話だが、保護運動を成功させるためには、開発事業の事業主に対して反対運動を行うだけでなく、その場所を所有している地権者の事情にも配慮し、可能なら接触してみる必要がありそうだ。
川崎市の東端多摩ニュータウンの近くに、黒川という地区がある。ここは多摩丘陵の一角で、数年前まで、ホタルの飛ぶ清流があり、タヌキ、キツネ、サシバなどもいる首都圏では奇跡的といってもよいほどの自然の宝庫だった。
1983年、ここに神奈川県と住宅都市整備公団による住宅団地開発計画がもち上がる。
これを知った地元市民を中心とする有志が「川崎市民の森 ホタルの里連絡会」を結成、この地区の自然を守る運動を始めた。
この土地の所有者は、代々ここで農業を続けていた農家だった。現代の農業では採算のとれない土地条件、後継者難、農産物自由化による農業の先行き不安などから、あらゆる努力も空しく、農業を断念せざるを得ないために、土地を売り払った人も多かった。そして、この地区の多くの部分が市街化した。
その結果、毎年宅地並み課税の重荷がかかり、一刻も早く開発されて農業以外に利用されないと生活が立ち行かない状況にあった。
こうした背景から、同連絡会も一方的に開発に反対するのではなく、農家の方とも根気よく話し合いをもって、個人の土地の使い方に対してではなく、市の街づくりの姿勢に意見を言っているということを理解してもらい、少しでも自然を残せる道を探るという形で運動を進めたという。
同連絡会の加藤政行さんは、「何度も通い、自然観察をしたり、写真をとったりしているうちに、なんとなく地権者の農家の人たちと知り合いになったんです。」と語ってくれた。こんなふうに、無理のない形で地権者を知り、つき合いができれば理想的かもしれない。

情報公開制度

情報公開制度とは、簡単にいえば行政機関がもっている情報を、市民の請求によって公開してもらう制度である。ただし、どんな情報でも入手できるわけではなく、公開には制約がある。
この制度は、国民の「知る権利」の考え方の浸透ともに、1980年代から急速に全国の自治体に広がった。現在、38都道府県175市区町村が何らかの形でこの制度を実施している。ちなみにこの点では国がもっとも遅れており、国レベルの情報公開制度の基本となるべき情報公開法の成立は、今のところ見通しが立っていない。
さて、この制度を実際に利用するにはどうすればよいのだろうか。神奈川県を例にとって、ごくおおまかにその手順を説明してみよう。他の自治体の場合も大筋は変わらない。
まず県庁にある「県政情報センター」に行く。ここが情報公開制度の窓口である。用意されている申請書に、住所、氏名、請求する公文書名などを記入して提出する。
すると原則として15日以内に、請求した文書を公開するか、非公開にするかの決定通知書が送られてくる。
公開の場合は、約1週間後ぐらいの指定日に、県政情報センターを再び訪れて閲覧、またはコピーをとる、という順序になる。
利用のうえでいちばん問題になるのは、自分の知りたい情報を得るためにはどんな公文書を請求したらよいかである。
窓口には、その役所がもつ公文書の目録が用意されているので参考にできる。また、窓口の担当職員に「○○山のゴルフ場造成計画について知りたい」と話せば、どんな文書を請求したらいいか相談にのってくれる。
しかし、それだけではなかなかわかりにくい場合もある。前もって、自治体の出している広報誌などでどんな資料があるのか調べておくとか、直接役所の担当部署に電話して訪ねてみるのもよい。経験者によると。この場合、「反対運動のため」とは言わず、「それについて調べているので」などと言ったほうがいいようだ。

自然を「知る」

感覚的には大切なものとわかっている自然でも、いざ開発との価値を比べるとなれば、具体的に裏付ける資料も欲しい。日ごろの自然観察の記録が役に立つときでもある。
その土地に生息する植物や動物などは自治体や博物館で調査している場合もある。図書館や役所に文献がないか調べてみよう。前述の情報公開制度なども利用できる。
また、その地域の土地利用や、その自然が地域の中でどういう位置を占めてきたか、など文化面も調べてみるのもいい。
ごく基礎的な資料でも、別々に調べられてものを重ね合わせて地図に色鉛筆で塗り分けるだけで、そこの自然の特色があらわれて新たな発見をすることも多い。
また、計画予定地の自然環境の評価や開発の問題点について、専門家の意見を聞いてみるのも参考になる。
地元のプロ・アマチュアの研究家に心当たりがなければ、関係する本を読んで、著者に問い合わせるという方法もある。

