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海上の森の保全に関する勧告案、世界自然保護会議の議題に

2000.09.19
要望・声明

第2回世界自然保護会議 勧告 海上の森の保全について


10月4~11日にアンマンで開催される国際自然保護連合(IUCN)の世界自然保護会議に、海上の森の保全に関する勧告案がとり上げられることが決定しました。この勧告案は、IUCNのNGO会員7団体が提起したもので、博覧会国際事務局(BIE)に対して、愛知万博が環境に配慮した万博となるよう、ひきつづき日本政府にアドバイスすることを求め、また日本政府に対し海上の森の保全策を具体的に講じることを求める内容です(別紙添付)。

この勧告案は、すでに本年2月に国内のNGOが提出した決議案を、IUCN決議委員会が、(1)海上の森の住宅・道路事業の中止、(2)市民参加に愛知万博検討会議による海上の森の会場計画の大幅縮小といった、愛知万博に関する日本政府側の保全のための努力とBIEの指導性を評価する内容に修正したものです。その上で、愛知万博に関する一層の環境への配慮を求める内容となっています。

愛知万博検討会議に代表が参加している(財)日本自然保護協会、(財)世界自然保護基金日本委員会、(財)日本野鳥の会の3団体は、この決議を通じ、愛知青少年公園等海上の森以外の会場の環境影響評価や交通アクセスなどの残された検討課題について、今後も市民への情報公開と意志決定への参加を通じ、愛知万博全体が環境に配慮したものとなり、世界の国々に認められるよう、日本政府の一層の努力を求めるものです。

IUCNは、1948年にフランスで設立され、現在スイスに本部を置く、世界最大の自然保護の連合体(国家会員76、政府機関111、NGO732)です。
日本からは、17のNGOと環境庁・日本政府が会員になっています。世界自然保護会議は、IUCN総会をかねて、3年に一度開かれ、国際的な自然保護問題を議論します。今年は10月4-11日にヨルダンの首都アンマンで開催され、会員団体のほか国連環境計画、ユネスコなど世界の自然保護関係者、2000人以上が集まる予定です。このほか、日本に関しては、ヤンバルクイナ・ノグチゲラ・ジュゴンの保護に関する勧告案が審議される予定です。


 

第2回世界自然保護会議 勧告

2000年10月4-11日 ヨルダン・アンマン
CGR.CNV017. 海上の森の保全について

1997年のBIE総会において、日本政府が「自然の叡知」をテーマとする環境万博とすることを表明して、2005年国際博覧会の開催国と認められたことを想起し、

2005年国際博覧会会場の予定地である愛知県名古屋市近くの海上の森が、1999年に日本国際博覧会協会から発表された環境影響評価書によって、環境庁のレッドリストに含まれる希少種を含む生物多様性のホットスポットであることが、明らかにされたことを認識し、

日本政府が、2005年国際博覧会の会場予定地の海上の森において、危機に瀕した湿地植物群落や絶滅のおそれのあるオオタカの保護のために、3度にわたって会場の位置を変更し、住宅計画・道路計画を中止したことを評価し、

また日本政府が、1994年に策定した環境基本計画や、1995年に策定した生物多様性保全国家戦略において、里地自然における計画的な生物の生息地の確保をめざしていることを評価し、BIEが、2005年日本国際博覧会が、環境に配慮した万博として成功を収めるよう、イニシアチブを発揮していることを歓迎し、

世界自然保護会議は、2000年10月4-11日にヨルダンのアンマンで開かれた第2回大会において、

1.  BIEが、2005年に日本国愛知県で開催される国際博覧会が、環境に配慮した万博となるよう、日本政府に対して引き続き適切なアドバイスを行うことを求める

2. 日本政府が、海上の森の自然を将来にわたって保全するため、国営里山公園の設置を含む具体的な措置を講じることを求める

決議案提出団体

(財)日本自然保護協会
(財)世界自然保護基金日本委員会
(財)日本野鳥の会
エルザ自然保護の会
(NPO) 野生動物救護獣医師協会
日本雁を保護する会
(財)トトロのふるさと財団

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