法律を知らなかった

「はじめは法律のことなど、何も知りませんでした」
と語ったのは北海道「バラサンを守る会」の岡井健さん。岡井さんたちは、2年前、根釧原野最後の聖域といわれるバラサン沼周辺が、売却後の目的も明記されないまま国土計画?に売り渡されようとしているところへ「待った」をかけた。(『自然保護』1991年1月号、2月号掲載)
仲間と「バラサンを守る会」を結成、保護運動を進めていくうちに、法律をもっとよく知る必要を感じた。そこで『地方自治法』の必要と思われる所をあちこちみると、問題と思われる所が見つかったのだ。
まず、バラサン沼の保安林は「公有財産であり、本来売却することはできない」ものであり、「財産処分の場合としても売却の手続きが違法」であることだった。
(社)北海道自然保護協会の会長であり、北海道大学法学部教授でもある小暮得雄氏も「法的に非常に疑義がある」とコメントを発表。
「違法であることを突き止めたら町側は反論できませんでした」(岡井さん)
売却計画が明るみに出てから、国土計画?が撤去を表明するまで、わずか50日という異例の速さで、バラサン沼周辺はとりあえず守られた。
「このとき、僕らだけでなく役場関係者の中にも、本当に売っていいのか疑問はあったと聞きました。法律のことはみんなあまりよく知らないんですよね。法律は最大限に利用する価値があると感じました」(岡井さん)

その2:人を動かす

たとえば、あなたがいつも大切に思っていた裏山の開発計画を知り、その結果、それが納得のいかないものだったとしよう。
周りの人にも開発計画とその問題点を知ってほしいし、納得がいかない計画であることを事業者に知らせたい。どうするばよいのか。

事業者に知ってもらう

状況がおおむねつかめたら、事業主体に直接問い合わせてみる。民間企業でも自治体でも、問題があることを知らずに計画を立ててしまった場合には、けっこうまじめに話し合いに応じてくれるものだ。
しかし、問題があると知りつつ開発を進めようとしているのであれば、みんなで力を合わせて何とか計画を変えてもらわなければならなくなる。

地域の人に知ってもらう

もっとも重要なのはその地域の人々の理解を得ることだ。各団体がよく行う方法の一つは、パンフレットや小冊子、あるいは写真資料(プリントをアルバムに貼る程度でもいい)を作ったり、観察会を行ったりして、そこの自然のありのままに姿をアピールすることだ。
昔からそこに住んでいる人にとっては、その土地が単なる風景としか思われていない場合もあるし、問題の重要性に気づかない人は意外と多い。違った見方で場所を見直してもらい、すばらしさを再認識してもらうのだ。
そして、さらに、住民説明会や講演会などを開き、開発計画の概要や、開発によってその土地がどのように変わってしまうかを知ってもらうのも大切だ。その際、問題点をわかりやすく、パンフレットなどにまとめて配ると役に立つ。
「鹿児島県ゴルフ場問題連絡会」は、奄美大島の2つのゴルフ場建設の問題点をホームビデオにまとめた(『自然保護』1992年8月号掲載)。現地に行けない人にもその場所の自然を知ってもらうことができる。
ポストカード、テレフォンカードなどを製作すれば、より多くの人に見てもらえるし、活動資金の一助にもなる。
問題点が整理され、自分たちの意見や要望がまとまったら、「意見書」や「要望書」にして関係者に提出するのもいい。むずかしい言葉をならべてあれこれ説明するより、思いが正確に伝わることが大切だ。
ところで提出する先だが、自然保護の問題だからということで都道府県や市町村の自然保護を担当する課だけに提出される場合も多いようだ。
しかし、自然保護課は自然保護の面から開発計画などをチェックするのが担当。開発を中止したり変更するのは、その開発を計画している部署や企業。そこに直接考えを伝えることを忘れずに。
要望する内容と相手がずれないようにしなくては効果は上がらない。

署名はどう使われる

住民運動でよく利用される署名には、手続きの1つとして必要なものと、世論を反映するという意味をもつものがある。
手続きの1つとして署名が必要なものには、条例の制定改廃、地方公共団体の事務の監査、議会の解散、議会の議員・議長その他の議員の解職などを住民から直接請求する場合などがある。
議会で取り上げてもらうために署名を使うこともできる。
議員でない人は勝手に議題を提出できないので、問題を議題にしてほしい住民がいることを請願署名として集め、紹介議員を探して議案として提出してもらえば、議会で取り上げてくれる。署名の書式や手続きは、議会事務局が教えてくれる。
直接請求の手続きの一つとして必要な署名は、目的によって集める期間、書式、『有権者の何分の1以上必要』などの条件が違うので、地方自治法で確認しよう。また手続きの1つではない署名の場合は、条件がないかわり、強制力ももたない。
いずれにしても、署名を集めるのは手間も時間もかかることなので、せっかくの行動が無駄にならないよう、本当に必要で効果があるかに慎重に検討する必要がある。

マスコミへの情報提供

新聞、雑誌、テレビなどのマスメディアを通じて報道してもらうのも、思いを伝える一つの方法だ。
より多くの人々に素早く情報を伝え、保護運動への賛同者を増やすことができるかもしれない。そのためには、前述の説明会などのパンフレットを配布して、つねにマスコミに働きかけることが大切だ。もちろんそのためには、各新聞、テレビ局、雑誌の性格を見極める目も必要となってくる。
福島県で農業を営む「博士山ブナ林を守る会」会長・菅家博昭さんは、1989年、清水建設が中心となって計画した博士山のリゾート開発に対して活動を展開してきた(『自然保護』1991年2月号掲載)。
博士山のリゾート開発問題は、地元紙を中心にたびたび新聞で取り上げられている。その原因は何だろう。
取材されるかどうかはタイミングが大事だ。村議会や県議会の最中や後、県や村の催し物があると、それらで紙面が埋まってしまうことがよくある。
「地元紙の『今週の予定』の欄で調べ、大きな行事のない日の1日前に記者会見を開いて、編集の段階でカットされないようにします。」(菅家さん)
正確な、そのまま記事に引用できるデータを提供することも大切。固有名詞、数字に気をつけよう。現場写真の提供も。
しかし、いつも同じ内容では取り上げてくれない。また、1つの記事に、たくさんの情報が盛り込まれると内容が散漫になる。そこで情報を提供するときは1回につき、1つのテーマに絞り込むのがポイントらしい。
「『問題の土地で自然観察会を予定している』で1回、『日程が決まる』で1回という具合に、こまめに情報を提供すれば、小さくても数多く載せてもらえる可能性も出てきます。はじめはまったく掲載してもらえませんでしたが、今では6割くらいは取り上げられるようになりました。記事としては小さくても、広告だと考えれば大きな金額を節約したことになり、資金の乏しい市民団体にとっては重要なPR方法です」(前出・菅家さん)
また、市民からの当初で、その問題への関心が高まっていることを伝えることができれば、関連記事を多く取り扱うようにもなるとか。投書として掲載されなくても役立っているのだ。
「博士山ブナ林を守る会」では、「思ったことや言いたいことがあれば、投書して意志表示しよう」と会員に呼びかけたそうだ。

その3:あきらめない

たとえば、あなたの問題提起で始まった自然保護運動が、周りの人の支持を得て大きく広がったとしよう。
しかしみんなの努力空しく、問題決着まで長期戦になってしまった。次に打つ手が見つからない。仲間の心が離れていく…。そんなときはどうしたらいいのか?

独自の調査をする

何度か話し合いの場をもうけても、開発側とは意見が平行線をたどってしまうことは少なくない。「それなら、意見の食い違った点を改めて調査してみよう」という展開にうまく持ち込んだグループをご紹介する。
「新治村の自然を守る会」は群馬県三国高原にリゾート法に基づくスキー場建設に対し、水源確保の不安や野生動物への悪影響を懸念し反対している(『自然保護』1991年2月号、12月号掲載)。
環境アセスメントだけでは村の環境を正しく知ることはできないと、村民調査団を結成し、国の天然記念物のイヌワシなどの動物の生息調査と水源の水質調査を行っている。中間報告もまとまった。
「『イヌワシは昔はいたけれど今はいない』という人が多かったのですが、調査で複数の人が確認して、素人目でもイヌワシのテリトリーであることは間違いないという認識が広がっています。観察会も、村の関心のある人が参加して10月に3回目を開きました。
水質調査の結果はまだ発表していませんが、現在の水源は新しく水源を造らなければならないほど悪くないということがわかりました」(岡田洋一さん)
また、「和賀山塊を愛する会」は、秋田県の田沢湖抱返り渓谷県立自然公園内に計画されている堀内沢砂防ダムについて、ダムの必要性は認められない、と計画撤回を求めてきた(『自然保護』1992年7月号掲載)。
9月17日、解決の道を探るため、県砂防課と自然保護課が改めて堀内沢の調査をすることに決めた。そして、中間報告のまとまる2年後までは建設を着工しないことになった。
一方「愛する会」は、1990年から建設予定地を含む地域の自然環境調査を独自に行っており、昨年は中間調査報告書を出している。
「一般に知られることのなかった和賀山塊の価値を世に問いたいと、おもに秋田県内の山男たちが集まったのが会の始まりです。砂防ダム建設問題は、調査活動中に持ち上がりました。年間30回ほど山には入り、集めた標本は秋田県立博物館や、県内外の各学会のメンバーなど、専門家のご協力で整理、同定しています。」(同会・梁田良雄さん)
中間報告書の第2週は11月に発行される予定だ。

楽しくなくちゃ続かない

保護運動に限らず、始まったばかりのころは気持ちが盛り上がるものだ。
前出の「川崎市民の森 ホタルの里連絡会」は、工夫を凝らした運動を続けている。同連絡会は、1年をめどに決着をつけようと声をあげたが、問題は複雑で5年たった現在も運動は続いている。代表の勝山智男さんにうかがった。
「目標がある間はがんばれるんですよね。だから市議会を傍聴しようとか、何月までに署名を何人集めようとか、そういった短期ごとの目標を定めることが大事だと思うんです。でも、やっぱりそれだけじゃだめ。よほど熱心な人でないと続かないんですよ、みんな忙しいわけだし。私たちは、市議会の傍聴のような、必ずしも楽しくはないけれど、やなければならない運動と、いも煮会などの楽しめる企画とを、半々くらいの割合という気持ちでやっています。ただ計画反対を唱えるだけじゃだめなんです。楽しみながら長く主張し続けることが、自然保護運動を長続きさせるコツだと思いますね」

土地への愛着が活動の元

群馬県安中市在住の会社員・小川賢さんは、日刊スポーツ新聞社が計画しているゴルフ場建設に対し、反対運動を展開している。(『自然保護』1992年1月号掲載)。小川さんは建設予定地になっている里山の地権者の1人である。
まず、小川さんご夫妻は、8歳と5歳の子供を通じておつきあいのあった近所のお母さんたちに陳情書を見せ、署名を集めた。そして関心の高さを感じ、新聞に建設反対を訴える折り込みチラシを入れて運動を広げた。
「どうやら本気だ」との印象が周囲に浸透するまで、意見をまとめたチラシを配布したり、単身で関係者に会いに行ったり、精力的な活動を支えているものは何なのだろう。
「安中の農家の長男として生まれ、育ちました。子供のころ山で遊んだときの原風景が自然保護活動の源です。今もそこに住んでいまして、都内の勤務先まで新幹線を使い、片道2時間かけて通っています。週末に野良仕事をしたり、山の手入れをしたり、シイタケ栽培もしていました。5年前、山道に杭が打たれているのを見つけ、それから1年後、地上げ屋がやってきて、ゴルフ場計画が進んでいることを知りました。安中は公害で有名になってしまいましたが、さらに自然を失うことに理不尽さを感じました。また洪水の心配のある下流の住民に何の説明もなく計画が進められていることも知り、ますますゴルフ場は造ってはいけないと思うようになりました」(小川さん)
今回の取材に協力していただいた皆さんは、それぞれお国自慢をなさっていた。この身近な自然への愛着の強さが、何ものにもかえがたい運動の源といえるようだ。

(NACS-J編集部)

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